第20回 汗見川清流マラソン大会

〜 坂より猛暑が厳しいレース 〜



2007年7月29日(日)高知県本山町で第20回汗見川清流マラソン大会が開催された。夏、真っ盛りのレースだ。

かつては、5月末の小豆島オリーブマラソンの後は、9月の屋島一周マラソンまでレースには参加してなかった。なんちゅうても暑いし。
でも、それだと、さすがに4ヶ月もサボりっぱなしになってしまうので、一昨年、去年と2年連続で7月中旬の
四国カルストマラソン大会に参加した。
しかし、四国カルストマラソンはものすごい急な坂が延々と続くという異常に厳しい20kmコース。しかも高原なので、曇っていると涼しいんだけど、天気が良いと日射しが強烈で、おまけに空気も薄く、かつての地獄レース塩江山岳マラソン以上に厳しい。なので、3年連続は避けたい気持になってきた。

しかし、9月の屋島一周マラソンが廃止になった今、7月にレースに出ないと、10月の庵治マラソンまで5ヶ月もサボってしまう事になるし、2年連続で石材店一家と一緒に四国カルストへ出かけていたので、両家の子供達がとても楽しみにしているのだ。

(幹事長)「何か適当なレースはないかなあ」
(石材店)「早明浦ダムの近くで汗見川マラソンってのがありますぜ」
(幹事長)「あんまり聞いたことないなあ。どんなコース?」
(石材店)「スタート地点からゴール地点まで延々と上り坂が続くみたいですねえ」
(幹事長)「えっ!?ずっと上り?それって、きつくない?」
(石材店)「でも距離は10kmだし、ちょうどいいじゃないですか」


そうか、10kmか。10kmなら、少しくらい坂が厳しくてもなんとかなるだろう。
汗見川ってどこにあるんだろう、と思って調べてみると、早明浦ダムの直後で吉野川に合流する支流だ。この汗見川に沿った道をひたすら10km上るレースだ。
見るからにマイナーっぽいレースだ。どうせ遊び半分のランナーばかりで、ペースもゆっくりしているだろう。家族連れのレジャーとして適当っぽい感じ。

(石材店)「しかもゴール地点では汗見川で川遊びができるらしいですぜ」
(幹事長)「おおう。それは魅力的!」


しかし、問題が1つ。周辺地域に、前日から家族連れで泊まるような適当な宿泊施設が無いみたいなのだ。高知の人に聞くと「高知市に泊まっても、そんなに遠くないから、高知市に泊まれば?」てな感じ。
でも、せっかく山の中のレースなんだから、どうせなら山の中に泊まりたい。て言うか、そもそも場所は高速の大豊インターから30分くらいなので、早朝に高松を出発すれば楽勝で着くので、高知市に泊まる意味は乏しい。

てことで、少し無理があるけど、隣の大豊町の山のてっぺんにある
ゆとりすとぱーく大豊に泊まることにした。
実は、ここへはゴールデンウィークに行ったばかりだ。コテージが7棟あり、その1つに泊まったのだ。ゆとりすとぱーく大豊はオートキャンプ場のテントサイトも結構広く、ゴールデンウィークは満杯状態だった。
僕は本来はコテージよりもテント派なんだけど、家族は、テントは面倒くさいし、コテージの方が快適ということでコテージ派で、多数決で押し切られてしまったのだ。
確かに、ここのコテージは中が広く、お風呂もテレビもあるし、快適と言えば快適だけど、それなら家にいるのと同じだぞ。と言いたいところだが。

で、今回は石材店一家もいるので、最初から素直にコテージを予約する。まだまだ大丈夫だろうと思っていたら、既に予約はいっぱいで、7棟あるうち2棟だけが直前にキャンセルが出たとのことで、かろうじて予約できた。夏休みの週末ともなると、客も多いようだ。

