「♪〜♪〜〜」
ラピスとラズリが、鼻歌を歌いながら市場で買い物していると、そっくりな二人の子供が言い合っているのを見つけた。
「離せよ! 今度こそ遺跡で何か持って帰って、あいつらを見返してやる!」
「やだよ、また何かあったらどうするの?」
「このまま引き下がれるか、お前男だろ!」
「でもやだよ、もう行きたくないよ」
よく見るとこの二人は同じ隊商で見かけた踊り子のアスランとアーレフだった。
「ねえ、こんな所で喧嘩してたら迷惑になるよ」
「なんだよ、邪魔するな! ていうか誰だ?」
「同じ隊商で詩人をしているラピスだよ。それよりこんな道の真ん中で喧嘩してたら周りの迷惑になるよ」
「うるさいな、そんな事言われなくても分かってるよ」
「僕たちより小さいのにしっかりしてるんだね」

ラピスたちは場所を変えてまた話し始めた
「それで、何で喧嘩していたの?」
「アスランが、また遺跡に行くって聞かないんだ。あんな怖い目にあって逃げ帰ったのに…」
「かっこ悪いね」
「何だと!」
「本当の事じゃん」
喧嘩するラズリとアスランを無視してラピスはアーレフの話を聞いた。
「つまり、その子供に女の子って間違われたのが気に入らないんだね。その気持ちよく分かるよ」
「本当か? 本当に分かるのか?」
アスランは喧嘩を中断してラピスに詰め寄った。
「うん、人の性別を間違えるなんて最低だよ」
「お前っていい奴だな」
手を握り合って意気投合しているラピスとアスランをラズリとアーレフが眺めていた…
「お兄ちゃん、よく私と間違われてるからね」
「そうなんだ」
「わたしは、そんなにむきにならなくてもいいと思うんだよね」
「そうだよねー、アスランってちょっとした事ですぐカッってなるからねー」
「ふーん」
「おいアーレフ、何勝手な事言ってんだ!」
「ねえ、帰ったら焼き菓子作るんだけど、よかったら君たちも一緒に食べる?」
「「食べる」」
「じゃあ、決まりだね。お兄ちゃんは結構料理上手いんだよ」
ラピスたちは上機嫌で隊商宿に向かった。

隊商宿の厨房を借りて焼き菓子を作って四人で食べ始めた。
「結構旨いな」
「料理人が作ったみたいだよ」
「そうでしょ、隊商に入る前はお兄ちゃんが毎日料理してたんだよ!」
アスランとアーレフの感想にラズリは我が事のように喜んでいる。
「お前は作らないのか?」
アスランの一言にラズリは固まった…
「ラズリはいつも歌の特訓とか言って逃げてたから、ちっとも上達しないの」
「お兄ちゃん!」
「前に料理したんだけど、あれは料理とはよべなかったね」
「お兄ちゃん、その話はもういいから…それより、二人は馬鹿にした子に仕返ししたくない?」
「当たり前だ」
「実はその子を知ってるの、それから弱点も」
「本当か?」
「うん、あの子毛虫が苦手なの、だからこれを使って…」
ラズリはよくできたおもちゃの毛虫を取り出した…
「なるほど、それは面白そうだな…」
ラズリとアスランは怪しげな笑みを浮かべている…
「ラズリ…その毛虫のおもちゃでどうするの?」
「え? えーと、それは…」
「アスランも、まさか本気でそんな悪戯をする気じゃないよね?」
「さあ、どうかな」
その後、ラピスの説教とアーレフの説得でラズリとアスランの仕返しが実行される事は無かった。




あとがき
アスランさん、アーレフさん(Nasatoさん)お借りしました。
これはNasatoさんが書いた遺跡探検を参考に書かせてもらいました。
なんだか、似た所が多い兄妹と兄弟ですね。


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