第21回 瀬戸内海タートルマラソン大会

〜 無念の制限時間オーバー 〜


2000年11月26日(日)、小豆島において恒例の第21回瀬戸内海タートルマラソン全国大会が開催されました。

毎年、このレースは欠かさずに出ている私ですが、いつもはハーフマラソンの部に出ていました。毎年、僕らハーフマラソンの選手が途中で折り返す中、そのまま走っていくフルマラソンの選手の背中を見ながら、「来年はフルマラソンに出ようかなあ」なんて思っていたのですが、結局、夏の暑い間は練習を徹底的にサボってしまうので、申し込みの9月頃には自信が無くなり、「やっぱり、今年もハーフマラソンにしとこ」とお茶を濁していたのです。
しかし、今年は、佐伯先輩が「幹事長くん!何を言よんかいな!フルやで、フルっ!」と過激に攻めてきたので、ちょっとムキになって僕も一緒にフルマラソンに申し込んだのでした。佐伯先輩は、今から十数年前、秘書部の若いおねいちゃん達を餌にして、僕をマラソンの世界へ引き込んだ張本人ですが、僕以上に長いブランクがあり、つい最近、マラソンを復活したばかりなんです。そのくせ、いきなりフルマラソンに出ようなんていう大胆な行動に出たのです。大丈夫かなあ、とは思うのですが、とにかく佐伯先輩がフルマラソンを走るのであれば、やはり僕としてもフルマラソンに出ないといけません。

て言うことで、フルマラソンに申し込んだため、今年は例年になく、練習が真面目でした。なーんて言うほどの事はしなかったのですが、10月29日の塩江マラソンも、今年はタートルマラソン大会の練習の一環という位置づけで走り、苦しみながらもなんとか乗り切り、かなり自信を持ち始めていたのです。
ところが、ところが、塩江マラソンの直後に雨の中、皇居の周りを走ったりしたのが悪かったのか、風邪を引いてしまいました。珍しく会社を休んだりしたのですが、近年にないほどしつこい風邪で、なかなか治らない。2週間くらい苦しみ続け、ようやくタートルマラソン大会の3日前の23日(祝)に久しぶりにトレーニングをしました。まだまだ咳がひどく、あんまり無理する必要もないとは思ったのですが、3日前の時点で、とても走れたもんじゃないっていう状態だったら、欠場しようと思っていたのです。やっぱり不安だったし。ところが、しばらくぶりに走った割には、塩江マラソンまでの練習の貯金があったからか、割と快調に走れてしまい、いつもの練習コース20kmを走れてしまった。これならなんとかいけるかも、って感じだったので、とりあえず出場するつもりに。
ところが今度は、天気が悪そうだという予報。ただでさえ風邪が完治してないのに、雨の中を走ったりしたら最悪なので、天気が悪かったら欠場にしようと方針を変更。やっぱり不安だったし。ところが、前日になって、いきなり明日は良い天気なんていう予報に変わってしまった。

