二人でお酒を H.12.02.14
リアムに呼ばれて、一仕事終えたあとにビクトールはマリーのところに向かった。
マリーはビクトールの姿を見とめると、厚化粧の顔をほころばせた。
「どうだった、リアムさまのお供は。 帰ってすぐじゃ、くたびれただろ」
「とんでもない。 あんたの顔を見ると、牢獄暮らしの疲れもふっとんだよ、マリー」
そして、出先で購った地酒を持ち上げて、片目をつぶった。
「あんたと飲もうと思ってさ」
するとマリーはほっこりと笑った。
「うれしいね。 じゃ、うまいアテをつくっておくからね」
マリーの部屋に入るなり、思わず「ああ、やはり女の匂いはいい」と言ってしまい、思いきり笑われてしまった。
「もてもてだろうに、なんだい。 不自由してたみたいなことをいってさ」
「おれはあんたしかいませんよ、べっぴんさん」
厚すぎる化粧を落とし、すこし薄めに塗ったマリーは色白で、血色がよく、ぽってりした小さい唇も愛敬がある。
「冗談はさておいて、飲もうよ。 積もる話もあるしさ」
テーブルの上にはビクトールの好物が少しづつ並んでいた。 食事は済んでいたが、心遣いがうれしくて、マリーと二人でまた食べてしまう。
コックのアントニオのことを聞くと、マリーはふと笑った。
「困るよ。 レスターとけんかばかりでね。 二人とも真面目過ぎて、あたしは息が詰まるっていうのに」
「やっぱり噂は本当だったんだな。 昔あんたを争ったっていう……」
「大昔、だよ。 そんなの……今まで引きずるなんて、野暮ってもんさ」
「全くだな……昔の男より、今の男。 昔の女より、今の女が大事だ」
そう笑って、ビクトールはマリーを抱き寄せた。 太りすぎを気に病んでいるマリーは、その割に骨が細く手首が華奢だ。 小さい口の中の歯が、白く細やかで、舌でなぞっていても気持ちがいい。
透けるように白い胸は、顔を埋めるとそのまま窒息するくらい豊かで、その下の腹も上等の真っ白い脂肪を蓄えている。
ビクトールは彼女の気さくさも好きだったが、この豊満な体もまたこよなく愛していた。 性格そのままに、どこを愛撫しても正直に反応してくれる。
そもそも大きすぎるビクトールの一物をくわえ込んで痛がらないのもよかった。 潤沢に涌き出るマリーの愛液の匂いに包まれて、自分たちはつくづく相性がいいのだと実感する。
マリーの中に暖かく包み込まれながら、つくづく女の体はありがたいと思う。 拝みたいほどにありがたい。
まったく、男のけつにぶちこむより何倍かいいというのに。
女がひしめいているこの城で、なにが悲しくて男漁りをするのか、あの青い二枚目は。
さまざま愛撫するうちにマリーは激しく達したようで、ざわざわと締め上げられたビクトールも果ててしまいそうになり、あわててムスコを引き抜いた。
責任ある大人としては失敗は許されない。 どうやらマリーは、ビクトールを必ずしも大人としては見ていないようだが……
「マリー……」
しばらくこうして抱きしめていようと思い、両腕に余る女の体を抱きしめた。 女は薄目を開けて、
「相変わらず元気だね、暴れん坊さん。 また昇天しちまったよ」
と笑った。
そのとき心底、ビクトールはほっとしたのだった。 わけもわからず男に犯されたあとでさえ、こうしてちゃんと女とできる。 相手がいいのか、自分の神経が並外れて丈夫にできているのか。 多分両方だろう。 普通ならばこうはいくまい。
「あんたがいいから元気になるんだよ」
信じてくれない女の耳に睦言をささやいて、風来坊は体を横たえた。
END
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