第21回 汗見川清流マラソン大会

〜 あり得ない暑さに参った! 〜



2008年7月27日(日)、高知県本山町で第21回汗見川清流マラソン大会が開催された。

まず根本的な疑問として、
一体どうして、こななクソ暑い時期にマラソン大会が存在するんだろう?この時期のマラソン大会と言えば、一週間前に開催された四国カルストマラソンもあるが、どっちも、なんでこんなアホみたいに暑い時期に開催するんだろう?汗見川マラソンも四国カルストマラソンも、どちらも20回を超える開催なので、もしかしたら20年前は、7月下旬といえども、四国山地の真ん中の高原地帯は涼しかったのだろうか?ヒートアイランド現象のせいで都市部では高温化が著しいが、こなな山の中でも高温化進んでいるのだろうか?少なくとも今は、いくら四国山地の高原地帯といっても、7月下旬はキチガイみたいに暑い。

暑いのが分かっているのに、
なぜ、このような暑い時期にマラソン大会に出るのか、と言えば、5月末の小豆島オリーブマラソンの後、秋までレースが無いからだ。以前は、9月に屋島一周マラソンがあったから、ほんの少しはましだったけど、屋島一周マラソンが廃止になった今、7月にレースに出ないと、10月の庵治マラソンまで5ヶ月もサボってしまう事になる。別にレースに出なくても、地道にトレーニングしてればいいんだけど、レースが無いと、どうしてもサボってしまう心の弱い人間なので、暑いのは承知で、7月にレースを1つ入れると言うわけだ。

で、3年前と2年前は連続して四国カルストマラソンに出場したんだけど、かつての地獄レース塩江山岳マラソンに匹敵するものすごい急な坂が延々と続くという異常に厳しい20kmコースのうえ、天気が良いと日射しが強烈で、地獄のような暑さになる。空気も薄いし。曇っていると素晴らしく涼しくなるんだけど、高原なので、曇りってのは、すなわち雲の中に入るわけで、そうなると周辺が見えなくなるので、実は、あんまり楽しくない。なので、景色を楽しめる晴天になると、発狂するくらい暑くなるのだ。
てなことで、昨年は距離の短い汗見川マラソンに変えたのだ。しかし、これも暑かった。
この世のものとは思えないようなあり得ない暑さだった。「四国山地の真ん中の高原で、こんなに暑いんだったら、下界は地獄のような暑さだろうなあ」なんて思っていたら、何のことはない、その日は、汗見川マラソンが開催された高知県本山町が全国で一番暑かったのだ。なんで、そのような気象現象が起こりうるのか理解に苦しむが、高原だからと言って涼しさを期待してはいけない事だけは分かった。
しかし、かと言って、地獄カルストマラソンに戻る勇気もなくて、今年も汗見川マラソンに出ることにしたのだ。去年は日本一暑かったけど、それは異常気象であり、今年はもっと涼しいんじゃないだろうかっていう根拠のない期待もあったし。

去年は石材店ちと一緒に前日から家族連れで行き、近くの高原のオートキャンプ場のコテージに泊まった。矢野選手は別行動だったが、やはり家族連れで来ていた。しかし今年は石材店がやんごとなき事情で参加できないので、
家族連れレジャーの遊び半分ではなく、ランナーだけの真剣勝負で挑むこととした

(石材店)「具体的に、何が違うんですか?」
(幹事長)「前の晩に浴びるように飲んでいた酒を控えるって事かな」


日帰りコースになるので、前夜は早く寝て、早朝に起きる。6時半に
矢野選手が自転車で到着。同じく笹谷選手はスクーターで到着。

(幹事長)「これが、かの有名な相棒のスクーター?」
(矢野)「なんですか?相棒って?」
(笹谷)「これに乗ってどこへでも行くからな。鳥取に行ったこともあるし、京都の福知山マラソンにも乗っていったし」
(幹事長)「ふ、福知山まで!?しかも、マラソンで?よう帰ってこれたなあ」


さすがに今回はスクーターは置いといて、3人で僕の車に乗って出発だ。矢野選手は昨年も出たけど、笹谷選手は汗見川マラソンは初参加だ。「
たった10kmのレースだから出てみない?」と言葉巧みに勧誘したのだ。

(笹谷)「コースはどんなんですか?」
(矢野)「汗見川に沿って上流に向かって走るから、基本的にずっと上り坂ですねえ」
(笹谷)「げげっ、それってきついんやない?」
(幹事長)「坂ったって、ぜーんぜんきつくないよ」
(笹谷)「ほんまですかあ?」


