山日記282番(11.03.27天狗塚1812m)

2011年3月27日(日)快晴気温マイナス3度北風 高松11.7/0.6徳島11.9/2.5
高松自宅(5:46)→琴平(6:42)38.2km→たからだの里(6:51)47.0km→猪鼻トンネルマイナス2度→四国中央橋→山城町マイナス2度→大歩危橋(7:47)88.7km→西祖谷道の駅(7:58)96.6km→京上トンネル(7:58)109.4km→三嶺タクシー(8:30)118.0km→天狗塚登山口(8:47)125.4km

登山口(13:50)→三嶺タクシー(14:10)7.3km→京上トンネル(14:22)15.9km→大歩危橋(14:52)36.4km→山城町(15:13)13度→四国中央橋(15:25)10度→琴平(15:53)87.1km→国道11号へ(16:30)→自宅(17:02)124.7km

徳島県三好市東祖谷西山林道の天狗塚登山口から往復
コースタイム
登山口(8:59)→(9:51)1476m峰(9:55)マイナス2度→急坂の下(10:31)マイナス3度→(11:07)天狗峠(11:17)→(11:38)天狗塚頂上(11:58)マイナス3度→(12:21)天狗峠(12:27)→1476m峰(13:07)1度→登山口(13:44)
登山口から頂上まで累積上昇高度793m
登山口から登山口まで累積上昇高度868m
登山口から登山口まで累積下降高度859m


1.出発、登山口まで
 昨夜10時に寝たら今朝3時過ぎに目覚め、また寝て今度は目覚ましの5時10分の音で目覚めた。外を見ると半月が南にかかり快晴であった。ぐずぐずしている内に5時半を回り急いで何も食べずに出発した。薄い下履きと夏用のズボン、長袖シャツととっくりシャツ、黄色いダウンジャケットを着用。持った水分は茶ポカリの計1280ml。ぜんざい二個チョコレート一枚soyjoy二本。朝飯はどこかのコンビニで買う予定。
 赤信号は点滅の時刻は過ぎ、結構信号にかかり思ったように走れない。高速道下の国道11号から左折し国道32号に入った6時8分頃に赤い太陽が左に見えた。春分を過ぎずいぶん日の出が早くなった。
 
 琴平、たからだの里を経由し猪鼻峠を抜けて徳島に出ると気温マイナス2度、木々は白く雪を冠っていた。昨日の雪が残っているようだ。吉野川に架かる四国中央橋を越え国道32号の右側のサンクスで車を止めて、朝食用の焼きそば298円と昼食用の助六寿司7個360円を購入した。水分の手持ちが少ないので飲み物を購入したほうが良かったが結局後に国道439号横の京上の自動販売機でアクエリアスを買うことになった。
 ここから大歩危橋までは結構距離がある。自宅から大歩危橋まで88.7km約2時間、ここで左折して県道45号で山中に入っていく。間もなく国見山への稜線が見えてきだし、今の時期にはありそうもないことだがそれは白く霧氷が付いていた。この国見山は標高1409mと低いが冬にはきれいな霧氷が付き、その登りやすさの故に多くの人が霧氷目当てで登っている。
 祖谷トンネルの昔の料金所手前で右に入ると国見山登山口へ通じていて、これはトンネルができる前の山越えの道である。長さ967mの祖谷トンネルを抜けても春の今日は道に雪や凍結はなかった。間もなく西祖谷道の駅、トイレ休憩に利用するが今日は素通りし、祖谷カズラ橋も超え、国道439号の京上トンネルに来た。このトンネルは1023mあり二車線の新しいもので、さらに国道439号はあちこちで拡幅工事が行われている。三嶺タクシ−営業所の所で右折し国道439号から離れて西山林道に入った。
 駆動を四駆にして坂を上がっていくと、だんだん雪が現れ砂防堰堤付近からは道が凍結し出しスタッドレスタイヤでも車が横に振られた。林道は道のりが約7kmで天狗塚登山口に着いたのは8時47分、高松から125.7km、3時間1分かかった。広島ナンバーの車がすでに駐車中で、屋根には雪が積み車輪は乾燥しているので今日止めたのではなさそうだ。

