万国の門から黄金の丘へ移動中、斥候たちは隊商に先行して安全の確認をしていた…
「ラーシルって変わった服着てるな」
「これか? オイラ鳥さんと友達だからおそろいにしたんだ!」
「へーなんかすごいな」
「二人とも…あまり無駄話してないで少しは辺りに気を配ってくれ…」
「えー別にいだろ」
「良くない! 危険はどこに潜んでいるか分からないんだぞ!」
アイスとラーシルは楽しそうにお喋りしながら進んでいたがモリオンに注意され大人しくなった…
モリオンがため息をついてふと横を見ると…
「ねえねえ、キミってなんでそんな冠り物つけてるのかな?」
「え、ワタシは…」
エニシニエがアティクにちょっかいをかけていた…
「ほら、つけてない方が可愛いじゃないか」
「や、やめてくれ…」
「こら! やめなさい! アティクが困ってるだろう」
「うるさいなぁ…モリオンだっけ? 頭が固すぎるんじゃない?」
「な…今はそんなことは関係ないだろ」
モリオンがエニシニエを叱り始め、アティクが二人の間でオロオロしていると、
アティクは後ろから誰かに肩をたたかれた。
「おめ…アナタはたしか…」
「アージュだ…それよりそろそろ本隊の方に報告をしなければいけないから…」
「それなら…ワタシが行ってくる」
アティクはそう言ってカウィに乗ってさっさと行ってしまった…
「……俺が行こう…と言いたかったんだが…」
あとに残されたアージュは、しかたなくモリオンとエニシニエを止めようと
ふたりの間に入ろうとして頑張っていると…
そこに、アイスが慌てた様子で走ってきた。
「大変だ! ラーシルがあっちの方に素っ飛んでった!」
「なんだと!? …分かった私が連れ戻して来るからここで待っていてくれ」
モリオンはラーシルを追ってアイスの指差した方に飛んでいった…

そしてモリオンがラーシルを捕まえて戻って来ると…
「あ、モリオン遅かったな」
「あら、あなた色々大変そうね」
何故かラリマーがいて皆でお菓子とお茶を楽しんでいた…
「何故お前がここにいる!!」
「差し入れにお菓子とお茶を持ってきたの♪」
「お菓子あるのか!」
「ええ、ラーシルちゃんの分もちゃんとあるわよ」
「…私がいない間に何が起きた?」
ラリマーがラーシルにお菓子を与えている間に、
モリオンは近くにいたアージュに事情を聞いてみた。
「それが…突然現れて、モリオンに会いに来たと言って…
今はいないと言ったら…じゃあ待つと言われて…
 俺にもよく分からないうちに皆でお菓子を食べる事になっていた…」
アージュから話を聞いたモリオンは少し頭を抱えて、ラリマーに向き直った…
「…何故来た…」
「だってモリオンちゃんに会えなくて寂しかったから」
「そう言う事じゃない! こんな所まで一人で来て…何か起きたらどうなる!?
 お前にもしもの事があった時、どれだけ迷惑か少しは考えろ!」
モリオンに怒鳴られたラリマーは、少しの間ぽかんとしていたがすぐにべそをかき始めた…
「…私はただ…あなたに…会いたかっただけ…なのに…そこまで…言わなくても…いいじゃない…」
ラリマーが呟くたびにコップに入ったお茶が風もないのに震えた…
「いや…私も言い過ぎた…だ、だから落ち着け…」
「あなたのバカーー!!」
ラリマーが叫ぶのと同時にお茶が宙に浮きオリオンに襲いかかった。
そして、辺りにモリオンの叫び声が響き渡った…

数分後アティクが報告から戻って来るとそこには…
何故か興奮しているラーシル、
何故か怯えているアイス、
何故かメソメソ泣いているラリマー、
ちゃっかりラリマーを慰めているエニシニエ、
何故かボロボロになって気絶しているモリオン、
そしてモリオンの治療をしているアージュがいた…
「…わーがいない間に…何があったんだ…」
アティクは目の前の訳の分からない状況に呆然としていた…




あとがき
斥候の方々の仕事の様子です、本当は皆さんもっとしっかりしているはずです…
アイスさん(藤乃蓮花さん)、ラーシルさん(せんさん)、エニシニエさん(整野さん)、
アティクさん(立花さん)、アージュさん(たまださん)お借りしました。


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