テオの誕生日          天にましますわれらが父よ。願わくはわが罪を許したまえ。
 私は、救いがたいほどに淫乱です。

「そう、ぼおっとしていたらいい」
 奉公人が薄く目を開けると、テオは、付き人のポケットから金属容器を取り出し、ぱちんとふたを開け、白く凝固した油を指にとった。
 テオの温かい指が、付き人のお尻を滑り、冷たい薬をゆっくりと塗り広げはじめた。
「何をしているんですか? そこは何も怪我などしていません、テオ様」
 付き人は注意しようと思ったが、ことばは出なかった。
 口が痺れたようになり、つばがものすごい勢いであふれてくる。
 それを飲みこむこともできないほど、それは快いものだった。

「ちょっと痛いだろうけど、裂けたりしないから」 とテオは言った。
 テオの指が、お尻の表面を強く押し付けては離れる。
 得体も知れぬ快感が腰の辺りから脚へ、下腹部へ、それから額へと広がった。
 ちりちりと痛いのが気にならなくなるほど心地よく、痛いのか気持ちが良いのか、もうわけがわからなくなるほどだった。

 しばらくしてやっと、便の出るところに指を入れられているのだと気がついた。
 テオはゆっくり指を抜き、薬を塗りたした。
 テオの指が動くたびに、顔が火照り、鼓動が速くなって体が勝手に暴れはじめる。

 もうどうにでもしてくれ、私を引き裂いてくれ、と体が叫び始める。 

 岩のように頑強なテオの体がのしかかってきて、付き人を息も止まるほど抱きしめた。
 それから付き人の体をつつきまわし、ひどい苦労の末に少しだけ、中に入ってきた。
 固い便が出るときの、ぞっとするような感覚に付き人は戸惑った。
「いたい、う、うんちがでる……」
「大丈夫だ、出やしない」
「でも、テオ様を汚したら」
「くそが怖くて、おかまが掘れるか」
「……あんたをくそまみれにしてやる!」
 それは、ほとんど闘いだった。
 テオが腰を使おうとしても、付き人の体は本能的に、この熱い異物に対して緊張した。
 爆発するほど興奮しているのにも関わらず、グレミオの体は何度もテオを追い出してしまう。
 テオは何度も油を使わなければならなかった。

 付き人は痛かろうが張り裂けようが、もうどうでもいいと思い始めていた。
「そんなにしがみつくと、手加減できなくなる」 とテオは注意した。
 グレミオははいっそう強くテオの体にしがみついた。
「少し腰を上げてみてくれ」
 言われるままに腰を浮かしさえした。テオはすばやくそこに枕をねじ込んできた。
 テオの体から汗が流れ落ちてきたが、付き人のほうもすでに汗だくで、唇もからからだった。
 その口にテオの唇が触れて、水のようにさらさらした唾液が大量に流れ込んできた。
 思わず飲みこんだら、それは美味しかった。
 テオは、付き人の強固な砦を押し破り、体の内部へ、さらに侵入することに没頭した。
 焼け付くような痛みと悪寒が、付き人の体を往復していった。
「痛い」
 思わず口走ったとたん、その痛みはするどい快感に変化した。

 体のあちこちで、心地よさが続けざまに小さな爆発を起こす。
 心地よく、同時に死ぬほど苦しく、酸素の足りない体は勝手に痙攣をはじめた。
 付き人はものすごい力でテオの上半身をねじ上げた。
 もっと付き人の力が強ければ、テオの鎖骨と肋骨は、付き人の腕の中で、ばきばきと折れていただろう。
 テオは、付き人の髪をめちゃくちゃに引っ張りながら、うなり声を上げてのたうっていた。
そして止めを刺された猛獣のように崩れ落ち、付き人を押しつぶした。

 グレミオの中に突き刺さっていたテオの一部が、少しづつ穏やかになり小さくなっていったのを付き人は覚えている。

 ふと我に帰ると、テオが付き人の体をタオルで拭いてくれていた。その間に自分の体も拭いていた。
 テオの髪はまだ汗を滴らせていて、拭いても拭いても、汗が噴出してくるようだった。付き人はすっかり脱力して、頭の中も真っ白だった。 もう何も考えたくない。
「テオ様」
 思うように回らぬ舌で、すこし、ここでやすませてください、とつぶやいた。



終わり。

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