クレ団受難
オヤジ好きの腐女子(およびリアルホモのお兄さんたち)に人気のあるクレイグ団長ですが、緑のお髭を何故生やしているのかというと、美貌と優男を隠すための小道具、いや、いわば貞操帯のようなもんだと思ってください。
あのヒゲは二十歳そこそこで、ホモ団員から身を守るために生やし始めたんでございます。
あの顔なのでクレ団ってば、若い頃は先輩に狙われたり、前の団長の稚児にされたりしてて、それが実はトラウマになってて「ああっ放してください、やめて、団長。痛い」とか色っぽい声で泣きながら寝言を言ってるのをラハルたんに聞かれて、ラハル、むらむら。
クレ団が退団するとき(宝塚か?)長い髪を切って、あのおひげも落として、いかつい鎧も脱いで、
ついでに銀縁眼鏡をかけてナイス美中年。故郷に帰って晴耕雨読、悠々自適の生活に入ったとか。
しかしこれであきらめるラハルではありません。
クレ団の隠居先についに押しかけていって、一晩とめてもらって、お風呂上りの色っぽいクレ団にラハル、ついに暴走。
「く、クレ団。おれ昔からクレ団を。。」
「ラハル、手を放しなさい。きみは血迷っている。というかきみにはリューグがいるだろう、リューグが!」
「静かに、クレ団。眼鏡、取りますよ……」
クレ団ってば、竜馬の卵事件で分かるように、実は気が優しくて優柔不断です。
かっての教え子に襲われても、力任せに追い払ったりできません。
というか人格者だけど実はあまり頭も良くないんです。
ここはなんとか穏やかに断って、ラハっちゃんを傷つけないようにとか、あんまり騒いだら隣の人に聞こえてしまうし、とか、
話せばわかるにちがいない、とか、明日は町民運動会だったな、とか思ってるうちに ついうっかり寝室に逃げ込んだクレ団(あほです)
ラハル、会心の笑みを漏らし、後手に鍵をかけてしまいます。
「もう逃げ場はありませんよ」
しかも手から微弱な電気を発しています。10ボルトくらいの電気技(?)で、クレ団を失神させる作戦のようです。ラハルってピカチュ○?
クレ団絶体絶命ですが、ここで切札を出しました。
「やめるんだ、ラハル。竜馬騎士団の決まりを忘れたのか。騎士団員は、男色行為をしてはならない!!」
クレ団てば、若い頃ホモで苦労したので、団長になってすぐ禁ホモ令を出しておりました。
ラハルたん、唇の端をちょっと持ち上げて笑いました。
「その規則は廃止しましたよ」
あまりのことに、しばらくクレイグの脳内フリーズ。
「くっくっく。もう後はありませんよ」
あっというまに壁際に追い詰めれる哀れ中年男でございます。
そして目の前に、教え子ラハルの氷の微笑が。
手からバチバチバチ、と出る雷が、端正な顔を青白く照らし出し、美しいを通り越して鬼気迫るものがあります。
10ボルトどころか一撃でクロ焦げにしそうなほどの気合の入り方です。
クレ団はもはやこれまで、と観念しました。サシで戦っても勝てそうにないし、そんなことをしたら家が壊れてしまいます。こうなったら最終奥儀を出すしかありません。
「ラハル、君の目に私がどう映るのかわからないけど、私はただの毛深いおっさんで、足なんかこんなんだよ」
クレ団はガウンの裾をめくり、いかつい毛脛をあらわにしました。ラハルはひるんだように、手のひらから放ちかけていた電撃を引っ込めました。
「足だけじゃない、ほら、胸毛だってボーボーだし」
ラハルは口元を手で覆っていましたが、「クレ団ってまさか、ヘソまで毛が生えていたりするんですか?」と苦しげにうめきました。
うまいこと、幻滅したようです。クレ団はもう一押しと、「もちろん。ほら」
毛の渦巻くおへそを見せてやりました。
ラハっちゃん、「うっ!」と叫びました。かなりのダメージを食らったようです。両手で顔を覆ってしまいました。
「おじさんになるとね、耳の中まで毛が生えるんだよ。幻滅だろ?」
「ク レ 団 ……」
「わかったらもう寝なさい。今日はもう遅い……」
クレ団が優しくそういうと、ラハっちゃんはゆるゆると顔を覆っていた手を開きました。なんと端正な顔は血まみれです。血は、薄い鼻腔からまだたらたらと溢れています。
「ど、どうした、ラハル」
「何だかんだ言って、クレ団、結局おれを誘ってるんですね」
「うう!?」
「おれはいま、発情期の竜馬並みに興奮しています」
ラハルはイヤラシイ微笑を浮かべながら、一枚、また一枚と竜馬騎士団の装束を脱いできます。
「あんた最高ですよ、クレ団。今夜は寝かせません。いや、今夜だけといわず3日3晩、前から後からバッコンバ(規制) 足腰立たないくらいかわいがってあげますから、心配しないで俺に任せて、クレ団」
「こ、こ、こないでくれぇぇ!」
「来ないでくれ、と言われてもね。こっちはもうスイッチ・オンしてるから止まらないんだ」
ラハルはいかにも悪役風なセリフを口にしながら、なぜか共同募金の赤い羽根を取り出し、クレ団の耳をくすぐりました。
「ひっ」
ラハルは邪悪な微笑を浮かべつつ、針のほうでクレ団の頑丈な首筋をなぞりました。
