ラピスとラズリがあちこちで歌って勝負していた頃、ラリマーは隊商宿でシャーロームとチャイを飲んでいた。
「…この歌の作者は凄い人見知りでね、それが酷過ぎて今じゃ作者不詳になっちゃったの」
「まあそうでしたの、でもそれを踏まえて見てみるとまた違った見方ができますわね」
「…あの人がそれを聞いたら喜んでいたでしょうね」
そこに突然赤ん坊の泣き声が響き渡った。
「あらあら、大変」
ラリマーは少し慌てた様子で部屋の奥に入って行った…
そして暫くしてアクアとマリンを抱っこして戻ってきた。
「ごめんなさいね、この子たちなかなか寝てくれなくて…」
「お母さんも大変ですのね。あら?」
突然アクアがシャーロームの方に手を伸ばし始めた。
「アクアちゃんそっちがいいの? シャーロームちゃん悪いけど抱いてあげてくれないかしら?」
「ええ、かまいませんわ」
シャーロームはラリマーからアクアを受け取って抱きあげた。
「温かいですね」
「そうでしょう」
ラリマーとシャーロームがほのぼのとしていると、なにやら部屋の外が騒がしくなってきた。
「何なんだお前たちは」
「ラリマーさんに金組参加のお願いに来ました」
「いやいや、ラリマーさんには銀組の方が…」
「…ラリマーはどちらにも参加する気はないと言っただろ! 育児で忙しいのが分からないのか!?」
どうやら金銀音合戦にラリマーに参加のお願いに来たようだがモリオンに断られているようだ。
「またきたみたいね…」
「ラリマーさんは人気者ですわね」
「私はラピスちゃんとラズリちゃんの勝負にあまり関わりたくないから参加したくないのよね、
どちらかに味方したらもう一人と敵対する事になっちゃうじゃない。
でもラピスちゃんとラズリちゃんに両手を引っ張られて取り合いされるというのは悪くないかもしれないけど…」
「はぁ…」
後に本当に取り合いされる事になるとは思ってもいないラリマーを見てシャーロームは少し呆れていた…
あとがき
ラピスとラズリが戦っている合間でこんなやり取りがあればいいなと思いました。
シャーロームさん(夜鳥さん)お借りしました。
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