第26回 小豆島オリーブマラソン大会

〜 中山選手 驚異の快記録 〜



情けないことに、幹事長ともあろう者が、今年のオリーブマラソンはサボってしまいました。
実は、今年は4月頃から快調にトレーニングメニューをこなし、4月末には既に準備万端状態でした。
ところが、まずゴールデンウィークで疲れ果てて風邪が悪化し、それがやっと回復しかけた頃、今度は飛行機に乗って地獄を見てしまい、完全に調子を崩し、とても走れる状態では無くなってしまいました。
まあ、それでも、みんなも来るだろうし、完走できなくても出るだけ出れば楽しいかな、なんて思って、一応は行く予定でした。

で、レースの3日前。今となっては阿南支部をたった一人で支える竹葉選手から電話が入る。
(竹葉)「今度のオリーブマラソンは出るんですか?」
(幹事長)「えっ?なんで?出るに決まっとるやんか」
(竹葉)「SARSは大丈夫でしょうねえ?」
そうなのだ。この直前に、台湾医師のSARS感染事件が起こったのだが、その台湾医師が小豆島に立ち寄っていたのだ。
(幹事長)「せやけど、台湾医師が泊まったのは土庄町で、オリーブマラソンがあるんは内海町や。
       同じ小豆島とは言え、東と西やから、だいぶ離れとるよ。大丈夫だいじょうぶ」
(竹葉)「そうっすかねえ。大丈夫っすかねえ?」
僕としては、これは、竹葉選手が本気でSARSを心配しているのではなく、単にサボる理由を探しているとしか思えなかった。何と言っても、竹葉選手は、走れば僕らとは断然レベルの違う超実力者なんだけど、申し込んだレースの2/3はサボるという、サボりの常習犯なのだ。すなわち、今年も竹葉選手はサボるだろう。

で、レースの2日前。この日はF川と一緒に東京へ出張だった。「地獄の飛行体験」にも書いたように、以前は仕事上は全く無関係の関係だった僕とF川なんだけど、最近はよく一緒に会議に出たりしており、その日も一緒に他社との会議に東京へ行ったのだ。
で、その帰りにF川は、ちょっとわざとらしくつぶやくのだった。
(F川)「ちょっときついなあ。週末も仕事かなあ」
(幹事長)「何をわざとらしい伏線を張っとんのや?」
(F川)「だって今日の会議結果とかまとめないかんし」

確かに、会議で好き勝手言いたい放題言えば済む僕と違って、まだまだ下働きのF川選手は、敵の言い分を分析したり、議事録を作成したり、と忙しいのは間違いない。
(幹事長)「そんなん土曜日のうちに済ませたら日曜日のマラソンは出れるぞ」
(F川)「はあ、そうですけど、しんどいなあ・・・」

ここで、F川選手もサボるの間違いない、と確信した。

そもそも、今年の参加者は少ない。毎年、出ていたピッグ増田選手や笹谷選手は東京支部へ行ってしまったし、若きエース石材店は故障のため出られないし。てな訳で、今年の参加者は、僕と竹葉選手とF川のほかには、福家先生高知支部長中山選手(元ダイエー、現ジュビロ)しかいない。
このうち、中山選手(元ダイエー、現ジュビロ)は最近の統計では1.5年に1レースしか参加しておらず、1年前のオリーブマラソンに出たって事は、今度の参加は今年の秋の塩江マラソンになる予定なので、たぶん今回はサボりだ。高知支部長は、この時期は、決まって出張やらゴルフで潰れてしまってサボりが多いから、これも可能性は少ない。
て、事は、必ず父上と一緒に参加する福家先生以外、出るメンバーがいない可能性が漂ってきた。これは、まずい。いくら体調が悪くても、やはり僕だけでも行かなければ、なんて思ったりもする。