泊まる所も確保したし、10kmなので気楽に構えたいところだけど、初めて出るレースはどうしても不安がある。平地のレースなら、初めてでもどうってことないけど、山の中のレースなので、坂が不安。
で、石材店が情報収集に走る。マイナーなレースなので経験者はなかなか見つからなかったけど、
つっちー君が出たことあるらしい

(つっちー)「坂なんて、ぜーんぜん大した事ないですよ。楽勝楽勝」


ふむ。楽勝なのか。しかし、この手の言葉を真に受けてはいけない。なんちゅうても、つっちー君は実力派だ。彼にとっては楽勝でも、僕にとって楽勝とは限らない。
インターネットで調べてみると、人によって「坂がきつい」という人もいれば「大したことない」って言う人もいる。

(幹事長)「まっ、しかし、たかだか10kmだから、なんとかなるわな」



どうせ前夜は酒盛りになるのが目に見えてるし、結局、これといった対策も考えないままレースを迎える。レース前日に、肉が安いスーパーで石材店一家と待ち合わせし、夜のバーベキュー用に肉をしこたま買い込む。

(幹事長)「昼食はどないしょうかなあ。高速道路のサービスエリアで食べる?」
(石材店)「どうせなら高速道路を降りてから食べましょうよ」


微かな記憶では、高速を降りてしまうと、食べる場所があったかどうか不安だったけど、まだ時間が早すぎたので、高速を1時間ほど走って大豊インターで降りてから、昼食場所を探す。
しかし、恐れていた通り、食べる所が無い。無いというのは不正確で、時々あるんだけど、外からじゃ、やってるのかどうか分かんないような寂れた、というか、朽ち果てたような喫茶店のようなものがあるくらい。見ただけで吐き気をもよおすようなサンプルを外に出している店もあった。
ゴールデンウィークに、ここから徳島側に行った辺りで、「祖谷そば」と書いてる店に入ったら、「祖谷そばは売り切れで、うどんならあります」というので大盛りうどんを注文したら、一口食べて吐きそうになるくらいまずくて、怒りを爆発させながら食べた記憶が生々しい。
「香川県を離れたら、うどんを食べてはいけない」という鉄則を守らなかった自分が恨めしい。

延々と走っていくと、翌日のレースのスタート地点である早明浦ダムの辺りまでやってきてしまった。ここを越えると、もう本当に何も無い状態だったんだけど、そこに
道の駅があった。「道の駅なら、そんなに極端なはずれはないだろう」と思って入る。
しかし、所詮は道の駅だ。メニューはラーメン、うどん、カレー等が中心だ。うーむ。困った。みんなはラーメンやらカレーを注文している。しかし、前夜の飲み会で飲み過ぎて胃腸の調子が非常に悪い僕としては、ラーメンやカレーは負担感が大きい。やっぱり、ここは、うどんしかないだろう。

(幹事長)「肉うどんの大盛りね」
(家内)「ゴールデンウィークに祖谷でうどん食べて吐きそうになったのに、まだ懲りてないの?」


しかしっ!ここのうどんは悪くなかった。はっきり言って、
会社の社員食堂のうどんよりは、ずっと美味しかった

(石材店)「あれと比べたらいかんですよ」
(幹事長)「確かに。あれは社員に対する嫌がらせとしか思えんよなあ」


ただし、美味しいのはいいのだけど、
量が異常に多い。大盛りにしてしまったので、いくら食べても減らない感じ。家内のカツカレーも異様に多い。美味しくて量が多いのは、本来は大歓迎なんだけど、体調不良の身にはちょっときつかった。

せっかくなので道の駅で少しのんびりしようかと思ったけど、暑いのでやめる。
なんだか異様に暑い
この山の中で、こんなに暑いなんて、もしかして今日は全国的に異常な猛暑なのかもしれない。と思ったら、なんと、
ここ高知県本山町は、この7月28日に観測史上過去最高の38.1度を記録し、この日の暑さ全国一に輝いたのだ

