第10回 屋島一周クォーターマラソン大会
昨年度より突然、ペンギンズの公式レースに選定された屋島一周クォーターマラソンが今年も2005年9月25日(日)開催された。公式レースに位置付けられると、メンバー全員に強制的に参加義務が課される。
(石材店)「その割には、なんとなく参加者が少ないですねえ」
(幹事長)「しかし、なんと今回は新人部員が2人も出るのだぞ。
しかーも、そのうち1人は期待の女子部員だっ!!」
最近、レースのたびに女子部員発掘に余念がない石材店と幹事長の努力のおかげで、今回も超有望女子部員がデビューの運びとなった。仮に名前は久美ちゃんとしておこう。
(久美)「そのまんまやないですかっ!」
(石材店)「去年の新人YOUちゃんみたいなニックネーム無いんですか?」
(幹事長)「なかなか良い仮名が思いつかん」
久美ちゃんは知る人ぞ知るバレーボールのエースアタッカーだ。
(久美)「もうバレバレですね」
(幹事長)「どうせ会社のホームページにもデカデカと載っとるやないか」
しかも、驚いたことに、中学校の時は学年で5本の指に入る長距離ランナーであり、学校対抗のレースに出たこともあるのだ。
(石材店)「ほ、ほ、ほ、ほんまですかっ?知らなかった」
(久美)「もう古い話ですよぅ。中学校を卒業してからは、ハンドボールとバレーボールばっかりですよ」
(幹事長)「心配せんでええ。高校や大学で陸上やったような人間はペンギンズにはおらん!」
その時、突然、不気味な笑い声が聞こえる。
(サル2号)「ふっふっふ。忘れちゃ困りますよ。私、高校の時に陸上部でしたよ」
サル2号の突然の登場だ。
(幹事長)「あんたは走り幅跳びやんか!」
久美ちゃんのデビューを迎え撃つのは、なんと、あのサル2号だあっ!
(石材店)「よく出てくれましたねえ」
(幹事長)「いやあ、ほんま、おサルの格好をあんなに恥ずかしがっていたのに。
おまけに冬場の満濃リレーマラソンと違い、炎天下の屋島でサルは暑苦しいぞ」
(サル2)「今回は普通の格好で走りますっ!」
普通の格好とはいえ、1周2kmの満濃を走っただけでゼイゼイ言っていたサル2号が12kmの屋島一周を走るなんて、画期的!
実は久美ちゃんは、サル2号が絶対に出ないと思って「サル2号が出るんなら私も出るわ」なんて適当な事をうそぶいていたら、サル2号があっさりと出場を決めたので、後に引けなくなったのだ。
さすがはサル2号。元陸上部の意地から、売られた喧嘩は買わずにおられようか。サル2号が出場するせいで久美ちゃんの出場も決まった訳であり、サル2号は1人で2人分の貢献だ。
(石材店)「1粒で2度おいしいキャラメルみたい」
ただし、サル2号、久美ちゃんともに、練習は最長で4km走のみ。いくら若いコンビとは言え、一抹の不安が。
さて、この屋島一周クォーターマラソンは、源平合戦の名所である屋島の周り12kmを走るという、かなり局地的でマイナーなレースであり、高松市の住民か高松市に通勤通学する人しか参加できないことになっている。しかし、あくまでも自己申告であり、なんの証明も要らない。しかし、この要件を盾にとって出場を拒む奴がいる。
(幹事長)「お前やっ!F川っ!」
愛媛県に転勤してからと言うもの、F川の消息を聞く者はいない。果たして生きているのだろうか?
(増田)「ところで、そもそも12kmだのに、なんでクォーターマラソンって言うんでしょうねえ?
