第4回 塩江温泉アドベンチャーマラソン大会

〜 幹事長・中山 討ち死に 〜


全国50億人の四電ペンギンズ・ファンクラブの皆様、ほんとにほんとに、ほんとーに長いことお待たせしました。5月の悲しみの「小豆島オリーブマラソン」以来5ヶ月振りのマラソン報告です。夏場の暑い時期にサボっていたため、ご無沙汰しておりました。
これから秋〜冬〜春にかけてマラソンシーズンとなり、四電ペンギンズも色んな大会に出場するから、応援よろしくね。

さてさて、
第4回塩江温泉アドベンチャーマラソン全国大会が去る1998年10月25日(日)、絶好のマラソン日和のなか開催されました。直前までのぐずついた天気が嘘のように晴れ渡り、本当に気持ちの良い天気。

塩江温泉アドベンチャーマラソンのハーフマラソンは、四国の恐山と呼ばれる塩江の山岳地帯を一気に駆け登り駆け下りるという、むちゃくちゃなマラソンです。いくら“アドベンチャー”とは言え、こういうのはマラソンって言うのかなあ。最後の登りはどう考えても山登りです。本来のコースは去年の台風災害で道が崩れたままなので、今年も臨時コースでした。どちらにしても無茶苦茶なコース設定なのは同じだけど、1年以上経っても土砂崩れがほったらかしというのが塩江の塩江たるゆえんでしょう。

一昨年、坂の少ない10kmコースに参加してF川選手からバカにされた私は去年からハーフマラソンに出場し、去年は逆に10kmコースに参加した竹葉選手をバカにしたら、今年は竹葉選手もハーフに出場しました。一方、四電のタートル男「亀ちゃん」こと亀山選手は、なぜかこっそり10kmコースに出場してました。なんでやあ。

四電ペンギンズはチーム名が決まってからも、これまでみんなバラバラで申し込んでいたため、参加者表で分散してしまい、いまいち有名になれなかったのだけど、今回はまとめて応募したため、どどんと出ました。ハーフマラソンの30〜49歳の部ではなんと9人も名前が並んだのよん。私とF川、竹葉選手のほか、増田選手、光高選手、宮岡選手、大谷選手、遠いところへ行ってしまった鈴木先生、中山選手(元ダイエー)です。
なお、ペンギンズの部長でありながら、オリーブマラソンでチーム名を隠して登録してひんしゅくを買った隅田大先生は今回は恥を忍んで四電ペンギンズの名前で申し込んでくださったのだけど、お歳の関係で別のページに入れられてしまいました。合掌。

一方、相変わらず亀ちゃんだけは「そななチーム名は嫌じゃ。わしは亀じゃ。四電タートルズにせんかい!」と言うのだけど、それって年寄り臭いもんね。
そうそう、隅田御大から紹介されてしまいましたが、新居浜から芝原さんが参加されておりました。チーム名は「四電新居浜」となっておりましたが、来年からはペンギンズ新居浜分隊長の名前で出ていただけるものと信じております。
それから福家さんは今年もお父上と共に参加です。お父上は76歳で走りまくる香川タートル協会の会員様です。

毎年、夏場はみんな練習をサボり気味なんだけど、今年は特にひどくて、5月の小豆島オリーブマラソンが終わってから3ヶ月は全然走らなかったうえに、9月に入ってもろくに走っていない。いきなり塩江山岳マラソンは無謀なのよね。中山選手(元ダイエー)に至ってはもっとひどくて、5月以降、ちょこちょこと2回練習しただけ。それで中山選手(元ダイエー)は実は前日まで逃亡を企てていたのであった。
(中山)「ちゃいますよ、幹事長。最近、肝臓の具合が悪くて体がだるいんですよう」
(幹事長)「走ったら治るがな」
(中山)「そんな、むちゃな。危険が大きすぎますよ」
(幹事長)「危ないのは承知の上や。多少の危険を冒さんと獲物は手に入らんのじゃ。
     おケツに入らずんば、小痔を得ず、と言うではないか」
(中山)「なんですかあ、それ?“虎穴に入らずんば虎児を得ず”と違いますか」
(幹事長)「似たようなもんじゃ。おケツに入っていかんと痔にはなれんっちゅう事じゃ」
(中山)「痔なんてなりとうないやないですか」

しかし、そうは言いながらも、中山選手(元ダイエー)は当日、いやいやながらも現れた。えらい!さすが元ダイエー!

