ここは夕雲の階段、そこには氷の町にいるはずのラズリたちの姿があった。

「なぁ姉貴、ここで合ってんのか?」

「ここで間違いないはずだけど…」

どうやら待ち合わせをしているようで辺りをキョロキョロと見回していた…

「あ、いたいた。ザビエラ~アイス~こっちこっち」

ラズリが手を大きく振ってザビエラを呼ぶと、ザビエラとアイスはこちらに気付いて駆け寄ってきた。

「お~もうきとったんか、はやかったのぅ」

「だって、また会いたくて仕方なかったからね」

「それにしても、よくあのモリオンさんから旅に出る事を認めてもらえたな」

「え? 認めてもらってないよ、こっそり出てきた」

「ちょっと待て、あんたはまだいいけどアクアとマリンまで連れてきて大丈夫なのか?」

「なんだよおれたちがいると悪いのか?」

「アクア、落ち着いて…」

「平気だってだってこの私がついてるし、隊商には頼りになる護衛がいっぱいいるし」

「そうじゃ、アイスは心配性じゃのぅ」

あっけカランとしている二人にアイスは自分がおかしいのか? と不安になった…

「でも、あのモリオンさんなら連れ戻しに追ってきそうだけど…」

「それは大丈夫、氷の町に行くって書き置きを残してきたから」

「それはまずいだろ!」

「平気だって、ばれる頃には遠くに逃げちゃってるから」

「逃げちゃってるって…おい後ろ…」

けらけら笑うラズリだったが、アイスは何かに気付いたのか急に焦りだした。

「後ろがどうかした…」

そしてラズリが振り向く前にその肩が掴まれた…

「ラズリ…今の話本当?」

「兄様!? なんでここに…」

「私が…連れて…きた」

ラズリの肩を掴んだのはラピスでその隣にはヤシュムがいた。

「しまった叔母さんの口止め忘れてた!」

「一番大事な事だって言ってただろ!?」

「おおお兄ちゃん、違うのこれには訳があって…」

「そ、そうなんだよ、これには深い理由が…」

「おお、これがしゅらばという奴か」

「ザビエラちょっと黙ってて」

ラズリとアクアは冷や汗をかきながら言い訳をしようとしている…

「兄様、お願いだから連れ戻さないで。わたしは色んな所に行ってみたいし、色んな物を見てみたいの、それから色んな歌も聴いてみたいし、それから…」

マリンはラズリとラピスの間に割って入って、ラピスに懇願した…

ラピスはそんなマリンを見てため息をついた。

「そこまで言われたら仕方ないね…」

「じゃあ…」

「うん、連れ戻さないよ、父さんはぼくと叔母さんがついていくからって説得するから」

「え、お兄ちゃんがついて来んの?」

「当たり前でしょ、ぼくがいなきゃ何をやらかすかわからないからね」

「痛い痛い、耳引っ張らないで!」

「ヤシュムもついてくるんか?」

「うん…また…一緒…だね…」

「また隊商に賑やかなのが増えるな…」

アイスはそう呟いて耳を引っ張ったまま説教をするラピスを止めにいった。



こうして新たな出発をしたラズリたちの旅はまだまだ続く事になる…



あとがき

これで一応完結です。

企画が終わってからも長い間お付き合いありがとうございました。

ザビエラさんとアイスさん(藤乃蓮華さん)お借りしました。


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