(石材店)「なんでこんな山の中が日本一暑いんでしょうねえ」
(幹事長)「よりによってレース前日に日本一にならんでもええのになあ」


無事に昼食をクリアして、ゆとりすとぱーく大豊に向かう。途中、私の会社関係の関係者に関係のある
Sショッピングセンターに立ち寄る。

(石材店)「どういう関係ですか?」
(幹事長)「ちょっと公には言いにくいな」


どうせ山の中の寂れた小さなスーパーだろうと想像していたんだけど、なんとまあ立派なスーパーだった。広さはまあまあだけど、中はとてもきれいだし、売ってる物も品が良い。これなら、わざわざ丸亀で食品を買い込んでくる必要も無かったかも。

そこから高速のインターまで戻って反対側にしばらく行き、山をぐぐっと一気に上ると、大きな風車が2つ見えてくる。
ゆとりすとぱーく大豊にはキャンプ場とハーブ園と風力発電の風車があるのだ。夏休みの週末とあって、コテージだけでなく、オートキャンプ場も満杯状態だ。
ただし、ハーブ園の方は人影が見えない。

(幹事長)「どうしたんだろう。だあれも居ないよ」
(石材店)「暑いからじゃないですか」


それにしても本当に暑い
。暑すぎる。でも子供達は元気だから遊具で遊ぶだけでなく、炎天下でキャッチボールやらバドミントンを一緒にやらされる。
実は石材店は、ちょっと風邪気味で体調がいまいち。子供達は放っておいたらいつまでも遊びそうなので、ダウンする前に切り上げてコテージに戻る。


コテージにはテラスがついていて、眺めがよくて気持ちいい。こんな暑い日でも、テラスにいれば風が吹いて涼しく、疲れをいやしながら昼寝でもしたい気持ち。
でも昼寝は許されず、今度はトランプで遊ぶ。両家で7人で延々と大貧民をする。ま、僕は大貧民が大好きなので、何時間やっても飽きない。


あっという間に夕方が来て怒濤のようにバーベキューになだれ込む。見晴らしの良いコテージのテラスで食べるバーベキューは最高です。
子供達はお腹いっぱいになったら室内に入って遊んでいたが、父親はしぶとく火が消えるまで飲み続ける。


結局、今年もレース前夜だというのに深酒をしてしまう。深酒の後はすぐに風呂に入って眠りたいところだけど、またまた子供達の要望で大貧民を再開。
体調不良のうえに飲み過ぎた石材店は、先に切り上げて泥のように眠ったけど、そこまで飲んでなかった僕は、深夜まで続けてしまい、今年も睡眠不足になってしまう。ま、しかし、今年は10kmだし。



翌朝、もっと眠りたかったけど、普段ならいつまでも寝ている子供達が異常に早く起き出して、うるさくて目が覚めてしまう。子供はこれだから困る。鏡を見ると目が腫れている。今日はメガネのままで走ろうかとも思ったけど、やっぱりメガネは走りにくいので、無理矢理コンタクトレンズをねじ込む。

レースの受付時間は8時半までと、ちょっと早いので早めに出なければならないため、急いで朝食を取り、石材店と2人で出発。家族は片づけをして後から来る予定。
山間部の日曜日の早朝なので道はすいていて、バンバンとばして順調に到着。駐車場は、早明浦ダムの直下の河川敷にある。巨大なダムが真横にそびえて威圧される。


レースの会場は本山町のクライミングセンターだ。何があるのかと思ったら、人工のクライミングウォールがあるのだった。西日本で唯一の屋根付き競技場とのことで、高さ15m、幅4mのクライミングウォールが2面ある。
しかも、このクライミングウォールが自由に形を変えられるらしく、上部は45度の角度までせり出してくる。スパイダーマンやあるまいし、そなな所をどうやって上れるのか全く不明だ。指先だけでぶら下がって移動するんかなあ。落ちたら死ぬぞ。