それに引き替え、なんとなんと、一番人気の
F川選手が当日になって突然出場停止処分に
(F川)「肩の調子が悪くて、ドクターストップをかけられたんっすよう」
とほざいてましたが、ほんまのところは、5月のオリーブマラソンでハーフマラソンデビューした竹葉選手にいきなり皇帝ペンギンの座を奪われたため、今回は敵前逃亡したものと思われる。だって肩とマラソンなんて関係ないよね。
でもF川が居ないとつまんない。ネタの宝庫だったのにぃ。
「F川よう〜、バカにせんから戻ってこいよう〜」

一応みんな、今回の目標とかを設定する。練習不足の僕は、制限時間内に戻ってくることだけが目標。中山選手(元ダイエー)に至っては、参加することだけで満足し、いつリタイアしてもいいみたいな雰囲気。しかし大酒のみの竹葉選手は、朝っぱらから酒臭い息を吐きながら、
(T葉)「昨晩はレースに備えて酒は控えたから、今日はばっちりっすね」
相変わらず“酒を控える”量が違う。カロリーの大半はビールから摂っているらしい。
Tシャツにゼッケンを付けながらT葉がつぶやく。
(T葉)「乳首に絆創膏を貼っておいた方がええっすかねえ・・・」
(幹事長)「おぬしもF川と同じく“乳ずれ”するんか?」
(T葉)「いや、なったことはないんすけど、なんか不安が。
     乳首だけやのうて、股もすれてマタズレになるし、ワキもすれてワキ毛がプチプチ抜けるし」
(幹事長)「そういや、早くも血がにじんどるぞ」
(T葉)「ゼッケンとめる安全ピンで刺してしもうたんです」
(幹事長)「わざと刺すなよ。癖になるぞ」


いよいよ、スタート。この塩江山岳マラソンは、コース設定があまりにひどいため、他のマラソンと違って、毎年参加者が減少しつつある(ようにしか思えない)。そのくせ、一人前に自分の予想タイム別にスタートラインが違う。「5km13分で走る人はこっちぃ〜」なんて主催者が叫んでいるけど、そななスピードの人間が地球上に居るとは思えない。僕らのように完走だけが目標のペンギンは後ろの方のコーナーに集まる。ところが中山選手(元ダイエー)が
(中山)「後ろの方からスタートすると5分は出遅れるけど、
     それって制限時間ぎりぎりを目標とする僕らには、
     結構きついハンディですよ」

などと鋭い指摘をする。慌ててごぞごぞと真ん中どころへ潜り込む。

完走だけが目標の僕は、最初っからものすごくゆっくり走り出す。全然しんどくない。当たり前か。特に、10kmコースと一緒に走る途中まではらくちんらくちん。みんなにすいすい抜かれるけど、全然気にしない。ここまで勝負を捨てると、とっても気が楽。これぞタートルの極意(ペンギンやっちゅうに)。
(幹事長)「これはマラソンだけでなく、人生一般にも言えることぞよ。
     達観が必要じゃ。がむしゃらに生きるだけが人生とちがうぞ」
(中山)「へへい。分かっております」
(幹事長)「仕事だけが人生ではないんぞ」
(中山)「先輩はもっと仕事したらどうですか」

中山選手(元ダイエー)にだけは抜かれたくないなあ、なんて思う。

10kmコースの選手が折返し点で引き返していった後、急な坂が延々と続きだすと、やっぱりめちゃめちゃ苦しい。どんどんペースダウンしていると、後ろから中山選手(元ダイエー)が近づいてきて声を掛ける。
(中山)「幹事長、後ろ見て下さいよ。まずいですよ」
びっくりして振り返ると、すぐ後ろに中山選手(元ダイエー)が居るだけで、はるかかなたまで誰も居ない。
(幹事長)「えっ?もしかして最下位?」
いくらなんでも、そこまで遅かったかなあ。確かに誰も居ない。まずい。しかし、しんどい。気になりつつも足が動かない。するとどうでしょ、中山選手(元ダイエー)が大胆にも僕を抜いていく。なんて無謀なやつ。後ろに誰も居ないのがプレッシャーとなったのかなあ。でもさすがに力不足はいかんともしがたく、しばらく前方を走っていたけど、すぐにペースが落ちてきて、またあっさり僕に抜かれる。
抜かれるぐらいやったら、最初っから抜くな!