「あはうっ」
不思議なぞくぞく感がクレ団を襲いました。いきなり腰砕けです。
「あれ、いきなりビンゴ?」
ラハっちゃんは満足げに頷き、「こっちも弱いかな」と言いながら、クレ団のごっつい喉仏のあたりを、赤い羽根のさきっちょでくすぐりました。
クレ団の弱点は首筋なのです。昔開発されちった名残ってやつでした。
「ラ、ラハ……あっ、やめてくれ……」
「あ、その声、エロい。もっと言ってクレ団」
もとよりラハっちゃんは止めるはずがありません。
右手に赤い羽根で耳から首筋を攻め、左手でクレ団の乳首をレロレロしつつ、
「クレ団。乳首、立ってますよ。クレ団の乳輪ってわいせつだよね。ああもう、ぐっっちょんぐっちょんにしたい……」
えらく楽しそうです。
「何言ってる、おまえの言い方のほうがわいせつ……ラハルもうやめっ、そこはやばいんだ、あ、だめ、あっ」
ところが、ラハっちゃんも余裕かましてるようで内心バクバクなのでしょうか。
竜馬の種付けでもあるまいに、いきなりクレ団の脚を開いて挑みかかったものですから、クレ団も、はっと我に返りました。古いトラウマがよみがえります。
痛いのはイヤなのです。組み敷かれたクレ団が、突然ラハっちゃんを押し返そうとします。
「ちょっとまて、ラハル……台所に」
「だぁめ、クレ団。逃げるつもりでしょ」
(なんて頭悪そうな会話だ)
「違う、違うんだ。ヨーグルトを冷蔵庫においておかないと、酸っぱくなりすぎて」
ラハルは肩を押し付けて笑います。
「そんなことをいって逃げようとしてもダメ」
「嘘じゃない、今すぐヨーグルトを冷蔵庫に入れないと、明日になったら発酵しすぎてしまうんだ」
クレ団は半泣きです。
半立ちなのに、半泣きとはこれいかに。
ラハルは「オレが見てきます」とつぶやくと、台所に消えました。
まもなく戻ってきた新団長の手には、ヨーグルトの入れ物がありました。それを傾けて手に受けると、何かを思いついたようです。
生温かい出来立てのヨーグルトを手に受けて、
「これで痛くないようにしてあげますよ」といいながら、白いドロドロした液体をクレ団のアレに
ピ〜〜〜〜〜…。。
しばし荒々しいときが過ぎて。
哀れ、クレ団の下半身は何かよくわかんない白濁液でえらいことになっていました。上から下からヨーグルトと白濁液の混じったのを食わされたので、しばらくヨーグルトは食えそうにありません。
(町民運動会だ。しんどくても行かねばならんな。弁当を作ってきてもらうんだから……)
クレ団はぼんやりと、つまらないことで気を病んでおりました。
ですが身じろぎをしようとするたびに、恥かしいところがズキズキと痛んで、情けない思いをするのでした。
一方、クレ団の毛深い(ピー)を自慢の紋章砲でもってむやみやたらと広げまくったラハル、
一応のカタルシスを得たのでしょうか。
少し余裕が出てきて、珍しそうに辺りを見回し、そして壁に目を留めました。
「あれは?」
何を思ったか、敏捷に寝台から飛び降りました。壁にはいくつもの肖像画がかかっていましたが、その中のひとつをそっと手に取りました。
女性の肖像画でしたが、少々古びていました。
「これ、昔の彼女?」
クレ団は苦笑いをしました。
「見覚えがないか? ミアキスの母親だ」
ラハっちゃんは青い目を細めて笑いました。
「なんでクレ団がこんなの持ってるの」
「彼女は幼馴染だった。そしてミアキスの父親は、私の親友だった」
「それで彼女を争って、クレ団が負けたというわけですか」
ラハルはまだ微笑みながら、口ぶりは大変とげとげしいものでした。
「とんでもない、心から結婚を祝福したさ」
「それにしても、なんで肖像画なんて持ってるの?」
ラハっちゃんは妙にタメ口になっています。もう、一回ヤったら自分のもの、って感じがありありです。
「結婚祝いの品を送ったら、これをくれたのだ。お祝い返しだ」
「変だ。そんなもの普通はくれないよ。くれるのなら、二人一緒の肖像画ですよね」
「いろんな場合があるんだ」
ラハルは無表情な顔をして、肖像画を裏返しました。
「愛するクレイグへ、って書いてますよ」
「そのメッセージは社交辞令だから、言葉どおりに取るものじゃない」
「強情な。あくまでも、ただの友達だったとおっしゃるんですね」
ラハルは冷たい笑顔を浮かべました。
「じゃあ、こんなことをされても平気ですね?」
そういうと、クレイグの目の前、枕の上に肖像画を立てました。
「それを眺めながらガンガン犯されるってのはどうですか、クレ団」
「や、やめてくれ。そういう変態っぽいことはおれは……」
あわてたクレ団が逃げ出そうとしたら、後手に縛られてしまいました。
「縛られた姿が似合いますね」
嫉妬に狂ったラハルが、思わず鬼畜に走っている頃。
ロードレイクの純情青年ゲッシュは、月夜を眺めて、ため息をついていました。
「ヤール兄貴、どうしてんだろ。元気にしてっかな?」
END
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