受付では、お土産にしそジュースとタオルをくれる。たいていのマラソン大会ではTシャツかタオルをくれるもんだ。
ところが、今回のタオルは、ようく見ると、なんと電源開発株式会社の粗品タオルじゃないの。すぐそばの早明浦ダムの発電所が電源開発の設備なので、なんかうまいこと言ってもらったに違いない。
参加者の少なさから考えれば、オリジナルのタオルを作るお金は無いんだろうけど。ただし、しそジュースは、とっても美味しかった。

受付を時間ギリギリですますと、すぐさま開会式が始まる。マイナーなレースなので開会式もすぐ終わり、後はスタート時間まですることがない。
スタートは10時40分なので、2時間くらい待つ必要がある。ちょっと、これ、長すぎるんじゃない?どう考えても、受付と開会式を1時間くらい遅らせて欲しい。
て言うか、見てると、後から後から遅れてきた人が、なんぼでも受付している。結局、締め切りから1時間たっても受付はやっている。

(石材店)「慌てる必要はなかったですねえ」
(幹事長)「まったく!今度、来る時は最初から遅れてこよう!」


やることが無さ過ぎて困る。ときたま、ウォーミングアップしてる人もいるけど、バカみたいな暑さのため、外に出ると、じっとしてても頭がクラクラしてくる。
床に寝ころんでいる人も多い。かなり真剣に眠っているように見える。2時間もあるから、一眠りしても十分だ。

ぼけーっと回りを見ていると、なんと
新城プロが来ている。

(幹事長)「新城さあん!なんで来てるんですかっ?あなたみたいなプロが走るレースじゃないでしょう?」
(プロ)「いやいや、毎年来てますよ」
(幹事長)「げげっ。参加者も少ないから、もっとお気楽なレースかと思ってた」
(プロ)「コースがきついから参加者は少ないですけど、結構、ハイレベルですよ」
(幹事長)「やっぱりきついんですか?人によっては、大したことないっていう人もいたんだけど」
(プロ)「いやあ、きついですねえ。きつい坂が最後まで続きますねえ」


ううむ。プロが言うんだから、やっぱりきついのかしら。急速に不安が募ってきた。さすがに新城プロは、このクソ暑いのに
ウォーミングアップで走っている。

(幹事長)「こなな暑い中、よう走りますねえ」
(プロ)「体を温めて適度に汗をかいておかないとね」


体を温めるとか言うても、もう十分すぎるほど暑いし、既に汗もかきまくってるんだけどなあ。そもそも、体力を浪費したくないんだけどなあ。

新城プロを呆然と見つめていると、
矢野選手にも会う。矢野選手は家族連れで、なんとなくピクニック風。でも本人は、なんとなく本格的な格好。Tシャツ姿の僕らと違い、専用のランニングシャツだ。

(幹事長)「なんとなく早そうやなあ、その格好」
(矢野)「暑そうだったんで買ったんですよ」
(幹事長)「シューズも格好ええなあ」
(矢野)「距離が短いんで、底が薄い軽めのシューズですよ」


ううむ。彼って、いつのまにそんなセミプロになったんだろう。そして、なんと彼も炎天下を少し走り始めた。

(幹事長)「げげっ。まるで新城プロのようだ」

と思ったら、10m走って引き返してきた。


(幹事長)「はて。その往復20mのランは、何か意味があるのかな?」
(矢野)「自分の無謀さに気づいたら、すぐに方針転換する柔軟性を持ってます」


それから佐伯先輩にも会う。
佐伯先輩は、僕らと同じく「7月頃に何かレースはないかなあ」なんて探していたので、このレースの事を教えてあげたら、さっそく参加したのだ。

(幹事長)「佐伯さん、なんぼなんでも、その長袖シャツは暑いんじゃないですか?」
(佐伯)「日射しがあたったら暑いかなあと思って長袖にしたんだけど、そういう次元の暑さじゃなかったなあ。半袖に着替えるわ」


