現在、隊商は黒蛇の壷へ向かって移動していた。
ラピスとラズリも遅れないように、少し早足で歩いていた…
「おーい、ラピスーラズリー」
後ろから誰かに話しかけられて二人が振り向くとそこにいたのはコランサイファだった…
「あれ? コランどうしたの?」
「よく似た黄緑の頭が並んでいるのを見かけたから声をかけてみたんだよ、本当によく似てるね」
「そうでしょ、よく間違われるんだよね」
「うん、見かけじゃ区別つかないや」
ラズリとコランサイファはそう言って笑い合っている…
「ところでラピスって12歳って聞いたけど、本当なの?」
「うん、ぼくは12歳だけど…」
「じゃあ、ボクと同い年じゃん、今までずっと年下だと思ってたよ。ごめんね」
「と、年下って…」
「だって、ラピスってボクより背が小さいじゃん、だからてっきり、10歳位だと思ってたんだ」
「…背はこれから伸びる予定だよ、あと何年かすれば、コランを追い抜いてるよ!」
「そうかなぁ? 案外、ラズリにも抜かれてるかもしれないよ」
「ラ、ラズリに抜かれる…?」
ラズリに抜かれるという言葉にラピスは動揺を隠せない…
「ちょっと、いくらなんでも言いすぎじゃないの? 確かにお兄ちゃんは小さくて女の子みたいだけど
 天幕で寝ている時にわたしの寝相が悪くて、布団を蹴飛ばしたらかけなおしてくれたり、
 食べ物を買うお金が無い時は自分の分を削ってわたしに回してくれたりしてくれるんだから!」
「…ラズリ、女の子みたいとは言われてないし、その話身長と関係ないよ? その前に何で知ってるの?」
ラピスは顔が真っ赤になっていた、その原因は怒っているのか照れているのか、本人にも分からなかった…
「ラピスって…ラズリのお母さんみたいだね。見直したよ」
「コ、コランまで何を言い出すの?」
「やったね、見直してもらえたね」
「いや、そうじゃなくて…」
「そういえば、ラピスさっきから顔が赤いよ? 熱があるんじゃないの?」
「熱なんて…」
ないよと言いかけたラピスの額にコランサイファの掌がのせられた…
「なななな何をするの!?」
ラピスは顔を更に真っ赤にさせて飛び退いた。
「何って、熱が無いか確かめようとしただけだけど…どうかしたの?」
「どうって…えーと…その…何でもない!」
「こんなに顔が真っ赤で、何でもないわけないじゃん!」
「お兄ちゃん、無理しないでお医者さんの所に行ったら?」
「本当に何でもないから、心配しないでいいの!」
この言い争いはその日の移動が終わるまで続いた…




あとがき
移動中の話でした。
ラピスとコランサイファさんが仲良くなる話を書こうとしたはずなのに…
コランサイファさん(秋野 綾さん)お借りしました。


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