ちゅうことで、結局、不安を抱えながらも、当日は早起きして決意も新たに出発したのです。
天気は朝から良い天気。もう走るしかない。高松港へ急いで、高速船に乗り込む。例年ならだいぶ余裕を持って、早い時間の時間の船に乗るのだけど、いつも大勢のランナーが乗っているため、すごく混んでいる。それで今年は作戦を変え、受付終了時間のギリギリのタイミングの船にする。これだと船を降りてから急がないと厳しいけど、船は空いているので座れる。少ないとは言え、他にもランナー達は乗っているので、少々遅れても、まあ大丈夫かな。そもそも、いつも早めに受付を済ませると、その後、開会式やらあって、時間をすごく持てあますもんな。
船に乗り、最近買った携帯MP3プレーヤーで音楽を聴いていると、あっという間に着いてしまう。
(余談ですが、このMP3プレーヤーは優れものです。MP3プレーヤーは前々から欲しかったのだけど、まだまだ高くてためらっていました。大手メーカーのものは2〜3万円くらいします。テープのウォークマンやMDプレーヤーと違って、駆動部が無いし、もっと安くなっていいと思うのに、まだまだ高いのが現状です。メモリーが高いのも大きな要因ではあるけれど。パソコンのメモリーがどんどん安くなってきたのと同様に、そのうちメモリーも安くなっていくだろうし、あと1年も待てば半額程度にはなるかなと思うので、ちょっと我慢だったのです。たまに無名メーカーが10000円くらいのを出してますが、とてもでかくて、あんまり軽くなくて、ちょっと買う気がしない。普通のカセットテープのウォークマンくらいの大きさです。音飛びしないとはいえ、こんなに大きいのでは、せっかく駆動部が無いデジタル音楽プレーヤーの意味が無いよなあ。なんでそんなに大きいのか分かんない。また、格安パソコンで有名なソーテックが9800円のを出していましたが、値段も安い上、大きさもまあまあで、かつデザインもよく、なかなかの優れものなんですが、メモリーがわずか16MBしかなく、音質をかなり落としても30分くらいしか入らず、あんまり使い物になりません。しかし最近、ソーテックが新製品を出したのです。価格は12800円と少し上がったけど、旧製品に比べてほんの少し小さくなったし、メモリーも32MBになったので、これを買おうと思ったのです。ところが電話で問い合わせてみると、注文しても5週間はかかると言われ、取りあえず諦めたのです。すごい人気ですな。悩んでいるうちに、同僚がKANA2000という無名メーカーのプレーヤーをインターネットで注文したのです。価格は1万円ちょっと。安いのだけど、ちょっと大きい。しかもメモリーは無し。ただし、コンパクトフラッシュメモリーが使えるので、僕のデジカメと同じなので、メモリーを兼用できるのです。て言うことは、出費は1万円ちょっとで済む。で、それをちょっと借りてみて、そんなに悪くもなければ買おうかな、って思ったのでした。ところが、最近、高松の自宅近くに出来たPC DEPOTという大きなパソコンショップのチラシに、そのKANA2000が7970円で出てきたのです。それでさっそく見に行きました。ところが売り切れ。しかたなく他のを見ていたら、なんとIO DATAの製品が8870円で売っているのです。これはメーカーの希望価格が19800円で、実売価格も通常は18000円くらいのものなんです。PC DEPOTでも普段は18000円くらいで売っていたのですが、なぜか突然、一気に8870円になっていたのです。この製品は、もう滅茶苦茶小さくて、他のメーカーの製品の半分くらい大きさで、たぶん世界最小だと思います。IO DATAなら信頼性も高いし、しかもメモリーも32MBあるし、とっても優れもので、以前から一番欲しかった製品なんだけど、値段がちょっと高いので諦めていました。それが8870円だなんて。でもこれも品切れ。店員に聞くと、そのうち再度入荷するらしい。でも、「一体どうして急にそんなに安くなったの?」って聞いたら、なんでも「メーカーが卸価格を下げたから」なんていう返答。でも、急に半額になるなんて、おかしいなあ、と半信半疑状態。インターネットで調べてみても、安くなった話なんてどこにも出ていない。メーカーのホームページの11月価格も、相変わらず19800円だし。数日後、東京へ出張に行き、秋葉原へ偵察に行きました。しかし、どこの店でも18000円前後で売っている。すごくおかしいぞ。高松のPC DEPOTの価格はいったい何なんだ。やっぱり店員の勘違いかも。それで高松に戻るやいなや、空港から直行したら、なんと10台ばかり入荷していました。しかも価格はやはり8870円。迷わず買いました。もう、めちゃめちゃナイスです。ものすごく小さくて軽くて、胸のポケットに放り込んでも、ほとんど重さを感じないくらい。音質もとても良いし。あまりに感動したので、もう1台買いました。2台も買って、どないすんやあ!32MBだと通常の128kbpsだと30分くらいしか入りませんが、音質を64kbpsまで落とせば1時間くらいは入ります。イヤホンで聴く限り、64kbpsでも全然問題無い音質です。増設のメモリーが欲しいところですが、メモリー単独で買っても32MBで8000円くらいはします。て言うことは、もう1台買うのと同じくらい。いくらなんでも、ちょっとジレンマ。それにしても、不思議な価格。インターネットで探しても、秋葉原で探しても、そんなに安いところはない。そもそも、メモリー単体と同じくらい安いだなんて、どう考えてもおかしい。やっぱり何かの間違いではないか、って思っていたら、12月に入って、ようやく分かりました。IO DATAが新製品を出したのです。今度は最初から64MBのメモリーを搭載し、接続もパラレルからUSBになりました。それが実勢価格で19800円くらいなので、旧製品が一気に値崩れし始めたのです。秋葉原だと10000円を切る店も出てきました。僕が買った店は、その傾向を1ヶ月先取りしていたのでした。ま、そらそうやわな。でも個人的には大満足です。)

