第27回 南部町うぐいすマラソン大会
2011年4月24日(日)、第27回南部町うぐいすマラソン大会が開催された。
3月11日の東北地方大地震のせいで、八戸うみねこマラソンや、横浜菜の花マラソンなど、青森県内のマラソン大会が軒並み中止となった中で、八戸市の隣接町でありながら内陸部のため地震の被害がほとんど無かった南部町では、このマラソン大会が決行されたのだ。
て言うか、八戸うみねこマラソン大会なんかは、会場である八戸港に今だに大きな船がゴロゴロと転がっていて、とてもマラソン大会を開催できるような状況ではないけど、地震の被害が皆無の横浜町で、なんで菜の花マラソン大会が中止になるのか理解できない。地震で大打撃を受けた東北地方の元気回復のためには、こういうイベントはできるだけ開催すべきなのに。
なにはともあれ、うぐいすマラソン大会が決行されたのは素晴らしい事だ。
とは言え、個人的にはコンディションは良くない。なにしろ大地震以来、ほとんど練習ができてないのだ。最大の理由は寮のトレーニング室のランニングマシーンが大地震以来、壊れたままなのだ。壊れたのは地震とほぼ同時期だったんだけど、壊れた原因は、たぶん地震とは関係ないと思う。去年から、あちこちがしょっちゅう壊れていたのだ。そのたびに修理していたのだけど、あっちを治せばこっちが壊れる状態で、たぶん限界に近づいているんじゃないかなあ。それでも今までは壊れるたびに修理マンが来て修理していたのに、地震のせいで修理マンが来てくれず、いつまで経っても治らないのだ。4月になっても油断すれば、すぐ雪が降る地方なので、外はまだ寒くて走れない。となると、練習できるのは高松に帰省した時だけだ。おまけに地震で停電が続いたとき、寮の暖房が無くなって風邪を引いてしまい、しかも停電が復旧した後も節電で会社の暖房が無い状態が続き、回復まで長引いてしまった。なので、圧倒的に練習不足の状況だ。
とは言え、この大会は、たかが10kmレースだ。いくら練習不足とは言っても、10kmくらいならいつでも走れる。てことで、いつ開催されるか分からない徳島マラソンや、5月下旬の小豆島オリーブマラソンの練習がてらに参加したのだ。
この南部町うぐいすマラソン大会は、実は4年前にピッグ増田選手が出場している。その年に青森県に転勤したピッグが最初に参加したレースだ。彼が真っ先に出場した理由は、参加費が無料という点だ。参加料が無料のマラソン大会なんて、今どき有り得ない。普通は3千円から5千円くらい取られる。東京マラソンなんて1万円もする。それが、この大会は無料だ。ピッグは「参加費タダならドタキャンしても懐は傷まない」という理由で申し込んだのだけど、僕の動機も全く同じ。天気が悪ければドタキャンすればいいや、っていう安易な動機。事実、前日は天気が悪く、雨が降ったうえ風も強かった。同じようなコンディションなら出場は取りやめようと軽く思っていた。ところが、当日は朝から良い天気。風は強かったけど、天気が良かったから悩まずに参加した。
参加費が無料ってことは、かなりマイナーな大会であることが予想される。事実、ピッグが出たときも、3km、5km、10kmのコースを合わせて、子供から大人まで総勢で670人だった。そのうち10km男子の部は100人程度。めっちゃマイナーな大会やんか。南部町とは言っても、5年前に合併するまでは福地村という小さな村だった。小さな村の小さな村民運動会ってところだ。
てことで、受付ギリギリで行っても楽勝だろうと思って、朝はゆっくり寮を出る。昨年、八戸うみねこマラソンに行った時は、結構、時間に余裕を持って行ったつもりだったのに、会場の港は車を停めるスペースが狭く、とんでもなく遠方に駐車させられたけど、今日は楽勝だろう。と思ってたら、会場に着いて、びっくり。会場である運動公園は駐車場が異常に狭い。小さい村の小さい運動公園だから、冷静に考えれば当然だけど、あまりに狭い駐車場は既に満杯で、かなり遠くに車を停めさせられた。
