第47回 こんぴら石段マラソン

〜 石段は思ったほど恐くないぜぇ〜っ! 〜



2012年10月7日(日)、琴平町の金比羅宮(こんぴらさん)第47回こんぴら石段マラソンが開催された。

(幹事長)「遂に、我がペンギンズも伝統ある際物(きわもの)レースに進出することとなった。誠に慶賀に堪えない」
(ピッグ)「マジすか?幹事長、大丈夫?」
(幹事長)「心配せんでも、わしは出ん」


出るのは支部長だ。

(ピッグ)「デジャブ!!!
(支部長)「ほんまですがな!最近、新しいレースに出るのは私ばっかりやないの!」


この歳になって、この意欲と言うか探求心と言うか積極性と言うか無謀さと言うか、見上げたものだ。

(支部長)「引き続いてデジャブな会話やけど、幹事長やって興味あるんやろ?」
(幹事長)「前々から興味津々というか関心はあるんやけど、階段から転げ落ちるのが怖くて」


何が恐いかと言って、あの世界一長い1368段もの階段を一気に駆け下りるなんて、一つ間違えば、転がり落ちて全身骨折か、運が悪けりゃ死んでもおかしくない。絶対に恐い。トライアスロンで溺れるのと同じくらい恐い。なので支部長からの悪魔の誘いを必死で断り続けたわけだ。

ところが、今回は國宗選手の態度がトライアスロンの時とは違い、なぜか、支部長を引っ張るように率先して出場してしまった。そして、なんと二人とも楽勝だったと豪語するのだ。

(幹事長)「転ぶ不安て、無かったん?」
(支部長)「ぜんぜん、そんな雰囲気やなかったなあ」
(國宗)「ほんと、全然平気でしたよ」


てことで、支部長の出場記録を掲載します。



支部長!新聞にこんなレースの募集の記事が載っていますよ」と四国新聞の切り抜きを持ってきたのは、丸の内支部の副支部長代理。彼は、最近何故かレース参加を見送り続けているヤイ副支部長のポストを狙う百十四トライアスロン部入部希望の國宗副支部長代理
その記事には、10月初めの3連休に開催される金比羅宮石段マラソンの記事。石段で有名な金比羅さんへの登り下りがレースのコースであり、石段数は金比羅宮本殿までは785段、奥の社までは1368段あると言われている。

こんなアップダウンの激しいコースは体が受け付けんし、特に下りは一歩踏み外したら映画『蒲田行進曲』で平田満が演じた階段落ちそのものになるんとちゃう?」と躊躇う支部長に、「10月の後半には庵治マラソンがあるので、その練習としてはもってこいやないですか」とやる気満々の國宗副支部長代理。「でも、こういったレースはマニアが出場するんで、ハイスピードのレースになり、われわれ素人が出ると結構厳しいと思うで。出るんやったら、ヤイ副支部長も誘って、大会運営である琴平観光協会に毎年のレース状況の探りを入れて見んといかんな」とあくまでも慎重な態度の支部長。あの果敢に高松サンポートトライアスロンに果敢に挑戦し、水泳で撃沈した支部長とは思えない消極的な態度を続ける。いや、撃沈したからこそ慎重になっている。連続の失敗は許されない、と。

しかし、水面下で出場に向けた準備が進む。まずは、ヤイ副支部長を誘うと、「その日は地元の神社の祭りがあり、獅子を使わんといかんからダメ」とのつれない返事に、「獅子と四電ペンギンズ丸の内支部の行事のどちらが大切なん?」と問いつめると「地元!」とあっさり選択され、ここでも撃沈!

続いて主催の琴平観光協会に探りを入れる。

(支部長)「石段マラソンに興味を持っているものですが、昨年のレースの状況などを教えてもらえますか。
       かなりプロのような人が走るレースなんでしょう?」
(観光協会)「いぃえ。参拝客でも参加されたる方がいますし、制限時間も早歩きでも十分ゴールに間に合う時間に設定しています」
(支部長)「本宮までと、奥の社までのコースがあるみたいですが」
(担当者)「30歳代までは奥の社まで行ってもらい、40歳代以上は本宮でおり返します」
(支部長)「参加費は無料とありましたが」
(担当者)「そのとおりです。メダルと金比羅宮のお守りが参加賞となります。是非参加ください」


と、若い女性担当者の対応に、ハードルはどんどん下がる

一緒に参加する人を多くするために、某広域観光推進組織に出向している金比羅宮ゆかりのK嬢に声をかけると、「あれは琴平観光協会が開催するもので、金比羅宮はあまり関係ないので、私は参加しません」と撃沈。返す刀で、支部のH嬢に「興味はあるのですが・・・」とやんわりと切られ、結局、出場は支部長國宗代理の二人のみ。