ところが、当日、朝5時に起きて外を見ると、かなり激しい雨と風。ここまでしっかり降ってくれると決心が着きやすい。
(幹事長)「よしっ!今年はサボりやっ!この雨風なら誰も文句は言わんやろ。堂々とサボれるわいっ!
       て言うか、これならうちのメンバーは誰一人参加してないだろう。独りで行っても寂しいし」
って事で、再びお布団に潜り込む。
ところが、しばらくして再び起き出すと、雨がやんでいる。ううむ。どうなっとんのや。今にも降りそうだけど、しぶとく降らない。しかし、オリーブマラソン行きの船はもう出てしまっている。いまさら参加はできない。ここが島の不便なところ。塩江マラソンとか丸亀マラソンの時は、雨でも一応、現地まで行き、雨がやめば参加するし降り続けばサボるし、っていう対応を取っているけど、島なので、スタートの数時間前に決断せねばならないのだ。
その後、しぶとく雨は降らず、結局、夕方まで降らなかった。逆に、ずうっと曇りだったので、コンディションとしては悪くないのだ。この季節、カンカン照りになると暑くて参ってしまうけど、今日なら、風は多少強いが、悪くない条件だ。こうなると、サボったことが悔やまれる。自己嫌悪に陥ってしまう。せめての救いは、どっちみち、うちのメンバーはみんな早々にサボりを決断している事だろう、って事だけだった。

翌日、出社すると、さっそくF川からメールが届いていた。しかも、わざとらしくレース当日に出している。
(F川)「このメールは、5月25日(日)に書いております。したがって、説明するまでもなく、本日のオリーブマラソンは欠席しました。
     幹事長は、事情はよくご存じかと思います。業務多忙のために出勤しております。どうかお許しください」

ま、僕もサボったし、許してつかわそう。
さらに高知支部長からもメールが届く。
(支部長)「前日のゴルフコンペがたたり、ドタキャンさせていただきました。申し訳ございません。
       寄る年波には勝てず、日曜日に起きると腰が痛いやら、足が今にもつりそうやらでどうしたものかと思案していたところに、
       雨が降り出し、これは天の思し召しと不参加を決意してしまいました」

ふむ。雨が降ってラッキー、なんて思ったところは、僕と同じやなあ。共感がもてるので許す。

あとは中山選手(元ダイエー、現ジュビロ)がサボった確認をするだけだ。さっそく電話をする。
(幹事長)「もしもし」
(中山)「幹事長、何しよんですか!サボったらいかんやないですかっ!」
(幹事長)「ぎくっ。どういう事や?まさか、出たん?」
(中山)「当たり前ですがな」
(幹事長)「でも出る頃に雨が降っとったやろ」
(中山)「あんなん雨のうちに入りませんよ
ななな、なんとかーっ!ちょびっとでも雨が降っていたら即サボっていたかつての中山選手(元ダイエー、現ジュビロ)ではないのかっ!?
(幹事長)「で、どうやったん?」
(中山)「それがですねえ。ずっと曇り空でコンディションが良かったせいもあって、ものすごく調子が良くて、1km5分を切るペースでしたよ」

(幹事長)「ぎょえ〜っ!」
最近のペンギンズは、メンバーの二極分化が激しく、早いメンバーはどんどん記録を伸ばしている反面、中山選手(元ダイエー、現ジュビロ)は、僕やF川や高知支部長と同じく、走るたびに記録を落としているグループのはずだったのに。
(中山)「どうですか?幹事長には破ることの出来ない記録でしょ?」
ひえ〜っ!悔しいけど、認めざるを得ない。
しかし、これはどうした事か。奴がそんなにトレーニングを積んでいるとも思えない。絶対に思えない。かと言って、潜在的に才能が隠れていたとも思えない。絶対に思えない。
(幹事長)「今年は距離が短かったんとちゃうか?」
(中山)「でも竹葉さんは記録を落としてましたよ」

ななな、なんとかーっ!!サボり魔の竹葉も出ていたのかーっ!
つくづく自分がサボった事が後悔される。悲しいなーっ!
(幹事長)「それにしても、すごい記録やなあ」
(中山)「もっと練習していた若い頃より記録が良くなるなんて、不思議ですねえ」

(幹事長)「おかしな薬は使うてないやろな?」
(中山)「薬は飲んでませんが、竹葉さんのアドバイスで、バームを飲みました」
(幹事長)「それやったら、僕はいつでも飲んでるよ」
(中山)「あと、980円のデジタルウォッチを買ったのが良かったですね」
そう言えば、去年は、貧しい中山選手(元ダイエー、現ジュビロ)は秒の分からない安物時計をしていたため、あと14秒で目標の2時間を切れなかったのだった。
せやけど、バームや時計で、そんなに一気に早くなるとも思えない。あー、悔しいぞっ!

やっぱり、サボりは良くないっ!今度からは、何があってもサボりは止めよう!


〜おしまい〜




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