天気は良いんだけど、風が猛烈に強くて、会場まで歩くのが寒い。受付を済ませ、開会式にも出たが、始めに3kmレースや5kmレースのスタートがあるので、10kmレースのスタートまでは1時間近くもある。なので、車に戻って着替えて、しばらく休む。相変わらず強風が吹き荒れているので、ギリギリまで車で暖を取ってから再び会場へ向かう。会場へ歩いて行く間に体は冷え切ってしまった。
スタート地点で見渡すと、10kmレースの参加者は男女合わせて150人ほど。まさに小さな村の村民運動会って感じ。練習不足だけど、これなら楽勝か。4年前のピッグのタイムが50分7秒なので、取りあえずこれを目標とする。て言うか、10kmレースなんだから50分は切ろう。て言うか、10kmレースなんだから、いくら練習不足とは言え、50分は楽勝で切れるだろう。
いよいよスタート。コースも全く把握してないけど、所詮10kmレースなんだから何も考えず適当に走っても平気だろう。ペース配分がどうのこうのと言うような距離ではない。バテる前にゴールしてしまう距離だ。
って感じで、適当に走り始めたら、なんと、いきなり上り坂。いきなり上り坂のコースと言えば、小豆島オリーブマラソンだ。あの最初の坂はきつい。きつすぎる。ただし、小豆島オリーブマラソンは最初の厳しい坂の後は前半はフラットなコースが続く。それに比べて、今日のうぐいすマラソンは、坂はそれほどきつくないけど、いつまで経っても上り坂が続く。延々と続く。結局、2km近くダラダラと上り坂が続いた。これには参った。もちろん、もっと厳しい坂が10km続く塩江山岳マラソンに比べたら坂も緩いし距離も短いけど、練習不足にもかかわらず舐めて出場した10kmレースでいきなり2kmの上り坂が続いたもんだから、調子が狂ってしまった。いつものように最初の1〜2kmがウォーミングアップ代わりと考えていたのに、ペースがつかめないまま前半でかなり体力を消耗してしまう。
こんなマイナーなレースだから距離表示も無いだろうと思っていたら、2kmの距離表示が現れた。おや?1kmは無かったぞ。2kmおきか?時計を見ると、2kmのタイムは、かなり悪い。このままじゃ50分が切れない。いきなり焦る。しかし、最初の2kmはずっと上り坂だったから、坂が終われば一気に取り戻せるだろう。と思ったんだけど、上り坂は終わらなかった。ちょっと下ったかと思えば、すぐまた上り坂だ。フラットな部分が全然ない。ずうっと上ったり下ったりの丘陵地帯だ。これは、かなり厳しいコースだ。焦っていると3kmの距離表示が現れた。おや、1kmごとに表示があるのか。じゃ最初の1kmは見落としたって訳か。タイムはますます悪くなっている。上り坂が続いているとは言っても、はっきり言ってかなりまずい展開。
ちょっと気合いを入れながら踏ん張っていくと、その後は上り坂が緩くなったこともあり、だいぶ盛り返した。しかし、序盤の借金を返すのは簡単ではない。5kmほど行ったところで給水所があった。こんなマイナーなレースだから給水所なんか無いと思っていたので、ちょっと驚き。取りあえずコップは取ったけど、長い距離のレースと違って、10kmレースともなるとペースが速いので、息が苦しくて水を飲むのも苦しくて口をゆすいだだけだ。距離が長いレースだと呼吸より足が痛くなったり動かなくなったりするんだけど、距離が短いレースだと、呼吸が苦しくなる。ぜいぜい。
その後もなんとか少しずつ借金を返しながら走っていたけど、終盤に再び上り坂があって、またまた借金が増えて、50分切りは絶望的に。
レース終盤になると、だんだんランナーがばらけてきて、前にランナーがいなくなり、コースが分からなくなってくる。普通のレースなら係員がちゃんと指示してくれるんだけど、マイナーなレースのため、数少ない係員も、ロクに指示してくれなくて、何度も道を間違えそうになる。たぶん、ランナーの大半が地元の村人で、コースは熟知しているから係員が指示する必要が無いんだろうな。
所詮10kmレースなので、最後まで足が止まるような事は無かったけど、ペースを上げることもできず、結局、50分は切れず、4年前のピッグのタイムに負けてしまった。悲しい。ま、風が強烈だったことを言い訳にしよう。
(石材店)「いくら風が強かったと言っても、10kmで50分を切れないってのは、ちょっと情けないんじゃないですか?