汗見川というのは、早明浦ダムの直後で吉野川に合流する小さな支流だ
。この汗見川に沿った道を10km上るのだ。川に沿って走るのだから、ひたすら上りではあるが、決してそんなに急な川ではない。

(幹事長)「かつての塩江マラソンに比べたら坂とは呼べないくらいゆるゆる」
(矢野)「塩江マラソンって、そんなにきつかったんですか?」
(幹事長)「塩江マラソンと四国カルストマラソンは、絶対に歩く。断言できる。
       それに比べたら汗見川マラソンの坂は、あれ?坂なんかあったっけ?てなもんよ」
(笹谷)「ほんまかなあ」
(幹事長)「どっちにしても、たかだか10kmだから、なんとかなるわな」
(笹谷)「そうっすよねえ。所詮、たかだか10kmですからねえ」
(幹事長)「ただし、暑い」
(笹谷)「山の上でも、やっぱり暑いですか?」
(幹事長)「去年は日本一暑かった。死んだ」
(笹谷)「げげげーっ!やっぱり出なけりゃ良かったかなあ」
(幹事長)「ま、しかし、所詮10kmだから、なんとかなるわ」
(笹谷)「そうっすよねえ。所詮、たかだか10kmですからねえ」
(幹事長)「それにゴールしたところの川に飛び込むのが、ものすごく気持ちいいし」
(矢野)「食べ放題のトマトも美味しかったなあ」


なんて話している間に、結構早く現地に着いた。まだ8時過ぎだ。自宅から1時間半で着いた。

(幹事長)「去年は泊まりがけできたけど、なんのことはない、小豆島のレースより近い感じやなあ」
(矢野)「もっと遅く出れば良かったですねえ」


スタートは10時40分だ。なので、
2時間半も時間をつぶさなければならない。一応、受付は8時半までとなっているので、早く来たのだが、多少、時間が遅くなっても受付はOKだ。て言うか、スタートぎりぎりに駆け込んできた人もいたくらい。

今年の参加者は、4kmコースの人も入れて約500人。なんとなく去年より人が少ないような印象。去年の異常な暑さが堪えたのだろうか。今年で21回となる由緒正しいレースだが、この参加者数では、存続が危ぶまれるぞ。

レースの会場は
本山町のクライミングセンターだ。高さ15m、幅4mの人工のクライミングウォールが2面ある西日本で唯一の屋根付き競技場だ。見てると、一度、やってみたくなるけど、絶対に途中で落ちるだろうなあ。このクライミングセンターのテント屋根の下が選手の控え場所であり、また開会式とかも行われる。開会式と言っても、マイナーなレースなので簡単に終わり、スタート時間まで2時間もあるのに、することがない。どう考えても長すぎる。受付と開会式を1時間くらい遅らせてくれれば、朝もゆっくりできるのに。

参加者が少ないので、すぐに
佐伯先輩を見つける事ができた。佐伯先輩にも「一緒に行きましょうよ」と声を掛けたのだが、別の用事があって別行動となったのだ。

(幹事長)「どうですか?」
(佐伯)「10月の
四万十ウルトラマラソンに出ることになったから、今年は気合いが入っとるよ」
(幹事長)「ひょえ〜!ウルトラ100kmマラソンに出るんですかっ!気ぃでも狂たんですかっ!?」
(佐伯)「一度出たかったんや」


100kmはあり得ないよなあ。どう考えても、無理だよなあ。しかも四万十ウルトラマラソンは、最初の20kmは上り坂で、標高600m以上も上る。それだけで絶対に力尽きると思う。四万十ウルトラマラソンには60kmコースもあり、これは100kmコースの40km地点からのスタートになるので、下り坂だけだ。もしかしたら、これなら完走できるかもしれない。しかし100kmコースはあり得ないぞ。ああ、佐伯先輩が手の届かないところに行ってしまう・・・。

気合いを入れたフリをするメンバー達
(矢野選手、筆者、佐伯先輩、笹谷選手)


それから新城プロも来ている。新城プロはプロ集団であるRC遊のメンバーでバスを借り切ってやってきている。新城プロのRC遊は、オリーブマラソンの時も、僕らが奴隷線で行くか定期便で行くか悩んでいた時に、船を借り切って悠々と出かけていた。プロ集団はやることが違うなあ。

