ある昼過ぎ、ラリマーがいつも通り木陰で仕事もせずにくつろいでいると…
「姉様…」
「ラリマーはん、はろーん♪」
ヤシュムがリディアンを引き連れてやって来た。
「あら、ヤシュムちゃん…あら? リディアンちゃんも一緒なの?」
「…知り合い…それで…姉様に…お願いが…」
「………ううっ」
ラリマーは突然涙ぐみ始めた…
「ヤシュムはん? どないしたん」
「…姉様?」
「ヤシュムちゃん! 良かったわね!」
ラリマーは突然ヤシュムに抱きついた。
「ヤシュムちゃんは人付き合いが苦手そうだから友達を作るの大変そうだと思ってたけど
まさかこんなに早く出来るなんて……ヤシュムちゃん偉いわ!」
「…姉様…」
「よー分からんけど、オレも抱きつたろーっと」
何故かリディアンもヤシュムに抱きついた。
「…痛い…」
二人に抱きつかれたヤシュムは苦しそうだった…
しばらくしてラリマーは泣きやみ、ヤシュムは解放された…
「それで私にお願いってなんだったのかしら?」
「姉様の歌…聴かせてほしいの…」
「…私の歌?」
「そう…リリーと…約束したの…」
ヤシュムは頷いてそう言った。
「そう…今日はこの後お昼寝でもしようと思ってたんだけど…
ヤシュムちゃんのお願いじゃ仕方ないわね、分かったわ特別に歌ってあげる」
「ほんま? ありがとーさん♪」
「そうねぇ…皆は何を歌ってほしい?」
ヤシュムはすこそ悩んでこう答えた…
「八十五年前に…葬儀の時…歌ってた…鎮魂歌…」
「え?」
「じゃあオレもそれがいい」
「ええ!?」
まさか鎮魂歌をリクエストしてくるとは思わなかったラリマーは流石に驚いていた…
そしてそのまま鎮魂歌を歌わされた…
そして数分後ラリマーは鎮魂歌を歌い終わった…
「どうだったかしら?」
「歌はよく分からんけど、声は綺麗やったで」
「…姉様の…歌…素敵…」
大絶賛だったがラリマーは苦笑いしていた…
「それはよかったわ…歌ったら喉が乾いちゃった、ヤシュムちゃん厨房で飲み物を貰ってきてくれないかしら?」
「分かった…」
ヤシュムは隊商宿に向かって行った…
「ねえ、リディアンちゃん…」
ラリマーはヤシュムを見送った後、リディアンに向き直った、
その時のラリマーは珍しく真剣な表情だった…
「ん? どしたん?」
「ヤシュムちゃんとずっと友達でいてあげてね…」
「ええよー」
リディアンは楽観的な様子で気楽そうに答えた
「ありがとう…」
そう言うラリマーは優しそうに微笑んでいた。
あとがき
この話は方言が難しかったです…
リディアンさん(猫冶さん)お借りしました。
戻る