練習不足にも、ほどがありますよ」
(幹事長)「すんません。反論できません」
西日本からの出場者で堂々の1位となった筆者
(石材店)「そもそも東北地方以外からの出場者って居るんですか?」
(幹事長)「たぶん、居ないかも」
(石材店)「て言うか、青森県外からの出場者って居るんですか?」
(幹事長)「もしかしたら、居ないかも」
(石材店)「もしかして、村外からの出場者も居ないんじゃないですか?」
(幹事長)「いや、それはさすがに、おるだろう」
去年、今の職場の陸上部が設立されたんだけど、僕以外のメンバーは、まともな陸上部員ばかりなので、こんなマイナーなレースには誰も出てないだろうな、と思っていたら、なんとゴールした後で2人に出くわした。うち1人は、僕よりちょっと早いくらいだったけど、もう1人は37分15秒のタイムで、一般男子5位だった。
(ピッグ)「うわ、すご!早い人が多いですよねえ」
(幹事長)「同じ陸上部員とは思えない落差やろ」
(石材店)「それはもう、同じ陸上部員ではないんですよ」
ところで、50分は切れなかったとは言え、坂が多いコースのうえ、強烈な風が吹いていたので、そんなにボロボロなタイムだとも思わないんだけど、なんと一般男子133人中94位だった。実感では上位1/3くらいに位置していると思ったのに下位1/3やんか。
(石材店)「そんなに悪いんですかっ!?」
(幹事長)「有りえんやろ?たかが村民運動会で」
(石材店)「東北地方はマラソンが盛んなんですか?」
(幹事長)「参加者の少なさを考えると、そんなに盛んでもなさそうなんやけどなあ」
(ピッグ)「違うんですよ。そういうマイナーなレースの方が厳しいんですよ」
同じようにマイナーな阿南市の弘山晴美招待マラソンや草加市民マラソンを走った事のあるピッグの説明では、そういうマイナーなレースの方が、遅いランナーが少ないそうだ。1万人規模になった丸亀マラソンのようなビッグなレースは、始めて走るようなランナーとか、最初からウォーキングしているようなランナーもいるけど、マイナーなレースには、そういう初心者はかえって出場しにくくて、速いランナーしか出ないそうだ。事実、今日のレースは終盤に歩いているような初心者ランナーはおらず、最終ランナーまで結構、速く帰ってきた。
(幹事長)「それと、やっぱり初めてのレースはコースが分からないから戸惑いが多いなあ」
(ピッグ)「特に、このレースはトリッキーなコースですからね」
ただ、コースの途中にサクランボ畑があったのは楽しかった。もちろん、サクランボの季節じゃないけど、桜の花が咲き始めていた。東北地方は、桜前線はまだまだ来てないけど、サクランボ用の桜の木は種類が違うのか、少し早めに咲き始めたようだ。
(ピッグ)「ところで、徳島マラソンは、いつまで経ってもHPに『延期させて頂きます。詳細は後日発表致します』って
出てるだけで、いつになるのやら分かりませんねえ」
(幹事長)「この状況じゃあ、次のレースは5月22日の小豆島オリーブマラソンやなあ。
去年はみんな自己ベストが出たから、今年も頑張ろう!」
〜おしまい〜
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