ここはラクダレースが行われる競技場、観客席は多くの賭博を行う客が駱駝券を握りしめて次のレースが始まるのを待っていた…
そして、その中に明らかに場違いな雰囲気を漂わせながらレースを見ているヤシュムとリディアンとザビエラの姿があった…その手には大量の駱駝券がある事から賭博に来たようだが…
「ラクダレースって面白いんやねー、ヤシュムちゃんがいたからついてきたけど来てよかったわー」
「…そう…よかったね…」
リディアンはレースを楽しんでいるようだが賭博はしていないようだ…
「でも、ヤシュムちゃんさっきからずっとどれが勝つか当てとるけどなんで当てれるん?」
「…星が…教えて…くれるの…」
「ふーん、星って凄いんやな」
「わしもチャイ占いで結構当てとるよ」
ザビエラは自信満々に空になったコップを見せているが当たってるかどうか分かるはずもなかった…
「よー分からんけど当っとるんやな、ザビエラちゃんも凄いんやねー」
「…ザビエラ…凄い子…」
リディアンとヤシュムは何故かザビエラの頭を撫で始めた、すると突然ザビエラがぐらぐらと揺れ出した。
「なんかおもろいなー、もっと撫でたろか」
「やめてー」
リディアンがザビエラで遊んでいると後ろからがらの悪そうな男が話しかけて来た。
「アンタら、隊商に参加してる奴だろ?」
「そやけど、お兄さんも隊商のお人かいな?」
「…誰?」
「おれはジイドだ」
「わしはザビエラじゃ」
「オレはリディアンゆーもんやで、でこっちのお姉さんはヤシュムちゃん」
「…よろしく…」
「ああ、よろしくな。そんなことよりここに来てるってことはアンタらも賭博に来たんだろ?」
ジイドはにやりと笑ってリディアンを見た…
「オレは見とるだけや、でもヤシュムちゃんはやっとるで」
「わしは、占っとるがとばくはやっとらんよ」
「へー、アンタがね…でどの駱駝に賭けてるんだ?」
「いわれたらオレも気になるわー、何に賭けたん?」
「…あの子…と…」
ヤシュムが指差したのは隅っこにいた周りと比べて一回り小さいラクダだった…
「なんかちっこいなー、あんなんでいいん?」
「…星が…言ってたから…」
「わしの占いでもあのラクダが勝つとでたぞ」
「もしかしてアンタが持ってるたくさんの駱駝券は全部あれに賭けたのか?」
「…うん…」
そんな事を言っているうちにラクダレースが始まった。
そして、結果はヤシュムが賭けたラクダが勝った。
「ヤシュムちゃんがまた当てた、ヤシュムちゃん凄いなー」
「わしも抱きつくー」
「…離して…」
自分が当てたわけでもないのになぜか大喜びのリディアンとザビエラに抱きつかれてヤシュムはなぜか焦っていた、そんなリディアンとは対照的にジイドはがっくり落ち込んでいた…
しかし、この結果を受けた周りの観客もまたリディアン達とは対照的にがっくりと落ち込んでいた…
「外れた…」
ジイドもまたその中の一人だった…
「残念やったなー」
リディアンはジイドを慰めようとしているが、元気すぎて明らかに逆効果だった…
するとそこにどこからか誰かの叫び声が聞こえて来た…
「ジイドー!! 金返せ!!!」
「げっ…やばい…」
ジイドはその声を聞いた途端逃げだしてしまった…そして大きな体の男性が追いかけて行った…
「なんか大変そうやなー、オレらも行こうか」
「うん…」
「わしももう帰るー」
ジイドの逃げた方で何か騒ぎになっていたが、ヤシュムとリディアンとザビエラは気にする様子もなく立ち去った…
あとがき
ヤシュムがラクダレースに挑戦する話です。この後頑張って仕事する話に続きます。
リディアンさん(猫冶さん)、ザビエラさん、(藤乃蓮花さん)ジイドさんと名前出せなかったけどアル・アーディクさん(戸成さん)お借りしました。
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