船から降りて会場へ急ぎ、なんとかギリギリで受付を済ませ、選手控え室となっている公民館に入ると、なーんと佐伯先輩に遭遇してしまう。この何千人もいる中から、いきなりばったり出会うなんて、奇跡に近いぞ。探してもないのに。
(幹事長)「調子はどないですか?」
(佐伯)「あかんのや。最近、膝を痛めてしまってロクに走ってないんや」
(幹事長)「トシですねえ。私も最近、腰がすぐ痛くなってしまうんですよ」
(佐伯)「あちこちの筋力が衰えてくると、骨や関節に負担がかかるようになるんや」
などと慰め合いながらも、しかし、密かに、佐伯先輩には勝ったぞ、とほくそ笑む。なんちゅうても、十数年ぶりにランニングを再開して日が浅い。おまけに膝を痛めている。もしかして、完走も危ういんとちゃうか?

他には、ペンギンズのメンバーで誰が出場したかは不明。私個人としては、実は年間で一番重要視しているレースなんだけど、35歳以上という制限があるから、ペンギンズの主力を担う多くのメンバーが出られない。年齢制限を圧倒的にクリアする隅田大先生は例年なら出ているのだけど、確認はできない。本人はペンギンズではないと言い張っている亀山選手も最近は毎年出ているのだけど、この大勢のランナーの中から見つけるのは不可能に近い。

(幹事長)「目標はどうですか?」
(佐伯)「なんとか制限時間の5時間で完走せんといかんから、前半の21kmを2時間で走り、
     後半の21kmを3時間で帰ってくる、っていうのが目標やなあ」
(幹事長)「ふむ。まあ、そんなところですよねえ。最後の方は歩くかもしれんし」
しかし、ん?前半で2時間とな?この坂の多いコースは、例年、21kmのハーフマラソンに出ているのだけど、だいたい2時間くらいかかっている。それでも最後の方はかなり苦しい。今年は、その後に、さらに21km走るという組み立てか。それって、むちゃむちゃ厳しいぞ。

さて、この大会は、毎年11月末の開催なのに、本当に毎年毎年、暖かい日が続きます。過去の記録を見ると驚きます。で、半袖のTシャツにすべきか、長袖にすべきか悩んでしまう。例年なら迷わず半袖にするのだけど、今年はフルマラソンなので、最後の方は歩くのではないかという危惧があり、いくら良い天気でも汗で濡れた半袖シャツで歩くのは寒い、と思う。で、暑いのは我慢できるけど、寒いのは体に悪いので、少々暑いのを我慢して長袖にする。周りを見回しても、ハーフマラソンの選手はみんな半袖だけど、フルマラソンの選手は長袖もいる。やっぱりね。

スタートが近づいてくるが、プレッシャーはあるようで、無い。最後まで完走できるか、の不安はあるけど、タイム的には最初から何も目標が無いので、その点は楽。なんでもいいから走って帰ってこられれば、タイムはどうでもいい。ま、制限時間内には帰ってきたいけど。
いよいよスタートとなり、走り始めるが、前回の塩江マラソン以上に徹底的にゆっくり走る。佐伯先輩も同じ戦法だけど、その佐伯先輩すら、すぐに背中が見えなくなってしまう。いくらなんでも遅いかな、とも思いつつ、自分を抑える。なんちゅうても、走れなくなったら終わりやしね。

この瀬戸内海タートルマラソン大会は、塩江マラソンのような完全な山岳マラソンとは違うものの、結構、坂がある。小豆島の海岸線を走る気持ちの良いコースなので、誤魔化されがちだが、全体の1/3くらいは坂じゃないかなあ。いつもなら坂で追い抜く戦法を取るところだけど、最後で足が動かなくなると困るので、今日は無理せず、坂になると徹底的にペースダウンする。後ろの方からスタートため、周りを走るランナーも同じようなレベルの遅い選手ばっかりで、穏やかな雰囲気でレースは進んでいく。
最初の距離表示の5km地点でのタイムを見ると、しかし、予想以上の遅いペース。あまりに遅い。ものすごく遅い。いくらなんでも遅すぎる。このままでは、前半2時間どころか、2時間半くらいかかり、5時間での完走が不可能なタイム。ちょっとあせりが出てきて、少しだけペースを上げる。