(幹事長)「今年も暑いですねえ」
(新城)「でも僕は暑いのは好きなんですよ」


などと言いながら、炎天下にウォーミングアップに飛び出していった。それに刺激された矢野選手と、初参加の緊張を紛らわしたい笹谷選手も軽くウォーミングアップに出かけた。そのような無駄なエネルギーは消費したくない僕は、日陰で瞑想に入る。矢野選手と笹谷選手も、あまりの暑さに早々に引き上げてきて、一緒に日陰で瞑想に入る。


他の参加者達も、大半は日陰のテントの下から動かない。「スタートまで20分です」なんてアナウンスがあれば、普通ならみんなゾロゾロと動き出すところだが、誰も反応しない。スタート5分前くらいになって、ようやくみんなダラダラと動き出す。

(笹谷)「なんとなく、のんびりした感じですねえ」
(幹事長)「そうやろ?こななクソ暑い時期の、こんなマイナーなレースやから、みんな遊び半分のランナーばかりっぽいやろ?
       ところが、これが意外にペースが速いんよ。こななクソ暑い時期の、こんな山奥のマイナーなレースに参加してる人って、
       結構、マニアックで早い人ばっかりだったりして」
(矢野)「幹事長の目標は?」
(幹事長)「最近、あんまり調子よくないから、1時間以内なら良しとしよう」
(笹谷)「1km5分なら50分ですか。50分は切りたいですねえ」
(幹事長)「このレースで、そなな無謀な目標は止めとこっと」


なんて言ってると、
すぐスタートとなった。去年と同様、結構みんな、最初から飛ばしている。去年は初参加だったため、どんな坂が待っているか不安で、かなりスピードをセーブしながら走り始めた。しかし、恐れていたほど坂は厳しくなくて、結果的に余力を残してしまい、なんとなく不完全燃焼気味であった。そのため、今年は最初から飛ばしていく作戦をとる

ところが、
2〜3km行った辺りから早くも足が重くなる。なぜかしら、なぜだろう?飛ばし気味と言ったって、決してそんなに早いペースではない。それなのに早くも足が重いだなんて、これは一体どうしたことか?暑いのは確かだが、暑さは去年と同じようなものだし。もしかして足が重いと感じているのは錯覚で、結構いいペースなのかも。

なーんてことはなくて、最初の距離表示があった
5km地点で愕然遅い。遅すぎる。あまりにも遅すぎる。坂がきつくなるのは後半なので、前半は貯金をしておかないと苦しいのに、ぜーんぜん貯金ができていない。こななペースでは去年より大幅に遅くなってしまう。しかし、焦ってみたところで、足はますます重くなる。一体これはどうしたことかしら?去年も暑かったけど、暑くなったのはレースの直前で、それまでは7月に入っても結構、走り込みはできていた。しかし今年は7月に入ったとたん、猛暑が続き、なかなかトレーニングも思うようにできなくて、明らかに練習不足なのは間違いない。そのせいなんだろうか?

それにしても、暑い。やっぱり暑い。
ものすごく暑い。標高は高いけど、川に沿った谷間なので、熱がこもっている感じ。風もぜんぜん無くて、もわっと熱気が漂ってて息苦しい。四国カルストマラソンは直射日光が熱いけど、空気そのものは気温が低くて息苦しくはなかった。でも、ここの暑さはサウナのような息苦しい暑さだ。
炎天下のマラソンとあって給水所は数多く用意されているが、それでも足りないくらい。普通のマラソンなら、いかにしてタイムをロスしないで水を飲むかがキーポイントとなるが、そなな事を悩む余裕はなく、ためらわずに立ち止まって大量の水を飲み続ける。さらに飲み水だけでなく頭にも水をかけてくれる。それ以外にも、あちこちで地域の住民がホースなんかでシャワーを設けてくれている。これが本当にありがたい。

(矢野)「ほんまに気持ちええですねえ」
(幹事長)「て言うか、やっぱりこなな季節のマラソンは存在自体に疑問があるぞ」


後半は、だんだん坂がきつくなっていき、所々にはかなり急な坂がある
。とのことだが、去年に続き、今年も急な坂というのは、あんまり分からなかった。確かに、ちょっときつい坂は時々あるけど、あんまり気にならない。坂のきつさなんか気にならないくらい暑さが厳しくて、坂があろうが無かろうが、足取りが重いのは同じなのだ。後半は1kmごとに距離表示があるんだけど、どんどんペースは落ちていく。
たった10kmのレースなのに、後半は、しつこく
リタイヤが頭をよぎる。リタイヤしないまでも、もう後は歩こうか、とか。歩いている人もチラホラいる。たった10kmなのに、なかなかゴールにたどり着かない。心の支えは、ゴールした後の川へのダイビングのみ。
どんどんタイムは悪くなりつつも、しかし、そこは、所詮、結局、10kmだ。なんとか歩かずに
ゴールにたどり着くことができた。

