☆坊ちゃんが16歳か、そこいらへんのころだと思ってください。
グレッグミンスターの冬   01/01/15

 ワタクシの雇い主は、時折荒々しいけものになる。

 それはもちろん毎日ではなくて、あちこち他にも行くところがあるから、ひとつきに、延べにすると……ええと、二回くらいだろう。
 これがベストの間隔だと、頭ではわかってる。
 テオ様はそれはそれはお強くて、こちらが腰を抜かすほど攻められるから、次の日がとても大変だ。
 これ以上多くなるとカラダがもたない。
 だって私は「お二号さん」とか「愛人」とかいうわけではない、私にだって他にすることがたくさんあるんだから。

 疲れすぎてふらふらになって、坊ちゃんのお世話をすること、そして家事がおろそかになったらいやだ。
 ご飯焚きのことだって、手抜きなんかすると、誰も気づかなくっても自分が知ってる。
 私も美味しいもの食べたいし。 だから毎日、とか言うと、困ってしまうだろう。

 眼の下に隈なんか作って、「えっちのし過ぎでこうなりました。」って宣伝して歩いてるみたいな顔になるのも恥ずかしい。
 だから体力の無い私には、月に二回ていどで充分。
 頭ではわかってるけど、ワタクシのカラダは納得していない。
 
 そうして、あの方の強い腕と、熱い肌が恋しくてたまらなくなるころ……もう、どうしよ、やだ……ってほど「タマって」来てしまうころに、意地悪なあの方からお誘いがくる。


「私、疲れてるんです。 近所のあの方のところに行けば?」なんて憎まれ口を利けないほどタマってしまうころを、見計らったみたいにお誘いが来る。

 もうカラダの中に、溶岩でも抱えてるんじゃないか、水風呂でも浴びようかと思うほど、タマってタマって、もう「どうにでもして。 何でも言うこと聞きますからっ」というくらいタマってしまったころ、あの方の「お声」がかかる。

 飼い犬みたいに言うこと聞くしかないじゃないか。

 腹が立つころもある。
 外地にいるわけでもないときに、どうしてここまでほったらかしにするんだろう。
 もう、腹が立つ。

 私だってたまに酒場へ行けば、ちらちらと目線をくれる人もいるんだから。
 どうしてもさびしくて、誘った男に付いていってしまったこともあった。 ちょっとテオ様にタイプが似ていて、背が高くてたくましい、ずっと年上の人だった。
 でもそのときは、相手の男がシャワーを浴びているあいだに窓から逃げ出した。
 どうしてって、知らない男は恐かったし、やっぱりあの方の顔が目に浮かんだから。
 
 あの方が私をアイシテルかどうかなんていったら、それはもちろん、可愛くは思ってくれてるだろうけど、多分アイシテはいない。
 でも、私はあの方をアイシテル。 これだけは確実だ。

 好きでもない男のベッドに入るのは、どうしてもイヤだった。 そんなことをすると、あの方の顔を見ることができなくなってしまう。
 私がテオ様に抱かれたいのは、アイシテルからなんだ。
 私が変なことをすると、この思いを自分で汚すことになってしまう。

 



「……グレミオ……」
 優しいテオ様の声が聞こえる。
 おかしいなと思う。 今日はお城にお泊まりのはずなのに。
「グレミオ、可愛いやつ」

 眠くて目を開けられない私の頬を、テオ様の指が優しく撫でる。 パジャマの胸元に手が掛けられて、ひとつずつボタンが外されていく。

「テオさ……ま? どうしてここに……帰っていらしたんですか」
「お前に会いたくて、お城を抜けてきたんだよ、ハニー」

 こんなことを絶対言わないテオ様なのに、今日はどうしたのかな。

「グレミオが一番愛しい、お前を誰より愛してる、おまえは俺の明けの明星だ」
 なんか変だけど、すごく照れくさいけど、でもうれしい。
 
「さあ、えっちしよう、マイスイートハート」
 パジャマのズボンの上から、やんわりと触られると私はもう、それだけで……ああ、テオ様。
 早く脱がして、してほしくって思わず腰を浮かせてしまう。
 いつもよりデリケートな手つきで、テオ様が私の下着を脱がせていく。 それから優しく後ろから抱きしめられて、膝の上に乗せられる。

 テオ様の熱い肉の椅子。 夢ではないだろうか。

 手は、触ってるのかいないのか、わからないくらい優しい手つきで、私の前を撫でまわしつづけている。
 そして後ろに優しく当たるのは、テオさまのたくましい両脚と、さらにたくましく立ち上がった……私の知ってる、鋭くカリの張った……ああ。 ステキ。

 焦らすように私のお尻にこすりつけて、まるで入り口を(出口だけど)どこだ、どこだと探してるようなしぐさだ。
 もう、わかってるくせに。 テオ様ったら意地悪なんだから。

「して……」
「何を?」
「して……ください……お願い……あなたので……」
「おれの何だい?」
「あなたの……で……い、意地悪……なんだからっ」
 もう、せつなくてたまらなくって、身をよじった。
 熱いテオ様の唇が、私のうなじを這いまわり、体温をさらに高めていく。

 
「お前がほしいのは、ちょっと古いほうのナニか、それとも新品のナニか?」


 驚いて見上げると、目の前には、つまり大股を広げた私の脚のあいだに、ぎゃああ!
 肉棒を露出した坊ちゃんが座りこんでいる!!!
 いつのまにかこんなに立派なナニに!!
 じゃない、どうしてこんなところに、こんな姿で!