しばらくすると、いきなり後ろから声を掛けて追いつく奴がいる。おおっ!亀山選手やないの。
(松)「おっ、亀ちゃんやないの。やっぱり出とったな!」
(亀)「頑張ろうで!」
(松)「前半は徹底的にセーブするきんね」
(亀)「ほうか。じゃお先に」
さすがは亀ちゃん。軽快な足取りでスタスタ去っていきました。そう言えば、一昨年もこの辺りで抜かれてしもたなあ。
さらにしばらくすると、少し遅れてスタートしたハーフマラソンの選手が圧倒的なスピードでどんどん追い抜いていく。ま、これは無視する。

なんとかセーブしまくりのおかげでハーフマラソンの折り返し点まで来たけど、意外なほど足腰がしんどくなっている。まだ1/4しか走ってないぞ。おかしい。こら、どう考えても、3日前に20km走ったのが悪影響しているようだ。まだ疲労が取れていないみたい。病み上がりのハードな練習は、やっぱ、まずかったか。僕の周囲には、フルマラソンの選手はだんだん少なくなっていき、大半がハーフマラソンのランナーばっかり。で、そのハーフマラソンの選手が折り返していく中、そのまま進むと、周りのランナーが一気に少なくなる。げげっ。寂しいぞ。
しかし、ええこともある。ハーフマラソンの折り返し点までは給水ポイントには水くらいしかなかったのが、そこからは突然、ミカンやらパンも出てくる。今までレース中は、水を取るのもできるだけ控えていたくらいだけど、今日は長丁場なのでミカンをいただく。ちゃんと皮まで剥いてくれていて、そのままパクッと食べると、これがあなた、むちゃくちゃ美味しかった。そういうシチュエーションだからだろうけど、でもやっぱり、潮風で育った島のミカンは美味しい。それで元気になり、走り続ける。次の給水ポイントではパンも食べてみる。中にクリームが入った美味しいパンでした。なんだか嬉しくなる。

しかし、ペースはどんどん落ちていき、マジで制限時間内の完走に黄信号がともり始める。だが、ここで無理して走れなくなって回収されてしまうのも悔しいので、あまり無理はしない。
そのうち、折り返してきた佐伯先輩に会ってしまう。なんと、佐伯先輩はかなり良いタイム。予想外の健闘。最初のペースが速かったから、てっきり早々とつぶれると思っていたのだけど、全然ペースが落ちていない。げげっ。こら負けてしまうど。
なんとか折り返し点までくるけど、タイムがすごく悪い。前半2時間という目標を大幅にオーバーしている。後半、かなり粘りを見せないと厳しい。折り返し点から戻ってきながら自分より遅いランナーの数を数えてみると、げげっ、ものすごく少ない。十数人しかいない。そこまで遅かったか。まずいなあ。
しかし、足腰は相当弱ってきており、まだ半分しか走ってないのに、早くも足元がヨレヨレ状態に。それを見透かしたように、沿道のおばちゃんが「リタイアしたら、いかんでえっ!」なんて声をかけてくれる。こういう声援がありがたい。おばちゃんに励まされて元気が蘇り、給水ポイントのたびにミカンやパンを食べまくりながら、なんとかハーフマラソンの折り返し点まで戻ってくる。これで3/4が終わった。あとは10kmちょっとを残すのみ。とは言っても、足はほぼ限界にきているみたい。
ここから先は、ほんの少しでも登り坂になっていると、なんのためらいもなく歩く。ひたすら歩く。前のランナーも歩いているし、後ろのランナーも歩いている。ここまでくると、ほとんど順位の移動はない。みんな、ものすごく遅い。完走だけが目標。そのうち、平らなところでも歩いているランナーが出てくる。しかし、それを笑っているのもつかの間。こっちも、とうとう耐えきれなくなって平らなところでも時々歩いてしまう。さらに、下り坂でも歩いているランナーがいる。いくらなんでも、これはひどいぞ。まだ数kmも残しているのに、大丈夫かいな。すごく良い天気とは言え、歩いていると、さすがに風が涼しい。って言うか、かなり寒いぞ。長袖にして良かった。

この辺りから、回収車が行き交うようになる。このマラソン大会は地元のボランティアの方々の協力で成り立っている心温まるレースなんですが、そのため、心優しい大会関係者が片っ端から車を走らせて、「大丈夫ですかあ?」「乗っていきませんかあ?」なんて声をかけながら、遅いランナーを回収しまくるのです。どんなに遅くても強制回収されないのは町中のレースと違ってありがたいのですが、あまりにも頻繁に親切に声をかけてくれるので、この誘惑に負けない精神力が必要です。もう少しで抜ける、と思った先行ランナーが、僕の目前で回収車に乗ったりすると、こっちもやる気がなくなります。しかし、逆に「どんなに遅くても最後まで頑張りましょうね」なんて言いながら抜いていったおねいちゃんもいました。