マラソンのクォーター(1/4)なら10.5kmくらいですよねえ」
たしかに、スタートは屋島陸上競技場だが、ゴールは、その辺の適当な道ばたであり、どうせなら10.5km辺りをゴールにすればいいようなものだ。
(石材店)「屋島の周りと言いながら、関係ないところも走るくらいですからね」
(幹事長)「そもそも、時々ある距離表示もウソばっかりやもんなあ。本当は何キロあるのか疑問やぞ」
ま、しかし、この12kmという中途半端な距離が素人を戸惑わせる。「もしかして私でも走れるかも」なんて勘違いを起こさせるのだ。
(久美)「わわわ、私は、な、何か勘違いをしているのでしょうかっ!?」
(幹事長)「いやいや、あなたの潜在能力からすれば、バレーボールをドリブルしながらでも走れる距離ですよ」
(石材店)「バレーボールはドリブルしたら反則ですよ」
(幹事長)「ま、炎天下でなければ、12kmなんて快適な旅じゃ」
当日は炎天下であった。
(幹事長)「なんじゃーっ、この暑さはっ!」
(久美)「昨日の涼しい曇り空はどこへ行ったんじゃあっ!」
今年の夏は猛暑だったが前日は結構涼しかったのだ。それが当日は、再び夏に逆戻りでガンガン日差しが照りつける。
今回の参加者は、幹事長と石材店、ピッグ増田、新居浜支部長、阿南支部長、福家先生にサル2号、久美ちゃん、さらにおまけに新人男子を加えた9人のはずだった。
(石材店)「既に過去形ですね」
(ピッグ)「阿南支部長の姿が見えないんですよ。また二日酔いかなあ」
福家先生のお父上(82歳)は、今年も最年長選手ということで開会式で紹介された。相変わらずスーパーじいさん振りを発揮している。
行方不明者を除くペンギンズ主力メンバー
(ピッグ)「ところで今回は新人が2人いるって言ってませんでしたか?もう1人はどこ?」
(幹事長)「そやっ!すっかり忘れとった。新居浜支部長が連れてくるはずだが」
(支部長)「それが来ないんですわ。どこ行ったんかなあ」
いきなり行方不明の新人君だが、女子部員が2人も参加したことで有頂天になったメンバー達は、新人男子部員の事はあっさりと忘却した。
女子部員の背番号は1002番と1003番だ。去年はYOUちゃんが1001番でサル1号が1002番だったが、今年も招待選手のような背番号をゲットしたのだ。
(石材店)「ところで去年に比べて参加賞が小ぶりですね」
(幹事長)「ほんまや。去年もらった立派なバッグは、こないだシュノーケリングの道具を詰めてプーケットまで旅したけど、
今年のバッグは小さいな」
ま、参加費が1000円と格安のレースなので文句は言えない。
スタート時間が近づいてきて選手達が集まってくる。距離も適当な親善レースの割には、気合いが入った選手も多い。それを見て新人はビビる。
(久美)「あ、あの、わたくし、ちゃんと走れるでしょうか?どきどきどき・・・」
(サル2号)「走れなくなったら救護車があるんでしょ?」
相変わらずサル2号はマイペースです。
(ピッグ)「幹事長の目標は?」
(幹事長)「去年は1時間を切れなかったので、今年は1時間を切るぞ。新居浜支部長の目標は?」
(支部長)「いやあ、私は完走あるのみですわ」
もちろん、彼の言葉を鵜呑みにしてはいけない。彼はいつも虎視眈々と僕に勝つことを狙っているのだ。恐らく今回も万全なトレーニングを積んでいるとは思えないので、序盤で早々に引き離してやる気をそぐ作戦でいこう!