2.天狗峠まで
 ここ登山口では林道がアスファルト舗装され広くなっていて車は5-6台は駐車できる。さらに東に200m位行くと20-30台は置ける広場があり秋には車が列を作り置かれている。まずコンビニで買った朝食用の焼きそばの残りを食べてしまってから靴、スパッツを着用した。ストックは先のゴムを取り金属をむき出しにし氷にグリップが効くようにし、アイゼンはリュックに入れた。カメラはケースも入れて1600g位の重量でこれは首にかけずにリュックの肩ベルトに掛けた。首にかけると痛くて重くて自由に行動できないのだ。今日はリュックは荷物が少なく6kg位のはず。
 気圧感応性高度計の高度を1130mにセットして天狗塚登山口・いざり峠の標識のある鉄製の階段を上り登山道に入った。ここからまっすぐ南に向かって標高1800mの天狗峠(いざり峠)まで登っていく。雪が薄く積み先行者の足跡が一人分付いて、それは間もなく、踏み跡から判断すると6本爪のアイゼンを着用していた。登山道の脇にある木々の根本は春に見られるように周囲の雪が溶けて窪んでいるが、そこに新雪が積り土は全く見えなくなり落ちた葉や小枝で黒く汚れているはずの春の雪は完全に隠されていた。早くも一人下りてきて、話を伺うと上は風が強くてねなどと言っていた。一人の先行者はこの人であった。
 
 つるつる滑りながら上がって行き1476m峰に着いたのが9時51分、52分かかっている。ここでアイゼンを着用した。10本爪で片方360gの重量だが、ずいぶん歩きやすくなった。少し下ると鞍部に出て、ここからは右前上方に葉の落ちた木々の間から雪の牛の背が見えた。いよいよ北斜面のクラストした急斜面を上り出したが夏道よりかなり左側(東側)を先行者が歩いている。クラストしているのでどこでも歩けてしまうのだ。春先になると積もった雪が凍り(crust)ズボッと踏み抜かなくなりアイゼンの爪がよく効き歩きやすい。登山者の踏み圧と雨の浸食で登山道が洗掘されたところにトラロープが設置されているが、これは雪の下に埋まり全く見えなかった。
 樹林帯の上の方、笹原に出る少し前の標高1700m付近でやっと青空と樺の木白い雪の取り合わせが出現した。絶好の被写体であった。笹原に出ると霧氷が付きさらに雪の積んだコメツツジ、右(西)には雪に覆われた牛の背、青空と巻雲の空、左(東)には三嶺と手前の西熊山が見えた。ツツジの花芽は昨秋からすでに開花の準備をしており、今日は昨秋より大きくなっているようであった。洗掘された登山道は完全に雪に埋まり夏道より歩きやすいが、今日の状態では体を支持するにはストックよりはピッケルが良かった。南に天狗峠の道標が見えだし、そこに着いたのは11時7分、2時間ちょっとかかった。

3.天狗峠
 快晴で北風は弱く気温はマイナス2度、わずかに霞がかかり南方は室戸岬方向で延々と山並みが続き、南西方向は土佐湾で太平洋の海面からの反射光があるはずだが今日はそれは霞と太陽が高いことにより見えなかった。ちなみに海を見るために高い山に登ることを山いさみと言うそうだ。ここは以前はいざり峠の名前であったが天狗峠の名が新しい道標に記載されている。
 雪原に日光があたり眩しく目を細くして、完全にクラストした笹原を東に歩き地蔵の頭近くから西熊山、その向こうの三嶺さらに奥の剣山次郎笈、その間に見える一ノ森を鑑賞し写真に撮った。取って返し西に向かい天狗塚を目指した。いったん下り鞍部を越えまた緩やかな登りになる。縦走路は南からの太陽が良く当たり、凍結した雪も腐りかけて時々ズルズルと雪が崩れることがあった。コメツツジは雪を纏い笹原の中にいくつも丸い白球を形成している。天狗塚の北斜面には霧氷が付き白くなり南斜面は日に当たり霧氷が溶けて笹の黄色い色がむき出しになっている。最後の急登を上りきり天狗塚の頂上に着いた。