さて、
我々の家族は、と言うと、まだ来ない
このレースは汗見川に沿った狭い道を上流方向へひたすら10km上っていくのだけど、道が狭いので、レース中は完全通行止めだ。なので、応援の人がゴール地点で待つために、事前にバスで送ってくれる。そのバスの最終時間が10時だ。
僕らが来るのに3〜40分くらいかかったので、9時過ぎには出るように家族にも携帯で連絡しておいたんだけど、いつまで経っても来ない。最終バスが10時過ぎに出たけど家族は来ない。結局、だいぶ遅れて到着した。

(幹事長)「何かあったん?出るのが遅かったん?」
(家内)「そんなことないよ。普通に走ってきたけど」


ううむ。僕らは朝、結構バンバン飛ばしてきたけど、普通に来れば1時間近くかかるのか。いずれにしても最終バスは既に出てしまった。
こうなると、そのまま自家用車でゴール地点まで行くしかない。行っていいのかどうか分かんないけど、他に手段もないから、とにかく何があっても
強引にゴール地点まで行くように指示する



家族を見送り、いよいよスタート時間が近づいてくる。

(矢野)「幹事長の目標は?」
(幹事長)「ま、1時間以内かな」
(矢野)「ちょっと自分に甘過ぎないですか?」
(幹事長)「坂の厳しさが分かんないからなあ」


10kmレースと言えば、以前、塩江山岳マラソンの10kmに出たことはある。タイムは結構良かったけど、塩江マラソンの10kmは、垂直のような坂を上りまくるハーフマラソンコースと違って、最初に大きな坂があるだけで、比較的、楽なコースなのだ。
それに比べて、このレースは延々と10km上り坂なので、どれくらい時間がかかるか検討もつかない。

(幹事長)「石材店は?」
(石材店)「実は最近、小学校1年の下の子が野球部に入ったんで、そっちの手伝いが忙しくて練習できてないんですよ」

多い時は月間数百kmくらい走っている
石材店が練習不足なんて聞いた事ないなあ。おまけに風邪気味だし、かなり苦しそう。

スタート地点にランナーが集まってきたが、10kmは参加者が350人くらいしかいないので、ぜんぜん混雑がなく、スタートのタイムロスも無さそう
て言うか、山の中の耐久レースは、たいていはみんなペース配分を考えて無理せずにゆっくりと走り出すものだ。だから我先に前へ前へ走って混雑するなんてことはない。

と思ってたら、甘かった。なんと、
スタートの合図でみんなすごい勢いで一斉に駆け出すじゃないの
なんで?ペース配分は?新城プロが言うように、結構レベルの高いレースだったんだろうか。
ちょっと焦ってスピードアップしようかと思ったけど、まるでウォーミングアップもしてないし、少なくとも最初は足ならしに軽く走る。

予想外のハイスピードで一斉に駆け出すランナー達


事前に聞いていた話どおり、前半は比較的平坦だった。標高248mから303mまでを5.3kmで上るとのことだ。川を遡っているんだから少しは上り坂になってるけど、あんまり気になるような勾配ではない。
ちょうど塩江山岳マラソンの序盤のような感じ、と言えば、分かる人には分かるだろう。(って、分かる人いるかしら)

ただし、暑い。
とても暑い。暑すぎる。風が無い。もわっと熱気が漂っている。息苦しい。
四国カルストマラソンの暑さは、直射日光の熱さであり、それはそれで厳しいけど、空気自体は気温は低く、息苦しい暑さではなかった。でも今日はサウナに入った時のような息苦しさだ。

給水所は1km毎くらいにあり、こまめに水分補給する。ときどき、シャワーをかけてくれる所もあり、一瞬だけど嬉しい。
山の中なので木陰が多いかなと期待していたんだけど、予想外に日なたが多く、帽子が嫌いな僕でも帽子は被らざるを得ない。

