「「♪〜♪〜」」
ラピスとラズリが歌の練習をしていると…
「…が一本…それから…」
ヤシュムが何か呟きながら前を通りかかった…
「叔母さん、ぶつぶつ言ってるけどどうしたの?」
「…姉様に…頼まれた…おつかい…」
「お母さんに? 何頼まれたの?」
「…一緒に…来る?」
「うん、行く行く」
「…仕方ないなぁ」
ヤシュムはラピスとラズリを引き連れてある天幕に入った…
「…こんにちは…」
「なんだおまえ?」
中にいたのは商人のアルハー、彼の前には商品の飲み物が並んでいた。
「私は…ヤシュム…この子たちは…甥と姪の…ラピスとラズリ…」
「…名前じゃなくて、用件を聞いてんだよ!」
アルハーが大声を出したので、
ラピスとラズリが怯えて、ヤシュムの後ろに隠れた。
「…大声…出さないで…子供たちが…怯えてる…あと…怖い顔も…やめて…」
「分かったから、さっさと用件を言え」
「…キット…一本…サディーク…二本…これ…お金…」
ヤシュムは銀貨と銅貨をアルハーに渡した。
「なんだ、客だったのか…ほらよ、さっさと受け取りな」
商品を受け取ったヤシュムは帰ろうとしたが…ラズリに引き留められた…
「ねえ叔母さん、わたしも買い物したい」
「…いいよ…」
「じゃあこれが欲しい!」
ラズリが手に取った瓶の中には明らかに飲み物ではない青いふわふわした生き物が入っていた…
「…それは商品じゃねぇよ!」
「えー別にいいでしょ」
「よくねぇよ!」
「あの…これなんですか?」
騒ぐアルハーとラズリを無視して、ラピスはある商品を見ていた…
「それか? それはなんとか還元水といって、飲めば背が伸びたり、女の子にもてるようになったり、ナイスバディになったりするっていう噂の水だ。一杯銅貨一枚だぞ」
それを聞いたラピスは黙り込んでしまった…
(これを飲めば背が伸びる? なんか嘘っぽいな…でも嘘という証拠もないし…
 でも本物だという証拠もない…でももしかしたら伸びるかも…
 だけど、偽物だったらただの無駄遣いだし…でももし本物だったら…
 いや、飲むだけで背が伸びるなんて普通ありえない…だけどこれが魔道具か何かなら…)
 真剣に考え込んでいるラピスのラピスの横からラズリが口をはさんだ
「そんなの嘘でしょ」
「…何か証拠でもあるのか?」
「だって、お兄さんは大人のくせにちっちゃいよね、なんでその水飲まないの?」
「なんだと!!」
「あのー…」
アルハーがラズリに痛い所をつかれてると、後ろから誰かに話しかけられた。
振り向くと後ろにいたのはミトだった…
「ミトか、どうかしたか?」
「それが…シッカさんが黒い女の人と見つめあってるんですけどー」
ミトが指差す方を見るとそこには何故か無表情で見つめ合うヤシュムとシッカがいた…
「………」
「………」
視線だけで意思の疎通ができているようにも見えなくはないが…
不思議な呪術師が見つめ合っている光景はどこか不気味だった…




あとがき
アルハーさん、ミトさん、シッカさん(ずらさん)お借りしました。
酷い扱いですみません…


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