登りの最後は、歩いても登れないような急な坂。去年、鈴木大先生は
(鈴木)「どないに遅うなっても、歩くよりは走った方が絶対に早いきん」
とおっしゃるので、最後まで無理して走り、むなしい体力の消耗をしただけで、ぜんぜん歩いてる人を抜くことが出来なかった反省から、今年は何のためらいもなく歩き出す。周りを見ても、僕らを含む最下位集団は全員が歩き出す。
(中山)「幹事長、歩いたら完走にはなりませんよ!」
(幹事長)「お前やって歩いとるやんか」
(中山)「僕は参加だけが目標ですから」
(幹事長)「今年はわしも大人の勝負をするんや」


歩きながらも中山選手(元ダイエー)との差はどんどん拡がっていく。そのまま折返し点で折り返すと、中山選手(元ダイエー)が100mくらい後を歩いてきているのが分かる。後半は急な下り坂がほとんど。ここで中山選手(元ダイエー)は当初の予定通り「下り坂になったらむちゃくちゃ飛ばす」作戦を決行する。僕も下り坂をバンバン走ってヨボヨボの年寄りをドンドン追い抜いていくのは好きだけど、その僕を一気に抜いていく中山選手(元ダイエー)。いくら下り坂で楽とはいえ、足への負担はかなり大きいから大丈夫かなあ、と思っていると、途中からさすがにペースが落ちてきて、下り坂が終わって、めちゃめちゃゆるい上り坂になったとたん歩き出す。
(幹事長)「なにしとんやあ!」
(中山)「・・・もう、ダメ・・・」(どこかで聞いたセリフ。そうや、オリーブマラソンや)
(幹事長)「頑張らんかあい!」
(中山)「・・・いってらっしゃあい・・・」(目が死んでる)

廃人になった中山選手(元ダイエー)を冷たく抜き去る。くどいけど、
抜かれるぐらいやったら、最初っから抜くな!などと言いながら、本当は再び抜かれるのが怖かった私。

予想通り、下り坂が終わって平らな道になると、足がガクガクのボロボロで、さっき抜いたばっかりのヨボヨボばあさま連中にスタスタと抜かれる。こいつら、ほんまにペースが落ちんなあ。ゾンビか!?
最後は去年と同じく、完全に力つきてしまい、前にも後ろにも人は居ない状態で、歩くのと変わらないスピードでなんとかゴール。後ろを数えていると、5人くらいまでは数えたけど、あまりに少ないので、もう数えるのはあきらめてタダのうどんに並ぶ。

(みごとなレース運びで初優勝を勝ち取る筆者)

普通ならマラソン大会でゴールすると、ポカリスエットやアクエリアスがタダで配られて、親の敵でも取ったようにガンガン飲みまくるのが気持ちよいのだけど、なぜか今回は見渡しでも配っていない。
(幹事長)「今年はポカリ配ってないんかなぁ?」
(増田)「えっ?配ってましたよう。飲みまくりましたよう」
(幹事長)「な、なんやて!ほしたら無くなったんかあ!」
(増田)「遅い人にはポカリも無いわけですね」
(幹事長)「お前らがぎょうさん飲むきんやんかあ!!」

と、増田選手をポカリ。(お粗末でした)

まあ、しかし、タダのうどんはいっぱいある。でも何やら鍋の様子が違う。何やら怪しい物がぎょうさん入っている。
(増田)「まさか最近はやりの薬物ではないでしょうね」
(幹事長)「それはシャレにならんから違うやろなあ」

なんと、うどんは味噌仕込みで、しかもいっぱい具が入っている。これはなかなかの出来映え。地元のおばちゃんの力作でした。去年のオリーブマラソンで早くそうめんが食べたいというだけの理由で5kmなんていうせこい種目に出場したF川選手に食べさせてやりたかった。
「F川よう〜、怒らんから戻ってこいよう〜」