そろそろ半分くらい来たかな、と思った頃に、突然
あと5kmの表示が出てくる。ここからが勝負だ。
それまではちらほら田んぼもある風景だったのが、なんとなく山深くなってきた。
標高303mから420mまでを4.4kmで上るとのことだ。それって、きついのか緩いのか、よく分かんないけど、地図では傾斜10%のところもある。いよいよ急な坂が出てくるかも。

木陰も増えてきたような気もする。でも、相変わらず風は少なく、暑さは柔らがない。
給水所は多いけど、ただの水なので、だんだん飲めなくなる。給水所で水を飲んでる連中を追い抜くんだけど、それ以外は基本的には追い抜かれてばっかり。
普通のレースなら、抜いたり抜かれたりだけど、結構みんなペースが落ちないので抜かれる一方だ。

あんまりきつい坂が無いままに、
あと4kmの表示がある。いよいよ、ここから本格的な急坂かな、なんて思っていたけど、でも、いつまで経っても大した坂がない。
おかしいなあ、って思っていると、さらに、
あと3kmの表示が現れる。もしかして、ひょっとすると、このまま大した坂は無いのでは、なーんて甘い期待が沸いてくるが、ほんと、そのままいつまで行っても坂らしい坂がない。
最後に
あと1kmの表示が見えた時点で、大した坂が無いことを確信し、一気にペースを上げた。

結局、
最後まで坂らしい坂はなかった。おっかしいなあ。
これなら、四国カルストマラソンや塩江山岳マラソンはもとより、小豆島オリーブマラソンや瀬戸内海タートルマラソンの坂の方が、はるかに厳しいような気がする。庵治マラソンの坂だって、はるかに厳しいような気がする。気のせいかなあ。
すごい坂があると恐れていた割には大したことなかったからかなあ。

ゴールしても余力がありまくり。完全燃焼感が無い。なんとなく欲求不満。
これくらいのコースなら、坂に備えてペースをセーブする必要は無かった。最初からもっと飛ばせば良かったなあ。なんとか目標の1時間はクリアしたけど、ちょっと残念。


ただし、暑さはたまんなかった。ほんっとに暑かった。こんな厳しい暑さの中、最後までペースダウンする人がいなかったのは、坂が大したことなかったのもあるけど、やはりレベルは高い
こんな不便な山の中の、緩やかとはいえ延々と坂が続く厳しいレースに出ようなんて思うのは、かなり足に自身のある人ばかりだったようだ。参加者数は少ないけど、素人はいないハイレベルな戦いだった。

ゴールすると、
冷えたトマトが支給される。完熟トマトで、とても甘くて美味しい。こんなサービスは初めてだ。暑いだけに嬉しい。

ところで、ゴール付近では家族が総出で出迎え、てくれると思っていたら、影も形も見あたらない。子供達はレースには目もくれず、川に入って水遊びしているのだ。
他にもランナーがいっぱい川に浸かっている。僕もトマトを握りしめてフラフラと河原に降りていく。水着は持ってこなかったけど、Tシャツと靴と靴下を脱いで、
ランパンのまま川に入った
水が異常に冷たいので、ゆっくりそろそろと歩いていたんだけど、川底の石がぬるぬると滑るので、足を滑らせてひっくり返ってしまった。水の冷たさで一瞬、心臓が止まるかと思った。
外が暑いだけに、大げさじゃなく、息苦しくなって心臓が止まりそうだった。それほど水は冷たかった。
しばらく足を浸けているだけで体の熱が一気に冷めていく。汗も洗い流して、なんて気持ちいいんだ。
だいぶ冷たさに馴れてきたので、深い方へ行って泳いでみる。でも、全身浸かるとやっぱり冷たくて心臓が止まりそうになったので、慌てて水から出る。


