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伊庭八郎さんと従姉妹と、時々試衛館ズ。
●ピンク色は主人公
●青色は伊庭八郎
●紫色はその他の人
日付クリックでSSが読めます。
1月1日 静 |
従兄伊庭八郎の家が剣術道場をしている影響で、幼少の頃から剣に親しんできた。 (2008.10.29) |
1月2日 静 |
八郎は剣術よりも勉学に興味があるようで、いつも生っ白い顔をしていたから。
(2008.10.29) |
1月3日 静 |
私はため息をついて、にこにこと笑う八郎を見た。
(2008.10.29) |
1月4日 静 |
いつも同じ道場にいたのに。
(2008.10.29) |
1月5日 静 |
私の名は静といった。
(2008.10.29) |
1月6日 静 |
伊庭八郎。
(2008.10.29) |
1月7日 静 |
(2008.10.29) |
1月8日 伊庭八郎 |
オイラと静丸は同じ年だった。 (2008.10.29) |
1月9日 伊庭八郎 |
慌ただしい三が日も過ぎて、オイラはボーっと自室で寝転んでいた。 (2008.10.29) |
1月10日 伊庭八郎 |
玄関に活ける花を椿に変えて、しめ縄を外す。 (2008.10.29) |
1月11日 静 |
昨日八郎と神社に行った。 (2008.10.29) |
1月12日 土方歳三 |
10日は試衛館の連中と神社に行った。 供えていた鏡餅を善哉にして振舞ってくれるからだ。
ごった返す人の中、派手な二人連れが来るのが見えた。
…ありゃあ八郎、か? 女みてぇな派手な着物を着てるからわからなかった。
(2008.10.29) |
1月13日 沖田総司 |
伊庭さん! 今日はあの人と一緒じゃないんですか? 凛とした格好いい人でしたね! あの方も剣をなさるんですか? 今度手合わせして欲しいなぁ。
土方さん? あの人なら道場にいますよ。
今度はあの人も連れてきて下さいね!
(2008.10.29) |
1月14日 伊庭八郎 |
昨日総司に静を連れて来いと言われた。 どうやら総司のお気に召したらしい。
笑顔の下で、何を考えているのかわからない総司に目を付けられるなんて…
厄介さね
呟いてオイラははっと気付いた。 何でそう思ったんだろう。
(2008.10.30) |
1月15日 伊庭八郎 |
昨日から静丸の事が頭から離れない。 試衛館の事はよく話していたから。 少なからず興味を持っている。 剣の好きなあいつの事だから。 誘えばついてくるだろう。
だけど。
女子だとバレるのが嫌だった。
静丸は女子なのに。
(2008.10.30) |
1月16日 静 |
試衛館の連中は気が良くて、いい人達だと八郎から聞いていた。 確かに。癖が強そうな物の朗らかな奴ばかりだった。
一人、色白の役者みたいな綺麗な男はいたが。
じっと見ていると、総司と名乗る男が握手を求めてきた。
(2008.10.30) |
1月17日 静 |
八郎と稽古した。 熱心に剣を振っている所は見たことないのに、さすが宗家の御曹司か… 気迫が違う。
手合わせが終わった瞬間 張りつめていた殺気を吹き飛ばして、八郎は莞爾と笑った。
いつもそうしていたらいいものを。
(2008.10.30) |
1月18日 静 |
伊庭の小天狗、麒麟児。 奴がそう呼ばれているのを聞いた時は、どうして奴が、とおかしかったが。 実際に手合わせをして、どっと汗をかいた。
今まで幾度となく剣を合わせてきたが。 手加減していたのだろうか? 悔しい。
(2008.10.30) |
1月19日 静 |
女子だと馬鹿にされないよう、稽古は人一倍励んだ。 男に比べて剣が軽くなるのは仕方がないが、その分速さでは負けないつもりだった。
悔しいが、八郎は格が違う。
いつ稽古をしている? 試衛館で…しているのだろうか?