今年も前の方から「記録を狙う人」、「完走が目標の人」、「楽しみながら走る人」に分かれて並ぶ。
(ピッグ)「完走が目標の人よりは、楽しみながら走れる人の方が早いと思うんですけど」
どう考えても楽しみながら走れる私らではないが、「記録を狙う人」の最後尾にポジションを取る。
まだスタートまで5分あると思って油断していたら、僕の勘違いで、いきなりスタート時間がやってきた。心の準備が不完全なままで、とにかく飛び出す。
ここのところトレーニングにおいて妙にタイムが悪くなっており、かなりの不安があったが、その割には自分ではそこそこのスピードでスタートできたと思っていた。
最初は僕の後ろにぴったり着いていた新居浜支部長も、たぶん早々に脱落したはず。
5km地点が近づいてきた頃、沿道でこっちを熱心にビデオで撮る人がいる。ビデオカメラで顔が半分隠れているが、あれは会社の人だ。間違いない。
僕を撮ってくれているのか。ありがたいことです。と思ったら、突然、すぐ後ろの耳元で新居浜支部長が叫ぶ。ビデオを撮ってくれている人に声を掛けたのだ。
なんと、ビデオは僕じゃなくて、僕のすぐ後ろにいた新居浜支部長を撮っていたのだ。
とっくの昔に引き離したと思っていた新居浜支部長が、今だに後ろにピッタリ着いてきているのを知って、背筋が寒くなった。げげげっ。
そこから再び気合いを入れ直してガンガン走ったつもりだが、いつまで経っても彼の息づかいが聞こえてくる。てことは、全然ガンガン走れてないってわけか。怖い。怖すぎる。
シドニーでシモンに追いかけられたQちゃんのような心境だ。
5kmの給水所でも手早く水を飲んで、スピードを緩めることなく走り続ける。とは言え、5km地点でのタイムは、信じられないくらい遅い。
このレースの距離表示は詐欺と言えるほどいい加減とはいえ、それにしても遅すぎる。新居浜支部長がピッタリ着いてきている事と考え合わせれば、かなりの危機感を抱く。
このコースは屋島の周りを一周するもので、結構、坂がある。コースを知らないと、突然現れる坂に精神的なダメージがあるが、熟知しておれば、どうってことはない。
とは言え、炎天下の暑さで、とてもしんどい。秋から春にかけてのレースなら足が動かなくなることはあっても息が苦しいことはない。でも今日は、心臓バコバコで呼吸も苦しい。
ようやく最後の坂を終え、後は平坦な道が2kmくらい残るのみだが、最後の単調な直線コースは精神的には厳しい。
最後くらいはスパートしようかと思ったが、時計を見ると、ものすごくタイムが悪いので、今さらスパートしても何も得るところはない。
唯一の不安は新居浜支部長だが、後ろを振り返ると、いつの間にか脱落して姿が見えないので、安心して最後を軽く流す。タイムは情けないほど悪かった。
いつもの事ながら、早々にゴールした石材店がカメラマンに徹して写真を撮りまくってくれる。
(幹事長)「いや、お恥ずかしい。めちゃめちゃ遅かったなあ」
(石材店)「僕も今年は遅かったですよ。暑さのせいですね」
とは言え、石材店は去年より1分ほど遅かっただけだ。
ゴールしてしばらくすると新居浜支部長がゼイゼイ言いながら帰ってきた。
(幹事長)「いやあ支部長、相変わらずの脱落ぶりじゃのう!」
(支部長)「前半は、はやる心を抑えて力をセーブして敢えて幹事長の後ろを着いていったんですけど、
上り坂になってから着いていけんようになりました。最初から飛ばしていけば良かったかなあ」
(石材店)「支部長はどんなレースでも絶対に後半つぶれますね。
ハーフマラソンでも10kmレースでも、あと2〜3kmってところで絶対にバテますね」
支部長に続いてピッグ増田がゴールした。かつては3回に2回は幹事長に勝っていたピッグだが、最近は、勝った負けたの次元を超越した余裕ある走りを展開している。
ゴールの写真を見る限り、支部長より圧倒的に余裕がある。
(幹事長)「最近、ほんとに優雅な走りやなあ。支部長にも完敗しとるぞ」
(ピッグ)「いやあ、元気に走れるだけ幸せです」
さて、最大の関心事は女子部員の健闘である。
(支部長)「去年は新人女子部員に負けたけど、今年はなんとか勝てて良かったな」
特に、新人女子部員の久美ちゃんは完走できるかどうか不安だった。
ところーがっ!久美ちゃんは、あと一歩でピッグを逆転する勢いで帰ってきた。なんとっ!
