ある日ラリマーはイアマールの天幕をこっそりと訪ねていた…
「それで、あたしに頼みたいことって何かしら?」
「それはね、イアマールちゃんにうちの子供たちの服を作ってほしいの、
うちの子供たちっていうのはラピスちゃんとラズリちゃんっていうんだけど
まだ十二歳と十歳なんだけど凄く可愛くて、きっと将来は凄く綺麗に育つわ。
しかも歌声が綺麗でその歌声はまるで天使のようで…(略)」
どうやらラリマーはイアマールに仕事の依頼に来たようだが…途中から子供自慢になっている…
そして、偶然居合わせたマキを何故か気に入ったらしく片手に抱いたままだ…
「ラリマーはラズリのお母さんだったのね、ラズリには前に会った事があるわよ、可愛らしい子だったわ。
それで服を作ってほしいって話だけど…」
「そうだったわね、私は子供たち…特にラピスちゃんと仲良くなれないの…
やっぱり九年間ほったらかしにしてた私が悪いんだけどやっぱり寂しいの…
それで、なんとか仲良くなろうと服を贈ってあげようと思って、
イアマールちゃんにお願いに来たの。
本当は手作りのをと思ったんだけど全然ダメみたい…」
ラリマーがそう言って取り出した服のような物は、
ピンクでつぎはぎだらけでボロボロだ…それに何故か袖の長さが左右で違っている…
「げっ…何だよ、それ、そんなの着たくねぇや」
その出来は横にいたマキにばかにされるほどひどいものだった
「………その服…ラズリ用かしら…?」
「違うわよ、ラピスちゃん用よ。きっとラピスちゃんならピンクの服も似合うと思うの」
笑いながらそう言うラリマーにイアマールは頭を抱えた…
「大抵の男の子はピンクの服は来たがらないと思うわよ…デザインはあたしに任せてもらっていいかしら?」
「え? ええ、構わないわよ」
「分かったわ、とりあえず服のサイズとか分かるかしら?」
「ええ、もちろん」
それでも、なんとか話を進めて、どんな服を作るか少しずつ決まって行った…
「…これで、大体の事は決まったわね、最後に料金だけど予算はどれくらいかしら?」
「取りあえず、これくらいでどうかしら?」
ラリマーはそう言うと金貨が入った袋をひっくり返した。
そして、イアマールの前に小さな金貨の山ができた…
「……ええ!? こんなに!」
「すげー、こんなたくさんの金貨初めて見た!」
イアマールもマキもいきなり大金を出された事に驚いている…
「どうかしら足りるかしら?」
「…多すぎよ、いくらなんでもこんなに貰えないわ」
「じゃあ、これくらいでどうかしら?」
ラリマーは金貨の量を少し減らした。
「まだ多いわ」
「じゃあこれで…」
「まだまだ」
このやりとりを何回も繰り返し金貨が十枚になった所でようやく決着が付いた
「まあ、これくらいね。」
「これだけでいいのかしら?」
「これだけもらえれば十分よ」
イアマールは少し疲れた様子でラリマーと話している。
「ねえちゃんはすげぇ金持ちだな」」
「こら、そんな失礼な事…」
「これは、巫女を辞めさせられた時に持ち切れなかった装飾品とか売ったらこんなにたくさんのお金になっちゃったの」
マキの失礼な質問をラリマーは普通に答えた。
「持ちきれないほど持ってたのか、ねえちゃんってすげーんだな」
「そんな事無いわよ、四百年以上かけて少しずつ溜まった貰い物ばかりよ。
じゃ、マールちゃん服の事頼んだわよ。マキちゃんもまた今度ね」
「え? マールちゃん?」
「そう呼んだ方が可愛いでしょ? じゃ、よろしくね」
突然「マールちゃん」と呼ばれて戸惑っているイアマールを尻目にラリマーは立ち去ってしまった…
あとがき
イアマールさんにラピスとラズリの新衣装の依頼をする話です。
ラリマーが色々調子に乗ってます。
イアマールさんとマキさん(イケダさん)お借りしました。
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