あの橋のたもとで。 4(途中経過)


 中に入ってみると、勝手に灯りが付いた。
 見まわしてみると、一見アーリーアメリカン風の家具で整えられていた。 まるで新婚家庭のお部屋じゃないか。

 とうとう、来ちゃった。
 坂東さんとらぶほ。

 ……………………。

 ここでうっとりしてちゃだめだ。 この時点で鼻血吹いて倒れたら、末代までの恥だ。
 おれはやるぜおれはやるぜ!! がんばるぞっ!!

「あは……はは。 ここ、キレイですね。 新しいのかなっ」
 裏返った声でおれがいうと、「とりあえず」と、先輩はさっさと風呂場に行き、シャワーで浴槽を流してお湯を張り始めた。
 どお〜〜〜っという音がしてくる。 おれはもうびびりまくって、そのくせナニはもうびんびんで……。

「ええと、何飲む? サイダー、ビール、お茶、缶コーヒー、何でもあるよ。お腹すいてたら何か頼もうか? うどんくらいできるだろ」
「な、慣れてるみたいですね」
「うん」

 ひええっ。 坂東さん、せめて「ビジネスホテルでも一緒だし」とか言ってほしいです。
「おれは風呂のあとにしようかな。 平良は? ジャワティーもあるよ」
「あ、それ好きです」

 ぽん、と投げてくれたそれを、おれは受け取ってプルタブをあけた。
 それを飲んでると、先輩はゲーム機の電源を入れている。

「ええと、格ゲーと落ちものと、どっちがいい?」
 どっちにしてもおれは下手だけど、この場で格ゲーはちょっと困る。 もしかしたらS男くんかもしれない、坂東さんを刺激したくない。落ちものがいい、というと、例のぷよぷよが始まった。

 対戦モードではじめてすぐ、坂東さんに大量の「おじゃまぷよ」を降らされてしまった。
「あ〜あ……坂東さん、ひどいっす〜。 ちょっと手加減してくれても」
「平良がへたすぎ」
「む、下手って言いましたね。 そんなこという人は、こうですよっ」

 おれは冗談めかして、先輩の細い肩をがしっとつかみ、浴衣の襟をぱっと広げた。
 剥き出しになった、白い肩、喉もとに透ける赤い血管……まぶしすぎる。 目の前に星が散って次の行動ができない。

「ふふ、やるじゃないか」
 坂東さんは笑って、おれの肩に手を回してきた。
「でもお風呂入ったみたいだから、先に入っておいで」
「せ、先輩も一緒に入りましょう!」

 坂東さんは色っぽく微笑んで、「恥ずかしいからイ、ヤ」と言った。

 恥ずかしいって。 そんながらじゃないでしょう!!
 しかたなくおれは、先に風呂に入り、隅々まで!磨き倒した。 汗臭い頭も洗ったし、これで超OKってか?
 そう、今日はおれが、タチ。 やってやれないことはない。
 坂東さんの了解はこれから取るとして。
 おっしゃ、がんばるぞ!!

 ふと、シャワーの横に、変な形のシャワーがもうひとつあった。 手にとって見ると、使い捨て女性用ビデ、とあった……び、びで。
 そ、そうか、女の人はこんなんで中を洗うのか。 この袋の中のノズルをセットして。
 大変だな。
 でも使い捨てだから、清潔なんだ。 細いからいれるのも痛くないんだろう。

 …………………………。

 ダメ! 今日はおれはタチ! こんなものは不要だ!

 でも。
 万が一、ということもあるから。 念のため、もしも、に備えて、ちょっとだけ使ってみようかな〜、なんて。

 おれって、チキンな野郎だと思う……。


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