いよいよレース当日。琴平までは琴電で移動するため、瓦駅で代理と待ち合わせて電車に乗り込む。

(國宗)「今日、新聞に石段マラソンの記事が載っていましたが、どうも石段手前からのスタートではなく、JR琴平駅かららしいです」
(支部長)「駅から石段の所まで距離がずいぶんあるから、登り始める前に疲れ果てるんではないかなぁ。
       参加費無料だけに、そのへんの情報がまったく無かった。まぁ、琴電琴平駅に着いたら、案内が出てるやろ」
(國宗)「それはそうと、車内を見渡しても僕らみたいな格好の人はいませんね。何人ぐらいの参加者なんでしょうか」
(支部長)「わからんな〜。2〜3百人というところか。それにしても少ない。皆、車での移動やないか」


と話ながら、琴平駅に到着。駅前には案内人も案内板もない。しかし、電車から降りて来た人のなかには数人の出場者とおぼしき姿の人がJR琴平駅に向かって歩いてゆく。その後を追ってゆくと、駅前町営駐車場のスタート地点には思った以上に多くの人が集合している
受付は、地元の中学生がボランティアで行っており、すがすがしい対応である。が、折り返し地点や制限時間の確認をしようとしたが、学生では分からず、後ろに控える大会事務局の大人に確認している。ところが、その人も分からず、もっと中枢の開会関係者に確認して、やっと返答がある。
それによると、

  ・40代以上のランナーは希望しても奥の社までは行けない
  ・制限時間は1時間10分。これは本宮で折り返すのも、奥の社まで行くのも同じである


てことが判明。つまり、50代の支部長は785段の本殿までだが、まだ若い國宗代理は1368段ある奥の社まで走らねばならない。しかも制限時間は同じ。國宗代理にこのことを伝えると、ドン引き!「冗談でしょう!なんで785段と1368段が同じ制限時間なんですか!信じられない。理解できない。理不尽。あわわわ・・・」とアンビリーバブル状態。「ま、行くしかないわね〜」と、撃沈するなら自分だけではないと、支部長のやや明るい声。

そうこうするうちに、荷物預け所がないことが判明し、これもアンビリーバブル。
國宗代理の御親戚が商店街にあり、そこに預かってもらおうという話になり、商店街に向かう道途中で、早くもダッシュしたりアップしたりするランナーを目撃。アンビリーバブル状態を通り越して、あいた口がふさがらない状態。二人、目を併せて「マジ?こんな真剣な大会だったん?」との思いを共有する。
無事、荷物を預かってもらい、スタート場所に戻ると、スタート20分前になっているが、他の大会のような緊張感も漂ってこないし、自分の中にも生まれてこない。
スタートやゴールの説明がないまま、スタート前5分。やっと説明があり、まずは30歳代以下のグループのスタート。國宗代理は、あきらめムードを漂わせてスタートしてゆく。その3分後には、支部長を含む40歳代以上のスタートとなる。

出だしは平らな道なので、みんな元気いっぱい

いつものことながら、最初の部分はアップと割り切る支部長は、苦手な登りもあり、石段までは超スローペースで展開する。
石段にかかると、コースが参拝客とセパレートされていると考えるのは大間違いで、参拝客の間を縫って行かなければならず、これもゆるゆるの大会運営のなせる業である。しかし、「頑張って!」との声援は身近で聞こえ、なんとなくほのぼのとする。大門前とか本宮手前の石段は中でも急傾斜のため、参拝客に溶け込み歩いて通過する

折り返し地点の本宮では、讃岐平野の撮影をヤイ副支部長から頼まれていたため右に折れようとすると、運営関係者が手を広げ「この色のゼッケンの方は、奥の社までは行けません」と制止される。ゆるゆるの大会運営に反して、強い口調に戸惑う。
写真を写した後は下り。階段落ちをしないように足元ばかりを見て駆け下る。参拝客が多くなってきたので、なぎ倒さないように気をつかうが、横を追い抜いてゆく中学生を抜き返すため無理をする、へんなおじさんになってしまった。
石段を終了して、商店街を抜け、ゴールに入ったのは、スタートしてから30分を僅かに切っていた。予想に反して、良いタイム。しかし、順位とか公式記録はどこにも発表されていない。それもそのはず、公式記録はゴール地点にいるボランティアの女性がストップウォッチを片手に、紙に記録しているだけなのである。ゆるゆるの大会運営がここにも。

支部長のゴールから30分すぎ、國宗代理がゴール。奥の社まで行っていたには早い帰還。「登りの石段は結構あるきましたが、制限時間内には帰ってこられました」と達成感を漂わせる。
参加賞と一緒にくれたペットボトルの水を飲み、地元婦人会の接待でうどんのふるまいを食べて、無事レースを終えたのであるが、國宗代理が口走った「草レースにしては面白かったですね」との一言に共感する支部長でした。



(幹事長)「確かに、いかにも草レースって感じやねえ」
(國宗)「来年は幹事長も出ましょうよ!参加料はタダだし」
(幹事長)「無料ってのは惹かれるけど、ほんとに恐くなかった?転げ落ちる不安なかった?」
(支部長)「だから大丈夫やってばあ。ほんと子供みたいな恐がりやなあ」


転げ落ちる心配が無いのであれば、来年はぜひ出たいと思うぞ。でも、転ばなくても足とか故障しそうなコースやなあ。


〜おしまい〜




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