ラリマーはハーティムの説教からようやく解放され、ラピスとラズリを探して大神殿の中をうろうろしていた…
「あの子たちどこに行っちゃったのかしら…迷子になってなきゃいいんだけど…」
ラリマーがため息をついて辺りを見回すとバシットゥとクライズクラウが話しているのを見つけた。
「あら、バシットゥちゃんじゃない!」
「ラリマー様お久しぶりです。御身も来ていたのですね」
「旦那の知り合いか?」
「はい、こちらはラリマー様という方で神官だった頃にお世話になった方です」
バシットゥはラリマーに気付くとすぐに頭を下げ、クライズクラウにラリマーを紹介した。
「そしてこちらの方は…」
「クライズクラウだ、旦那にはよく世話になってるんだ」
「へえ、そうなの…あら? よく見たら女の子じゃない、てっきり男の子だと思っちゃったわ。ごめんなさいね」
「よく間違われてるから気にしなくても良いぜ、この格好も俺の好きでやってる事だしな」
どうやらラリマーはクライズクラウを男だと思っていたようだったが、クライズクラウは気にする様子もなくカラカラと笑いながら答えた。
「ところでラリマー様はどのようなご用件でこちらにいらしたのですか?」
「子供たちと礼拝に来たんだけどはぐれちゃったみたいで…」
ラリマーはそう言ってため息をついた。
「お子様たちですか…確かラピス様とラズリ様のお二人ですね」
「ええ、そうよ。どこかで見なかったかしら?」
「そう仰られても、お子様たちには直接お会いした事が無いので…」
「可愛いからすぐに分かるはずよ!」
「はぁ…」
ラリマーはもう手がつけられそうになく、バシットゥは困ってしまっている…
「坊主と嬢ちゃんならさっき聖堂で見かけたぞ」
「あなたラピスちゃんとラズリちゃんを知ってるの?」
「ああ、前に…」
「だったら知ってるでしょ、あの二人の可愛さを!」
「……はぁ?」
「だから、ラピスちゃんとラズリちゃんの可愛さをバシットゥちゃんに教えてあげて」
ラリマーはとつぜん訳の分からないことを言い出した。
「急にそんな事言われても…」
「そんな事無いでしょ、なにかあるでしょ? 素直な良い子とか髪が綺麗とか瞳が可愛らしいとか声が素敵とか(以下略)」
「ラリマー様落ち着いて…」
「バシットゥちゃんは黙ってて!!」
そしてここから、ラピスとラズリが騒ぎを聞きつけてやって来るまで、
ラリマーはラピスとラズリの可愛さをバシットゥとクライズクラウに語り続けたらしい…




あとがき
親ばかなラリマーの話でした。
バシットゥさん(夜鳥さん)、クライズクラウさん(櫟 戦歌さん)お借りしました。


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