その朝、目を覚ますと体の異変に気付いた…
頭は痛いし…喉も痛くて声が出ない…体を動かすのがだるい…頭痛がする…
いま同じ事を二回考えたような気がするけど、もうどうでもいいや…
そういえばラズリは…ああ、確か『今日はリーンの所に泊まるの』とか言ってたな…
じゃあ、今ここにはぼく一人しかいないってことか…
お医者さんの所に行かなきゃ…でも動きたくないなぁ…
あれ? 誰かが部屋に入ってきたみたい…
「……」
ラズリだ…何か言ってるみたいだけど、何て言ってるのかよく聞き取れないや…
「…? ……!?」
ラズリはなぜか慌てて走っていったけど…どこに行ったんだろう…
…しばらくするとなぜかぼくはおんぶされていた…
…何でこんな事になってるんだろう……前にもどこかでこんな事があったような…
いつだっけ…思い出せないや…でも確かにあの時もこんな青い髪が…
そんな事を考えているうちにまた意識が遠ざかっていった…
気が付くとぼくはどこかの天幕で寝かされていた。
今朝の痛みやだるさも大分落ち着いて普通に動けるようになっていた。
体を起してみると目の前に湿った布が落ちた、どうやら額に載せられていたみたい…
「目が覚めましたか?」
声のした方を見てみるとそこに赤い髪の女の人がいた。
「ええっと…ここは…」
「ここは医者天幕です。あ、私は医者のアイリアスです。今朝ここに運び込まれた事は覚えてますか?」
「…そういえば、誰かにおんぶされてたような…」
「運んできたのはあなたのお母さんですよ」
「……え?」
その言葉を聞き直そうと思った瞬間…誰かが天幕に飛び込んできた。
「ラピスちゃん!! 目が覚めたのね。良かった…本当に良かった…」
入って来たのはラリマーで、ぼくを見るなりいきなり抱きついてきた少し泣いているみたいだ…っていう息ができない…
「ラリマーさん落ち着いてください。ただの風邪だったとはいえまだ治りきっていないんですから、今日一日は安静にすごさせないと…」
「あら、そうなの?」
アイリアスさんが引きはがしてくれたのでなんとか窒息せずにすんだ。
「ごめんなさいね、ラピスちゃんは小さい頃にも急に高熱を出した事があって不安で不安でしかたなかったの…だから、元気になったように見えたから嬉しくてつい…」
ラリマーはそう言ってしくしくと泣き始めた…えっと…どうしよう…
「あの…そこまで気にすることもないですよ…」
「でも…たったの九年とはいっても、傍にいられなかったし、きっとラピスちゃんにもラズリちゃんにも嫌われて当たり前なのよ…」
「あの…九年は結構長い方だと思うんですが…」
もう関係のない事まで嘆き始めてるよ…
「ぼくはもういいから、お母さんも気にしないでいいよ…」
「…今『お母さん』って呼んだ? いままで『ラリマー』とか『あなた』としか呼んでくれんかったのに…嬉しい…」
またラリマー…お母さんに抱きしめられた…
でも、今度はさっきと違って少し力を抜いてくれている…
アイリアスさんはなんとか引きはがそうとしていたけど、ぼくはほんの少しだけしばらくこうしていてほしいと思っていた…
後書き
ラピスとラリマーが少しでも仲良くなる話を書こうと思ったんですが…
アイリアスさん(雨水さん)お借りしました。
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