4.天狗塚頂上
 2時間39分かかって頂上に着いた。高度計によると登山口からここ頂上まで累積上昇高度は793m、累積下降高度は92mであった。快晴で気温マイナス3度北風が弱く絶好の山登り日和だ。南には綱付森、西は土佐矢筈山、北は祖谷山系の寒峰から東へ前烏帽子、烏帽子山、落禿、標高1500mの落合峠、矢筈山、さがりはげ山、さらに黒笠山まで手に取るように見える。東はすぐそこの天狗峠、西熊山、三嶺、南の白髪分岐と白髪山、さらに剣山へ至る縦走路も追視できる。牛の背の西斜面は平成23年2月に香川の団体が遭難したところでちょっと行ってみるところではなく、寒峰目指して北または北東へ下れば必ず林道にあたり遭難することはない。矢筈山の北斜面はここよりはるかに雪が多いはずで登るには相当の体力が必要だろう。
 山登りに必要なエネルギーは、体重、荷物の重量、累積高度差、道のりの長さ、行動の時間の関数で表され、登りに要するエネルギーは下りに要するエネルギーの約15倍だそうだ。今日の天狗塚の場合登山口から登山口までに要するエネルギーは1275Kcalになる。座り込んで助六寿司を5個食べ十分水分を摂ってから下山を始めた。

5.下山
 11時58分頂上から下りだした。登りよりは下りが危険で、転ぶのは決まって下りの時である。天狗峠にかなりの人数の人が見え、そのうち四人のついで五人の団体が鞍部に向かって歩きだした。彼らとすれ違った。天狗峠に着いたのは23分後で縦走路は結構短い。そこには11人の団体がいて引率者以外は座り込んで食事中であった。香川からバスで来たが林道途中で進めなくなり後は登山口まで歩いたそうで、それは雪が多くて車が腹をすり出すとよくやる手である。彼は良い引率者であるらしく準備として前もってここの下見に来ていたとのこと。
 彼に別れの挨拶をして西山林道を目指して下りだした。少し雲が多くなってきたが相変わらず天気はよく順調であった。40分で1476m峰まで下り、この少し下でアイゼンを外し登山口に着いたのが13時44分で1476m峰から37分であった。朝標高1130mにセットした高度計は下山時には1139mを示していて信用できる数字であった。登山口から登山口まで累積上昇高度は868mであった。

6.帰宅
 すでに広島の車はなく僕の車だけがあり、早々に帰宅準備をして林道を走り出したが、僕が登り中にすれ違った単独男性が広島の車の持ち主かどうかはっきりしない。縦走したかお亀岩非難小屋で泊まったか知らないが彼のリュックは、撮影した後ろ姿を見てもあまりにも小さかったし、わかんとストック二本を持っていただけだし、さらに遅く登った香川の引率者が登山口に広島の車がまだあったと言っていたのでその単独男性が広島の人とは思えなかった。しかし時々とんでもないスーパーマンのような行動をする人がいるので断定はできない。
 阿佐ふるさと林道を通っていやしの温泉郷、小島峠経由で徳島の貞光に下ると20km道のりが短くなるが、この林道は大雨の後や雪融けの春先には大小の岩石が崖から落ちて危険なため今日は来た道を引き返した。
 
 西山林道の土捨て場に香川のバスがあり中で運転手らしい人物が何かの作業をしていた。その横を通り過ぎてほとんど凍結が融解しザラメになった雪道を走り、久保の三嶺タクシーの所で国道439号にでた。登山口が13時50分、三嶺タクシーが14時10分、京上が14時22分、大歩危橋が14時52分、四国中央橋が15時25分気温10度、琴平が15時53分、高松自宅が17時2分で走行距離は124.7kmであった。日が長くなり随分行動しやすくなった。
 今日は思いもかけず3月の末であるのに新雪の積もった雪山、さらに快晴温暖でこんな日に登れたのは幸運であった。
 今日食べたのは焼きそば、助六寿司七個中五個飲んだのは茶とアクエリアス合計約1000mlであった。あまり体重を減らさないように飲んで食べることが体力保持のために必要で、飲まず食わずで3時間標高差900mを上ると必ずくたばって座り込んでしまい、その時はきっと低血糖になっているはず。
 天狗塚近辺は夏には緑の笹原がみごとで下界が猛暑でも標高1800mのために気温は20度ちょっとで涼しく、秋には赤く紅葉したコメツツジが美しく、四国以外から登山者が多く来ている。四国で一番の山域だと思う。
 帰宅してすぐシャワーを浴び体重は55.0kg、腹一杯食べて56.1kg、顔が日に焼けて突っ張る。