恨めしそうに回収車を見ながら、もう駄目か、遂にリタイアか、などと弱音を吐きつつも、一方で、歩いてもゴールするぞ、と珍しく根性を出して痛む足を引きずりながら、時々歩きながらも、なんとか40kmを過ぎる。ここまで来たら、なんとかゴールできるぞ。こんな根性を出したのは、数十年ぶりやなあ。
しかし、ところが、ここで遂に、制限時間の5時間となってしまう。がーん。そら、そうやわな。最後の方で、かなり歩いたもんなあ。ま、しかし、こういうレースだから、多少の制限時間オーバーは大目に見てくれるだろうと思い、諦めることなく最後までなんとか走る。最後の1kmでは残る力を振り絞ってスパートしたため、ゴール直前で1人抜くこともできた。(なんのためや?)

(苦しみながらもトップを死守する長袖の筆者)

そして、遂にゴール。
あれ?しかし、ゼッケンに付けたチップが回収されないぞ。これが回収されないと正式タイムが出ないんじゃないか?って思って見たら、なんと既にタイム計測器が片づけられている。なーんと!結構、シビアじゃん!
一応、おねいちゃんがタオルを掛けてくれたけど、結局、正式タイムは無しで、完走証も貰えなかった。ひえ〜。せっかく完走したのに完走証が貰えないなんて。
当然のようにあったかいそうめんもなくなっているし、飲み物の支給も無くなっている。ひえ〜。なんだか悲しい。おまけに、お弁当の交換所まで無い。ひ、ひどいっ!ひどすぎる。さすがにこれは困るので、関係者らしき人に聞いてみると、すぐにテントの中から出してきてくれました。良かった。

お弁当を抱えてふらつきながら選手控え所に戻ってくると、佐伯先輩が心配そうな顔で待ってくれていた。
(佐伯)「大丈夫かっ?」
(幹事長)「へえ。なんとか」
(佐伯)「どこかで倒れて回収されたんかと思とったぞ」
(幹事長)「なんとか完走しました。佐伯さんはどうやったんですか?」
(佐伯)「意外に快調で、後半になってもペースが落ちずに完走できたぞ」
予想に反して、佐伯さんは、練習不足にもかかわらず好タイムでゴールできたようです。
(幹事長)「前半あまりにセーブしすぎたんが良くなかったかもしれませんなあ。
     いくらなんでも、あの前半のタイムでは厳しかった」
(佐伯)「そうそう!多少ペースが速かろうが遅かろうが、最後にバテるんは同じやから、
     最初からハーフマラソンくらいのペースで走った方がええよ」
完全な作戦ミスに泣く私ですが、ま、ええ勉強になりました。
(幹事長)「来年は負けませんからねっ!」
(佐伯)「いや、僕は、もう来年は出ない」
(幹事長)「えっ?」
(佐伯)「こんなしんどいのは、もう十分や。ちゃんと完走証ももらったし」
(幹事長)「悔しいーっ!」


疲れた体を癒すには、温泉しかない。塩江マラソンと同様に、このマラソンも近くのお風呂屋さんのタダ券が支給されている。で、佐伯先輩とどこのお風呂に行こうか相談して出かけると、なーんと、お風呂の入浴時間も終わっている。
(幹事長)「なんでなのーっ?」
(風呂屋のおやぢ)「ランナーがいっぱい入るとお湯が汚れるから、今から入れ替えして掃除するんや」

てな訳で、なんとか完走できたのは良かったけど、完走証は貰えなかったし、お風呂にも入れなかったし、いまいち寂しさも漂うレースでした。

後日、皇帝ペンギンの竹葉選手から電話がある。
(竹葉)「タートルマラソン出ましたか?」
(幹事長)「当たり前やんけ。お前は?」
(竹葉)「いや、僕は今年は出ませんでした。で、完走しましたか?」
(幹事長)「当たり前やんかあ。軽いもんよ。へっへっへ」
(竹葉)「おっ、やりましたな。で、タイムは?」
(幹事長)「ふむ。それは、まあ、その・・・」
やっぱり、完走証が無いと悲しいなあ。


〜おしまい〜




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