水から出てトマトを食べていると既に着替えた石材店が現れる。

(幹事長)「川には入らないん?」
(石材店)「入りたいのはやまやまだけど風邪気味の自分が恐い」


矢野選手も現れた。彼も川には入らずにシャワーを浴びたそうだ。

(幹事長)「僕もシャワーに行こうかなあ」
(矢野)「シャワーは水がチョロチョロしか出ないし、水も川の方がきれですよ」


体もきれいになった事だし、川から上がって着替えようとして、着替えが無いことに気がついた。

(幹事長)「げげーっ、服が無いっ!これは一体、どうした事だ!」


ようく考えてみると、僕は朝、コテージを出る時に、取りあえずTシャツと下着の替えくらいしか持ってこなかった。洋服はそのままクローゼットに入れたままだ。
で、後からチェックアウトした家内は、それに気づかなかったのだ。後で取りに戻るとして、取りあえず服が無い。

(幹事長)「でも、ま、暑いし、服いらんわな」


取りあえず濡れたランパンと替えのTシャツで過ごしていると、あっという間にランパンは乾いた。
石材店は体調不良と練習不足のため、タイムはいまいちだったようだけど、
矢野選手は素晴らしく良いタイムを叩き出した。オリーブマラソンも良いタイムだったけど、決してまぐれではないことを証明した。

(矢野)「その割にはホームページのメンバー紹介に未掲載なんですけど」


いかんいかん、早く載せなくては。

参加者に配られた弁当は、田舎寿司とソーメンという珍しい組合せだ。山菜が少し入っているだけの具の少ない酸っぱい寿司よりソーメンの方が食べたかったんだけど、ソーメンは子供に取られてしまった。

ソーメンを食べている新城プロにインタビューしてみる。

(幹事長)「どうでした?」
(プロ)「いやあ、やっぱきついっすねえ。40分は切れませんでした」

そうか。プロでも40分は切れないって、やはり厳しいレースだったかも。てことは、そのプロに肉薄するタイムの矢野選手は快記録かも。
快記録を祝福するかのごとく、矢野くんの子供のトマトは、コロコロと川底へ転がっていった。

取りあえず食べるもんも食べたし、そろそろ帰ることにする。ゴールした人は、応援の人も一緒に、バスで再びスタート地点まで送り返してくれるシステムだ。
ただ、狭い道を小さなバスで往復してるので、すごく時間がかかるらしく、強烈な炎天下で並んで待たなければならない。長蛇の列が出来ているので、いつ乗れるのか分かんない状況。
僕たちは家族が車で来てるので待たずに車で帰れたけど、待っている人はちょっと厳しいぞ。四国カルストマラソンもそうだけど、スタートとゴール地点が異なるレースは、どうしても時間がかかるよなあ。

スタート地点に戻った後は、早明浦ダムの見学に繰り出す石材店一家と分かれて、再び山を登ってゆとりすとぱーく大豊へ服を取りに行く。なんとなく空しい。

帰りは高速道路は通らずに、吉野川に沿って延々と走り、高松に帰ると夕方になっていた。
急いで参議院選挙の投票をする。政治オタクの僕にとっては、国政選挙は一番の楽しみだ。

(石材店)「今回の選挙も盛り上がりましたねえ」
(幹事長)「ほんとほんと。低調だった春の統一地方選挙に比べて歴然の差やね」

事前予想通りではあるけれど、政界が激変するような選挙結果だった。どうせなら、
サッカーくじみたいに、選挙くじとかあったらいいのに
勝ち負けだけじゃなく、与野党が何議席取るかってのを予想すると、めっちゃ盛り上がると思うんだけどなあ。



さて、8月に入り、ますます暑くなって参りました。朝から暑い。もう練習どころじゃない。

(幹事長)「て事で、今年も地球環境破壊の現状視察に出かけてくるとするか」
(石材店)「また南の島ですか」
(幹事長)「今年はボルネオ島に行くよ〜。番外編を待っててね〜」


〜おしまい〜




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