ふと横を見ると、相変わらず酒飲みのT葉選手がビールを飲んでいる。
(T葉)「ふっふっふ、今年は景品にビールが当たりましたよ」
そう言えばT葉は去年は醤油が当たってしまって、鈴木先生からビールをめぐんでもらっていたなあ。ところが今年は、僕はビールが当たらずに、代わりに「湯ノ花」なんぞをもらってしまった。悲しい。

しばらくして、やっとこさ中山選手(元ダイエー)がゴールする。話を聞くと、危ういところで回収されかかったらしい。
(中山)「ふと気が付くと、すぐ後ろに大会関係者の車が走ってきよるんですよ。
     げげっ、最下位か、と思って慌てて走り出すと、
     まだあと5人おるけん慌てんでもええよ、って言われましたよう」

そら、慌てないかんぞ、中山。
しかもその後、さらに1人に抜かれた中山選手(元ダイエー)は、最終的にべったんから5番目だったのです。とゆうことは、僕もべったんから10数番目くらいのはずです。ここまでひどい成績も始めてですなあ。ところがタイム自体は去年より10分近く早くなっている。去年は後ろにまだまだいっぱい居たのに。おかしい。あまりの厳しいコースのため、遅い人達は参加しなくなったのかもしれない。
大酒のみの竹葉選手は相変わらず好調で、今回もかなりの好成績を残していた(はず)。

まあしかし、去年は四電ペンギンズの最終ランナーの栄誉を頂いた僕だけど、今年は5月のオリーブマラソンから中山選手(元ダイエー)に2連勝。
(中山)「病人相手に偉そうに言わんとって下さいよう」
中山選手(元ダイエー)は本当にバテバテで、タダのうどんも弁当も食べず、最大の楽しみの温泉にも入らず、足を引きずりながら早々に引き上げていきました。あほやなあ、せっかくの混浴露天風呂を(後述)。
しかし、ただでさえ体調の悪い中山選手(元ダイエー)に山岳マラソンはきつい。本来、マラソンって健康増進のためっていう意味合いが強いのだけど、塩江マラソンは絶対に健康に悪いと思うな。




レース後は、どこでも入れる温泉タダ券をもらい、最後の楽しみへ。去年は「カブトムシ温泉」っていう怪しい名前に釣られて行ってみたら、小汚い土産物屋兼食堂併設小規模風呂屋だった反省から、今年は慎重に選ぶ。
(増田)「走っている対岸に見えたレイクサイド塩江ってのがきれいでしたよ」
(幹事長)「よし、そこにしよう、そこに」
(竹葉)「ゲロゲロ」
しかし行ってみると、去年のカブトムシと変わらない小汚さ。
(幹事長)「こら、いかんわ。まだ取り返しはつく」
フロントに掛け合ってタダ券を取り返し、再び悩んだあげく、新塩江温泉ホテルへ。今から10数年前に高松から健脚大会で塩江まで歩いていった時に、やはりタダ券で入った時の豪華なジャングル風呂のイメージが残っていたのでした。ところが行ってみると、ここも朽ち果てていて、入るのが怖い感じ。中では10数年前と同じく、歌謡ショーに見入っている老人達が50人くらい居る。時代劇をやった後、そのままの格好でバンド演奏に早変わりして演歌を歌うという強引なショーだけど、盛んに声援が飛んでいる。タイムスリップしたような錯覚。
服を脱ぎながらT葉がつぶやく。

(竹葉)「やっぱり乳首に絆創膏を貼っておいたらよかったなあ」
(幹事長)「おっ“乳ずれ”になったんか?」
(竹葉)「擦れて痛いっすよ」
(幹事長)「でも顔が嬉しそう」

中は客がほとんど居ない。記憶では立派なジャングル風呂のイメージが、ただの木や草が生えた薄汚い温泉でした。
でもでも、なんと露天風呂があって、しかもこれがあなた、なーんと男女混浴だったのよん。中山選手(元ダイエー)は本当に惜しいことをしました。おバカやねえ。
と一瞬だけ思いましたが、考えてもみなさい。あなた。こなな薄汚れた温泉の混浴露天風呂に、ほんまに若い女性がおる訳が無い。おってもばあちゃんかサルくらい。当たり前よね〜。

長湯につかって出てくると、時代劇歌謡ショーはいつの間にか老人達のカラオケ大会に変身している。
一足先に出ていた竹葉は早くも生ビールを飲んでいる。いつかどこかで見た光景・・・。


〜おしまい〜




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