みかんの1年
4月下旬 枝々にみかんの花の蕾(つぼみ)がふくらみます。 |
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5月初旬 ちょうど、ゴールデンウイークあたりが開花のピークです。 ”みかんの花が 咲いている”という曲もありました。 この時期は、何とも言えない甘酸っぱい香りが西宇和一円を包んでいます。 |
「みかんの花は、橙色ですか?」と聞かれたことがあります。おそらく、みかんの皮の色を連想されたのでしょう。 5枚の白い花びらで、きちんと五角形を作っています。愛媛の県章は、このみかんの花がデザイン化されています。 |
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6月中旬 果実のおおきさも直径約15mm程度に成長しました。今年も実の付きがいいようです。 |
7月中旬 果実1個の大きさが、約30mm程度の大きさに育っています。 美味しいみかん作りのためには、そろそろ摘果をしなくてはなりません。 どの果実を摘んで、どの果実を残せばいいのか、長年の経験がたよりです。 |
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7月下旬 摘果の作業が始まりました。炎天下の作業は、とてもハードです。 妻の井上ことみも、パラソルをさして頑張っています。オレンジ・パラソル(?)は必需品です。 |
すべての果実に栄養を与えていたのでは、美味しいみかんはできません。 日当たりの悪いものや、発育の悪いもの、虫食いのもの等を、この作業で摘み落としていきます。 以前はこの摘み落としたみかんも、入浴剤の原料として出荷したことがありました。 |
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8月上旬 残された果実は太陽の日差しを一杯に浴びて、美味しさを蓄えています。 |
デコポンの様子です。特徴である果実の頭の部分(果頂部といいます)に独特のふくらみもはっきりしてきました。 | ![]() |
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8月下旬 スプリンクラーを使っての農薬散布です。昔は日中猛暑の中にカッパを着てのつらい作業でしたが、随分と楽になりました。 海に近い段々畑での農薬散布は、薬が海に流れ出すことも十分考慮しなくてはなりません。ですから、最近では「魚にやさしい農薬」というものを使っています。 |
タイベックシートを敷いています。 このシートの主な目的は、水分管理と反射光です。雨水は通さず、土中の水分は通します。 また、「5番目の太陽」として太陽光を反射させてます。 こうして、果実の糖度を高めるのです。 |
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シート張り完了です。簡単そうに見えますが、すでに反射熱がすごいので、汗だくの作業になります。 今年の夏は、低温で日照不足。降雨量も例年に比べて多いようなので、多少時間がかかりますが、丁寧に仕上げています。 |
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9月上旬 潅水を始めました。黒いホースのようなものから、水が噴き出しているのが分かりますか。このホースを「潅水チューブ」といいます。約5cm間隔に穴が開いています。一所に約半日水をかけて、次の場所に移します。 |
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写真は、デコポンの苗木に潅水しているところです。8月下旬から晴れの日が続いたので、水をやっています。その水源となるのが、下の写真です。約700m離れたシデノキ山まで、配管しています。 温州ミカンにはこの時期、水は必要ではありません。 |
朝立川流域の地下水を汲み上げて利用できるように、自宅近くにポンプ・送水施設を設置しています。夜間でも潅水作業ができるように、動力には音が静かな電動モーターを使っています。 | ![]() |
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ポンプ・送水施設から約800m離れた大久保山のデコポンに潅水しています。デコポンと清見タンゴールにとってこの時期は、「玉太り」と「酸抜き」の大切な時期なのです。雨上がりの約1週間後に潅水してやると、果実の成長が良いだけでなく、酸が抜けて、おいしい果実に仕上がるのです。 |
温州みかん(南柑20号)の第2次摘果です。7月下旬に第1次の摘果を行いましたが、さらにより優れた果実のみを選択します。美味しさに妥協は許されません。 私と妻のことみが脚立を使って頂上部を担当し、周辺部を父の春一と母の節子が摘果しています。 |
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9月下旬 極早生(品種名:上野早生)が色づきました。5つの太陽を浴びて、日に日に美味しさが見えてくるようです。 取り入れ間近です。1年で最も忙しい時期が始まります。 |
10月上旬 いよいよ今年度最初の収穫です。周辺部の陽当たりが良くて、色付きのよいものを厳選して収穫するので、この日の収穫量はコンテナで10杯程度でした。父春一の視線も厳しさがありますが、自然に笑顔がこぼれます。 |
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収穫の翌日に、選別作業を行います。 1個1個の大きさと色付き具合、傷の有無などを確かめながら、特に美味しいみかんを選び出します。 今年も一番取りは、売り物として出荷しません。親戚や毎年通信販売でみかんを購入して頂いている皆様に、挨拶代わりとして送りました。 |
11月上旬 極早生みかんを収穫する合間に、清見(きよみ)タンゴールの袋掛けを行います。主な目的は、寒さを防ぎ、鳥の害から守るためです。 袋の素材は紙ではありません。光を通すものでしかも着脱が簡単なもの、ということからパンストのようなネットが開発されています。 |
