ある日の昼下がりラリマーは突然やってきた来客を神殿の庭でもてなしていた。

その客というのはかつて同じ隊商で旅をした仲間で大切な友人のシャーロームだった。

「それにしても、こんなに早くまた会えるとは思いませんでしたわ

「本当にそうね、空を眺めていたらシャーロームちゃんが雲みたいに流れてきたときは驚いたわ」

「わたくしもラリマーさんと目が合った時は驚きましたわ」

二人とも驚いたといっているが傍から見てそんな風にはとても見えなかった…

「ところでお子様たちはお元気かしら?」

「ええ、今は町に行っていていないけど元気よ。
 ラズリちゃんはたまに連絡をくれるけど元気にやっているみたいね、
 ヤシュムちゃんのことはばれちゃったみたいだけど…」

そう語るラリマーは微笑んではいるがどこか憂い気な表情だった…

(何かあったのかしら…)

「シャーロームちゃん、何か気になることでもあるのかしら?」

「え、アクアちゃんとマリンちゃんは前に会わせていただいた時から大きくなったのか気になって…ラリマーさん、どうなさいました!?」

シャーロームがラリマーを心配していることを悟られたと思ってとっさに出した話題だったが、なぜかラリマーは誰がどう見てもわかるくらい暗くなった…

「いえ、これは何でもないの。アクアちゃんとマリンちゃんね、ちょっと前に言葉を話すようになったんだけど…」

「まあ、それはおめでとう…」

「ラピスちゃんを指さして『にーに』って言ってたの私はまだ『ママ』って呼んでもらってないのに…
 もしかして私が母親らしくないから…」

「そんなことありませんわ! ラリマーさんが母親らしくないなら、母親らしい人なんていませんわ!!」

シャーロームは落ち込むラリマーを全力で励ますが、ラリマーに立ち直る様子はなかった…

その時、アクアがどこからか飛んできた。

「あら、アクアちゃん帰ってきてたの。ほら、こっちにいらっしゃい」

ラリマーがアクアを抱き寄せると、ラピスがマリンを抱いて走ってきた。

「アクア勝手に飛んでいかないで…あ、シャーロームさんお久しぶりです」

「あら、ラピス君元気そうね」

「はい、ところで…何かあったんですか?」

ラピスの言う何かとはおそらくラリマーの事なのだろうが…

原因がラピスが「にーに」と呼ばれたことだとは言えず、シャーロームが困ってると…

「ま…ま…」

シャーロームとラピスが声が聞こえてきた方を見ると、

アクアがラリマーに手を伸ばしていた…

「ま…ま…」

「そうよ〜私が『ママ』よ〜」

ラリマーは嬉しそうにアクアを抱きしめた。

シャーロームは微笑んで、ラピスは不思議そうにラリマーを眺めていた…



シャーロームさん(夜鳥さん)お借りしました。


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