夕雲の階段に着いて数日がたったある日、
ラリマーがちょっとした気まぐれでマリーヘの所に遊びに来ると、
そこにはマリーヘと一人の男性がいた…
「あら、ラリマーちょうどよかったわ。この人がラピスとラズリに会わせろってうるさい…」
「ラリマーだと?」
「…あ、あ…」
ラリマーはその男性をみて声を震えさせている…
「ラリマー? どうしたの? ちょっとあなた一体何者…」
「いや決して怪しい者では…うわ!」
「あなたー!」
ラリマーは思いっきりその男性に抱きついた。突然の出来事にマリーヘは呆然としている…
「え…あなたって事はこの人は…」
「そうよ、私の夫でラピスちゃんとラズリちゃんのお父さんのモリオンちゃんよ」
「ええ!!??」
驚くマリーヘを無視してラリマーはモリオンに向き直った。
「今までどこで何をしていたの!? ラピスちゃんとラズリちゃんの話じゃ行方不明って事になってるし…」
「いや色々と事情が…」
「事情って何かしら? 私は確かにあなたに子供たちの事は任せたはずよね?」
ラリマーの雰囲気が次第に変わってきた…
「それが出稼ぎで幻都の骨から黒蛇の壷へ向かう商人の護衛していた時に盗賊に襲われてだな…」
「盗賊!? まさか、その盗賊に捕まったんじゃ…」
「いや、盗賊は追い払えたんだが、その後足を滑らせて地下水路に落ちてしまってそのまま意識を失ったらしく、
その後気が付いて幻都の骨にある家に戻ってみたら既に家は売り払われて、ラピスとラズリは隊商に着いて行った後だった…
そしてこの街でようやく追いつくことができた…」
「……ごめんなさい、そんな大変な思いをしていたなんて知らなくて…」
「いやいい、それより何故お前はここにいる? お前は巫女の役目があってもうそばにいられないとか言ってなかったか?」
「えーと、それがね、神官長が変わった途端に『さぼる巫女は要らない』って言われて追い出されちゃったの」
「…お前は相変わらずだな…いや酷くなっているかもしれない…」
モリオンは頭を抱えてため息をついた…
「そうかしら? そんな事よりもあなたはこの後どうするの?」
「…そうだな、連れ帰るにも帰る家が無いし、お前たちもそれは望まないだろうし…この隊商に入れてもらう事にするか」
「あなたも隊商に入るのね! きっとラピスちゃんとラズリちゃんも喜ぶわ」
「なっ…きゅうに…だっ…くな…」
ラリマーは嬉しさのあまりにモリオンに抱きついた、モリオンは顔を赤くして何か言っているようだが言葉になっていない…
「二人とも盛り上がってる所悪いんだけど…」
「あら? マリーヘちゃんどうしたの?」
「モリオン…といったかしら? 隊商に入りたいなら契約書を書いてくれない?」
「あ…ああ、分かった…」
モリオンは契約書を書きながら今後の事を考えると少し頭が痛くなった来ていた…
(これからどうなるのだろうか…)
あとがき
モリオンの入隊の話です。
この場合、モリオンとラリマー悪いのはどちらになるんでしょうか…
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