「ムスコよ、ちょっと待て。 おれが終わるまで待ってろ」
「父上がちんたらやってるから、待ちきれないんだ。 早くしろ。もうこの棍棒がうずうずして気が狂いそうだっ」
「親に向かって、早くしろとは何事だ。 そもそもこれはおれの……とにかく待て」

 ああ! テオ様の肉棒がいきなり私のカラダの奥まで、ずぶっと!
 何にも塗ってないのに痛くない、とっても、とっても……イイ……。
 このまま私の中を広げてかき混ぜてほしい。

 でも坊っちゃんの前でこんな。 教育上最悪だ。
 だめ、だめだってば! 感じたらだめ、私!

「んんんっ、やだっ……」
 でも口を付いて出る声を、自分でどうしようもない。

 目を閉じた私の耳に、坊ちゃんがささやく。
「グレミオはこんな顔するのか。 こんなえっちな顔を……」
「坊ちゃん……見たらイヤですっ。 お願いです、見ないでっ」
「くっ、もう待ちきれない……お願いだ、グレミオ」

 座ったまま父上に犯されている私の手を、自分の大切なモノに導いていく。
「頼む、触ってくれ……お前の手で。 このままじゃ気が狂う、グレミオ……」
 懇願するような坊ちゃんの声だ。
 力の入らない私の手の平に、自分の、何の汚れもないモノをこすりつけている。

 私の感じやすい手のひらから、全身に電気が走った。
 お父上のそれに、勝るとも劣らない、しっかりした固さと太さだった。

 信じられないほど素晴らしい触りごこちだった。 ああ神様。

 この麗しい肉の棒は、いったいどんなお味がするのでしょう……。
 
 
「グレミオ……お前にこうされたくて、おれは、ずっと……」
 
 私は、近づいてくる坊ちゃんのモノに向かって、ゆっくりと口を広げていった。
 滑らかな舌触りの、天国のように美味な、心を尽くして育て上げた坊ちゃんの……。



「ああ、坊ちゃん!!」

 私の声だ。 叫んでしまったのだ。
 目を開けると、暗い天井が見えた。 もがいて、やっと自分が一人のベッドに寝ていることを知った。

 しばらく動悸が収まらない。
 なんて恐ろしい、罪深い夢だろう。 私は顔を両手で覆った。 相手もあろうに、坊ちゃん相手の淫らな夢を見るなんて、どうかしている。
 なんて罪深い男だろう、私は。
 大切な坊ちゃんを、夢の中とはいえ汚してしまうなんて。

 気持ちは打ち砕かれていたけれど、身体はこれ以上無いほど解放されて、まだ雲の上をさまよっているようだった。

 しばらくして私は気を取りなおし、のろのろとベッドから降りて、着替えをはじめた。
 パンツも濡らしてしまったし(何で濡れたかは言いたくない)パジャマの上下は汗でびしょびしょだったからだ。
 とりあえず着替えをして、水でも飲もうと台所へ向かった。

 廊下には、男のいびきが響いていた。 パーンのいびきだ。
 今の私の叫び声を、誰かが聞いていたとしたら、どうしよう。
 
 台所でぼんやりしていると、ふと気配があった。
「グレミオ?」
 髪もくしゃくしゃの、坊ちゃんの顔が見える。
「…………ぼ、坊ちゃん……」
 坊ちゃんは、眠そうに言った。
「どうした? グレミオ」

 私はショックで口も聞けなかった。 今の声を聞かれていたんだ。
 屋敷の端まで届くような声で叫んだのだろうか。


「………………」
「どうした。 怖い夢でも見たか?」
「だ、だ、大丈夫です」
「ん。 そか。ならいいんだ……腹減った……」
 
 種火を少し起こして、牛乳を軽く温めた。
 坊ちゃんにそれを渡すと、ぐっとそれを飲み干し、空のマグを私に返しながらこうおっしゃった。
「父上いないけど、パーンもいるし、おれだっているんだ。 ワルモノなんかやっつけてやるから、心配するな」
 
 最近押しこみが多くて、非常に物騒になっている。 私がそれで、泥棒の夢でも見たと勘違いなさったのだろう。

 坊ちゃんは「寝る」と言って出ていってしまった。


 翌日からしばらくのあいだ、私はまともに坊ちゃんの顔を見ることができなかった。

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