(2008.10.30) |
1月20日 伊庭八郎 |
世間では、オイラを心形刀流の御曹司なんて呼ぶけど。 家は実力のある奴が流派を継ぐから、別にオイラじゃなくてもいいんだ。
だから昔は、反抗するように勉学ばかりしていたけど。
…いつから剣が面白くなったのかな。
(2008.10.30) |
1月21日 伊庭八郎 |
静と初めて会ったのは、3歳の時。 七五三のお宮参りの帰りに来たから、桃色の愛くるしい着物を着てたっけ。
男装をするようになったのは、いつからだったかな… もう思い出せねぇや。
何か切欠があったと思うんだけど。
(2008.10.30) |
1月22日 静 |
八郎と初めて会ったのは5歳の時。 お宮参りの帰りだからと、袴を着ていた。 勇壮な羽織を着ているくせに、雛人形みたいな顔で。 どうして女子が袴を着ているんだろうと不思議だった。
道場の家の子だからと思っていた。
(2008.10.30) |
1月23日 静 |
八郎と向かい合って、炬燵で蜜柑を食べる。 やっと― 普通に接することができるようになった今。 どうしてあんなに意識していたのかわからず、気恥ずかしくなる。
火鉢が済んだ音を立てる。
許嫁よりも、従妹でありたい。
(2008.10.30) |
1月24日 伊庭八郎 |
静丸は前よりも一層剣に打ち込むようになった。 オイラに負けたのがよっぽど悔しかったらしい。 剣ダコのある手は、霜焼けや皸で血が滲んでいる。 どうしてそこまで打ち込めるんだろうね。 痛々しくて…見てらんないよ。
(2008.10.30) |
1月25日 静 |
夜半から雪が降り出した。 シンと静まり返った屋敷は、鼠の足音一つしない。
寒さに目が覚めて、私は身震いした。 外は雪が積もっているのだろう。 明かりなどないのに、ぼんやりと明るい。
八郎は…寝ているのだろうか?
(2008.10.30) |
1月26日 伊庭八郎 |
目が覚めると、一面の雪景色だった。 深々と積もる雪を手ですくってみる。
遊女の白粉みたいに真っ白なのに。 何の匂いもしないや。
静、みたいだな… ふと思った途端、掌がやけに熱くて雪がじんわりと溶けるのを感じた。
(2008.10.30) |
1月27日 静 |
もしも。 そんな話は好きじゃないが。 考えずにはいられない。
もしも私が男子だったら。 八郎と許嫁にはならなくて済んだだろう。
剣も今よりもずっと上達しただろう。 どうして私は女子なのか。
男に生まれたかったのに。
(2008.10.30) |
1月28日 沖田総司 |
前に会った時お願いしたのに、伊庭さんはちっとも静丸さんを連れてきてくれない。 静丸さんが嫌がってるのかな?
手合わせしてみたいのになぁ。 炯眼は1月の水みたいに澄んでいて、とても綺麗だった。
…会いたいなぁ。
(2008.10.30) |
1月29日 土方歳三 |
心形刀流は天然理心流と違って、二刀も使うと聞く。 静丸と言ったか… あんなに細ぇ腕で、あいつも二刀を操るのか?
伊庭と言い静丸と言い、どうして心形刀流はやけに整った顔の奴が多いんだ? まぁ剣は顔じゃねぇがな…
(2008.10.30) |
1月30日 静 |
もうすぐ一月も終わる。 早いものだな。 二月にもなれば、更に身を切るような寒さになるだろう。 凍る湯上りの髪を火鉢の前で溶かしながら、皹切れの手をこすりあわせた。 仕切りに沸く鉄瓶の湯気に人恋しくなりながら。 (2008.11.3) |
1月31日 伊庭八郎 |
一日、一日と日が経つのが早く感じる。 それだけ年を取ったってことかもしれねぇけどさ。 去年のオイラと比べて、今年は何が変わるんだろう?
静丸とオイラの関係も…変わる、のかな?
まだ壊したくない…
もう少しだけ。
(2008.11.3) |