ある日の早朝、ラピスはナワールの店を訪ねていた。
「いらっしゃいませ、あっあんた…貴方は確かあの人の頭の上に乗っていた…」
「それは妹のラズリだよ!」
「…分かってますよ、その妹さんを降ろそうとしていたお兄さんですよね」
ナワールの口調は丁寧だがどこかぎこちなかった…
「それで、どのような物をお探しですか?」
「えっと、女の子が貰って喜びそうな物は…」
「贈り物ですね。それなら、これはどうですか?」
ナワールはそう言うと大きな黄色い花の胸飾りを出した。
「わぁ…すごくきれいだね。これの値段は…」
「銀貨三枚です」
ラピスは値段を聞いた途端固まってしまった…
「……………銅貨五枚ぐらいで買える物はある?」
「銅貨五枚ですか? じゃあこの髪飾りはどうですか?」
ナワールが次に赤い花の髪飾りを出した。やはりさっきの胸飾りよりは小さめだった。
「うーん…あの子の髪の毛は赤いからあまり映えないだろうし、それにもう大きな髪飾りをつけているし…他のも見せて」
「そうですか…それならこれなんかがいいんじゃないですか?」
この様なやり取りが数回繰り返された…そして…
「これならどう?」
ナワールはどこかいらついた様子で出したのは小さな白い花の腕輪だった。
「これいいね、これ買わせて貰うね」
「ありがとうございました。では、包みますね」
ラピスは綺麗に包装された腕輪を買って帰って行った。

「…はぁ…やっと帰ってくれた…」
ナワールはラピスがいなくなった途端ため息をついた…
「まったく、あれだけ時間かけて売れたのが小さな腕輪一個じゃ割に合わないわ…」
そしてそばにいたルフに話しかけ始めた。
「それにしてもあんなに真剣に悩んで…多分あの子に贈るつもりなんだろうな…まあ、私には何の関係もない事だけどね、うん」
ナワールはそう言って店番を再会した。




あとがき
ナワールさん(ムツホシラさん)お借りしました。
ラピスが贈り物を買う話です。渡す相手は片想い中のあの方です。
ちなみにラピスにとって銅貨五枚は自分の為に使うお金としてはかなり高額です。(収入がかなり少ないから…)


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