ある日、モリオンの天幕にある人物が訪ねていた…

「…という訳であなたと同じ斥候のアージュについて教えてください」

それはカフェスで、アージュについて詳しく知りたがっているようだった…

「…自分の姉が好きな相手をそんなに信用できないのか?」

「当然です、あんなどこの馬の骨かも分からない俺より年下の男なんか…」

(私も昔似たような事をを言われたのだが…ややこしくなりそうだから黙っておこう)

モリオンとアージュは確かに仕事上一緒にいる事がある。

しかしアージュは自分の事をあまり話さないしモリオンもわざわざそれを聞きだすような事もしない。

つまりモリオンはカフェスが満足するような答えを出せなかった。

「だいたい君は何故私にそんな事を聞きに来たんだ?」

「それは、モリオンさんはいつもえらそうに他の斥候の人に命令ばっかりしているとラピス君から聞いて…」

「ちょっと待て、今のはラピスが言った事なのか?」

「はい、だからモリオンさんなら斥候の方の事も詳しいと思って…」

「…とにかく、私から言える事はアージュは寡黙だが真面目で信用できる男だということだ。分かったらもう帰ってくれ」

「でも…」

諦めないカフェスにモリオンが頭を抱えていると、誰かが後ろからカフェスの肩を掴んだ。

「少し宜しいかしら?」

振り向くと黄緑の髪の女の子とヤシュムがいた…

「…君は?」

「…私の…知り合いの…イザーバ…」

「あなたの事を聞いてぜひお話したいと思っておりましたの」

「…という訳で…こっち…来て…」

「さあ、参りましょう」

「ちょっと待って、まだ大事な話が…この子意外と力が…うわぁぁ…」

カフェスはイザーバに引きずられて何処かに連れて行かれてしまった…

(カフェスが誰かに似てると思ったらあいつか…)

後日何があったかカフェスに聞いても、何も答えてくれなかった…



数日後の移動中、モリオンはアージュと共に斥候の仕事をしていた…

「…この辺りは、安全そうだな」

「ああ…ところでアージュ聞きたい事があるんだが…」

「なんだ」

「私の息子が私の事をいつも偉そうに命令していると言っていたと聞いたのだが、私はそんなに偉そうなのか?」

「…」

アージュはモリオンの問いかけに何も答えなかった…

正確には目で何かを語っているようだったがモリオンには解読できない。

「何故何も言ってくれないんだ!? まさか君もラピスと同じ考えだと言うのか!?」

アージュの反応は変わらず、辺りにはモリオンの叫びが響くだけだった…



あとがき

モリオンは子供に嫌われたくなくて必死になるお父さんです

カフェスさん(あざなさん)、イザーバさん(庵さん)、アージュさん(たまださん)お借りしました。


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