【シリアスな5つのお題】


1、見送る背中

その夜、妻は家を去って行った…

私とまだ幼い子供たちを置いて…

何度も振り返りながらゆっくりと歩いて行く妻の背中は、

まるですぐにでも引き返してこちらにかけよりたいのをこらえるかのように…

私は何もできない自分が一番憎かった…


2、切ない望み

部屋に戻り、寝所を見ると子供たちが寝息を立てていた…

何も知らずに眠るその姿を見ていると、なぜかとても悲しくなってきた…

せめて妻が願いどおりこの子たちには何者にも縛られず自由に育ってほしい…

私にはそれ位しか出来る事は無いのだから…


3、空を仰いで

ふと上を見るとそこには無数の星が輝いていた…

いつもならその輝く星たちに心を奪われているけど…

今日はそんな気分にはなれなかった…

あの人はあの子たちをちゃんと育てられるかしら、

あの子たちは将来どんなふうに育つのか、

置いて行った家族の事ばかり思い浮かべながら

夜の道を歩いて行った…


4、飲み込んだ言葉

「ずっと一緒にいたい」

この言葉を言っていたならどうなったのかしら?

きっと、あの人はどんな事をしてでもその言葉を叶えようとするはず…

例えその身が犠牲になったとしても…

私はそれを望まなかった、だから言えなかった…

分かっているのに、寂しさだけが募っていく


5、割り切れない思い

なぜだろう…

これで本当に良かったのか?

他に方法は無かったのか?

疑問が次々とわいてくる…

だけど尋ねても答える者はいない

これで良かったはずなのに…

心の奥にずっとある共に生きたいというそれだけの願い

ただそれだけの願いが叶えられないのは

私が無力だったから…

もしも私に力があれば…と思ってみても

今はただむなしいだけ…


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