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こうして、1個1個をていねいに袋掛けして冬を越します。 収穫は明くる年の3月中旬以降になります。ふつうは早めに収穫して追熟させる方法をとるのですが、当園ではこうして袋掛けしたまま木で完熟させるので、一段とおいしいタンゴールができるのです。 |
11月中旬 早生(わせ)みかんの収穫が始まりました。1個1個の果皮の着色状態や手触り感、を確かめながら、ていねいに摘み採っていきます。1年で最も忙しいシーズンです。 |
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運び出しも、随分と楽になりました。以前は「おいこ」と呼ばれた道具で背中に担いで運んでいたのですが、今ではこのようなモノレールを使っています。機械化のお陰で、農作業も楽になりました。 |
9月末から「美味しいみかんができたら、送って下さい。」という注文を数多くお受けしていたのですが、この日やっと発送することができました。この味なら間違いない・・・というみかんを厳選しているので、長い間お待ちいただきました。この箱は、当園オリジナルです。井上農園の「井」に、園主政利の「マ」をデザイン化しています。 | ![]() |
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11月下旬 いよいよ南柑20号の摘み取りが始まりました。みかんは必ず二度摘みを行います。摘んだみかんは、写真中央に見えるオレンジ色のかごにどんどん入れて行きます。このかごが一杯になると、およそ10kgになります。従って、このかご2杯でコンテナが1杯になる勘定です。 |
夕方4時をすぎた頃から、帰り支度を始めます。父から子へ、コンテナを受け渡して荷造りを始めました。この軽四は父・春一が運転します。 | ![]() |
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12月上旬 午後の休憩時間の一コマです。 当園の主力柑橘である「南柑20号」の採り入れですが、親子4人だけでは人手不足です。こうした時に力強いのは、親族ですね。日替わりで、みかん採りにやってきていただけるので本当に助かっています。この日は私の叔父さん夫妻や、父・春一の叔父さん、叔母さんなどが大勢で助っ人にきていただきました。(合掌) |
12月中旬 12月9日(火)に当園が出荷した南柑20号が、20kg当たりで8,500円の今年最高値をつけました。右の写真は、当園が出荷している八幡浜青果市場の様子です。糖度計で測ってみると、14.7度ありました。 |
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みかんは食べるだけかと思っていたら、兵庫県三木市の竹崎様より画材になることを教えていただきました。 そこでみかんの最盛期ですが、生活のゆとりも考えて小玉みかん(正月飾りに使うみかんで、当園では「お寺みかん」と呼んでいますが、正式な品種名はキノクニ)を一輪挿しに生けてみました。 後ろの迷句(?)には 岬鯵を 囲んで艫の 漁談義 ハナアジ とも (竅j |
12月下旬 松山市の弟(明則)が助っ人に帰ってきました。晩生(おくて)の新品種「石地」(いしじ)の収穫です。このみかんは、完熟させても浮皮にならないだけでなく、「果糖」と「ショ糖」の割合が他のみかんと大きく異なっており、ひと味違ったみかんを楽しむことができます。20kgで12,000円の高値をつけるほどです。 |
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![]() 金色の実が、 幸福をもたらす 縁起の良ものと して重宝されて います。 |
1月上旬 正月用に、「きんかん」を飾ってみました。「きんかん」はそのまま食べても美味しいのですが、風邪薬にすることもできます。 左の写真は、2枝の「きんかん」と義妹(千穂)が製作した葛(カズラ)とツヅラの壁飾りです。このページを訪問していただいた方に、プレゼンとしてもよいそうですが、ご希望の方はいらっしゃいますか? |
1月上旬 主に南柑20号のS玉や2S玉、果皮に傷のあるものなどを、西宇和郡伊方町にあるジュース工場「クリエイト伊方」に運びました。ここでは、各農家が ”おらが自慢の温州みかん” を持ち込んで 「農家オリジナルのストレート・ジュース」を作ることができます。 さて、みかんの味には絶対の自信があるだけに、どんなみかん100%ジュースができるか楽しみです。 写真上:(株)クリエイト伊方前にて 写真下:ジュース工場の様子 |
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2月上旬 デコポンの出荷が始まりました。10月上旬の温州みかんの選果と見比べてみて下さい。 デコポンの選果は、傷がつかないように1個1個手作業で行い、着色の様子や傷の有無、大きさなどを慎重に調べます。 |
2月中旬 温州みかんの剪定作業が始まりました。剪定といえば、のこぎりのようなもので枝を切り落とすイメージがありますが、今は刈り込みばさみで行っています。 剪定の方法は「Y」の字を想像して下さい。およそ果樹は「Y」の字のように主枝が左右に半分ずつ分かれています。今年収穫があった枝が左半分としましょう。この枝を「結果枝」といいますが、この時期の剪定はこの結果枝だけを剪定するのです。すると来年は、左半分の枝から新芽を出して成長するのですが、それが精一杯で、実はあまりなりません。
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「右半分はどうするの?」と思われるでしょう。実は、昨年右半分だけを剪定しているのです。ですから、来年は右半分が実をつけます。 こうすれば、単年の収穫量は落ちるものの、収穫の表年や裏年といった不安定さがなくなるのです。 赤丸で囲んだ部分が今年剪定した枝々で、黄色の枝々が来年実をつけてくれます。 |