生まれてこのかた、1週間前に走った4kmが最長距離だというのに、この炎天下で12kmをいきなり走って、余裕の表情だ。
(石材店)「これ、もしかして、入賞するかもしれませんよ」
去年のYOUちゃんが惜しくも入賞を逃した「35歳未満の女子部門」だが、今年の久美ちゃんはもしかして入賞できるかもしれない。
(久美)「ほんとですかっ!?」
(幹事長)「可能性はかなり高い」
(久美)「入賞の賞金はいくらですかっ!?」
(幹事長)「金は出んけど賞品は出るやろ」
(石材店)「何年か前のオリーブマラソンの優勝賞品はグアム旅行でしたよね」
(久美)「優勝は、ぐ、ぐあむですかっっ!その時の入賞者の賞品はっ!?」
(石材店)「2位はノートと鉛筆でしたね」
(久美)「バカにすなーっ!わしは子供かーっ!」
(幹事長)「残るはサル2号か。彼女は救護車で回収される可能性があるなあ」
(支部長)「実は既に車で戻ってきてたりして」
なんて話していたけど、なんと、サル2号も確かな足取りで帰ってきた。ぜーんぜん余裕の表情だ。
(幹事長)「おぬしは、ほんとにいつも涼しい顔で帰ってくるなあ」
(サル2)「満濃リレーマラソンで2km走るより疲れませんでした」
確かに満濃は2kmとは言えリレーなので全力疾走せねばならないが、このレースはマイペースで走れるので、そうかもしれない。
(支部長)「そんな事ないですよ!」
(幹事長)「この調子なら、来年の満濃リレーマラソンは3周くらい走ってもらわんとな」
(サル2)「隊長!条件があります」
(幹事長)「なんだね猿飛佐助」
(サル2)「もうサルは恥ずかしいので卒業させて下され」
(幹事長)「なんと。サルが恥ずかしいとな。で、何に化ける?」
(サル2)「自分で探しまする」
なんとサル2号のサル脱皮宣言が突然出てしまった。サル危うし。
(幹事長)「じゃ、久美ちゃんサルね」
(久美)「どひゃあ〜」
そこへ突然、新人男子部員が現れる。
(支部長)「お前、どこへ行っとったんや!?」
(新人)「すんません。道に迷って遅刻しました」
なんと、いきなり遅刻して欠場する新人って、いったい・・・。
そうこうしていると掲示板に上位入賞者が張り出され始める。注視していると、なんと、やはり久美ちゃんが7位に入賞した。
(幹事長)「すごいっ!ペンギンズ始まって以来の快挙だっ!」
(久美)「えっ?初めてなんですかっ?」
(幹事長)「いくら石材店が早いと言っても、男子は参加者が多いから入賞なんてあり得ないことなのだ」
これで久美ちゃんがペンギンズから足を洗えなくなったのは言うまでもない。
(久美)「有終の美を飾れました」
(幹事長)「逃げたらあかんぞサル3号!」
[マラソン大会の危機]
(石材店)「それにしても今回の記事の掲載は遅れましたねえ。もうレースから1ヶ月たってますよ」
(幹事長)「ごめんなさい」
(久美)「この記事書くのって、そんなに時間がかかるんですか?」
(幹事長)「集中すれば半日くらいかなあ」
(石材店)「何やってたんですかっ!」
遅れた理由の一つは、今年から塩江山岳マラソンが無くなってしまったからだ。
塩江マラソンは10月に開催されてきたので、それまでには記事を掲載しないといけなかったのだが、今年はレースが無くなったので、つい油断してしまったのだ。
(石材店)「どうして塩江マラソンは無くなったんですか?」
(幹事長)「主催していた塩江町が高松市に吸収合併されてしまったからじゃ」
聞くところによると、普通、どこの市町村もマラソン大会は年に1回くらいしかやらないそうだ。そうなると平成の大合併によってマラソン大会は激減してしまう。
塩江町と同じように高松市に合併される庵治町の庵治マラソンも危ないだろう。我々が出場できる地元のレースがどんどん減ってしまう。
行政の合理化のためには避けて通れない市町村合併だが、それによってマラソン大会が無くなっていくなんて、そんな事が許されるのかっ!
〜おしまい〜
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