ただし、ゴールしても余裕が有り余っていた去年と違い、今年はもうヘロヘロ。頭の中は真っ白状態で、フラフラと川に吸い寄せられていく。早々にゴールした矢野選手は、既に川で体を冷やしきり、涼しそうな顔をしている。笹谷選手は川の真ん中でくつろいでいる。僕もシューズとTシャツを脱いで、ランニングパンツのまま
ズボズボと川に入っていく。心臓が止まりそうなほど冷たい水だが、これでようやく体の熱が収まっていく。

(幹事長)「どうやった?」
(笹谷)「50分を切れなかったのが悔しいですねえ」
(幹事長)「このレースで初参加で50分を切れなくても当たり前やん。僕なんか去年より大幅に悪くなったぞ」
(笹谷)「ゴールするまでは、やっぱり、なんでこななレースに出たんやろ、って後悔しっぱなしだったけど、
     川に入るのがこんなに気持ちいいんやったら、また出ようかっていう気持ちになりますねえ」


まるで温泉みたいに川の中でくつろいでいると、川岸に徳島支店の
片岡選手がいる。片岡選手も数年前からマラソンを始め、最近、色んなレースで会う。手を振って片岡選手も川に中に引きずり込む。

体の熱が収まったところで川から上がり、冷えた
ゆずジュースをもらう。これが、とっても美味しい。あまりの美味しさに5杯もお代わりしてしまった。

(矢野)「その代わり、今年はトマトが無いですねえ」

なんと!去年は冷えた完熟トマトが食べ放題で、ものすごく美味しかったのだが、今年はくれなかった。不作だったの?

濡れたパンツを着替えて、お弁当を食べる。お弁当は去年と同じく、ソーメンとばら寿司という組み合わせだ。疲れ切った後には、冷えたソーメンは食べやすいんだけど、ばら寿司はちょっと喉を通りにくい。
なんとか食べ終えると、新城プロに会う。

(幹事長)「どうでした?去年と同じくらいの暑さやった割には、僕は去年よりタイムが大幅に悪くなりましたよ」
(新城)「僕はなんとか40分を切れましたねえ」


げげっ。この炎天下の坂道コースで40分を切ったなんて、やっぱりプロは違うなあ。

川に入って体を冷やしたはずが、炎天下で弁当を食べていると再び暑くなってしまい、今度はみんなでアイスを食べる。帰りはバスでスタート地点まで送り返してくれるシステムなんだけど、狭い道を小さなバスが往復してるので、すごく時間がかかる。強烈な炎天下に長蛇の列ができ、かなり長時間、並んで待たされた。何をしても暑いレースだ。
バスで戻りながらコースを振り返る。

(矢野)「走るのはしんどいけど、バスに乗ったらあっという間に着く、かと思ったら、バスに乗っても、
     結構、しんどそうなコースですねえ」
(笹谷)「ほんまやなあ。やっぱり坂も厳しいで」
(幹事長)「確かに、こななところをよく走ったもんじゃわなあ」


しかし、時々、バスに乗らずに走って戻っている集団もいた。季節が良ければ往復でも20kmだし、下りが続く帰りなら走って帰ってもいいけど、この炎天下じゃなあ。

バスでスタート地点に着き、早明浦ダムを後にして高速飛ばして高松に戻る。高松も暑いのは同じ。ただ、息苦しさは、山の中より、さらに厳しいような気がした。

異常に暑かった7月が終わり、8月になると、ますます暑くなってきました。でも次のレースは10月なので、当分、真面目に走り込む必要はない。ほっとしますね。

(石材店)「また夏休みで南の島に行くんですか?」
(幹事長)「実は今年はオーストラリアへ避暑に行こうと思っていたんだけど、八方手を尽くしたんだけど、全然飛行機が取れなくて」
(石材店)「今年は燃料費高騰で海外旅行は減少気味と聞きましたが」
(幹事長)「僕にも理解できません。で、オーストラリアの手前の
バリ島に行きます」
(石材店)「4年連続でアジアの島々ですねえ。今年のスローガンは?」
(幹事長)「新感覚マッサージの旅です!」


〜おしまい〜




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