「ねえねえ、あっちからも歌が聞こえてくるよ」
「ラズリ…少しは落ち着こうよ…」
千夜の宴についてからというものラズリはずっと興奮していて手がつけられなかった…
「さすが千夜の宴だね、さっきからずっと音楽が聞こえてくるよ」
「それにしてもちょっと賑やか過ぎじゃない?」
ラピスが不思議そうに周りを見渡しているとどこからかミトが駆け寄ってきた。
「ラピス君、ラズリちゃん、聞きました? 今この街で金銀音合戦という大会を開いているらしいです!」
「…なにそれ?」
「それはですね…」
ミトの説明によると、千夜の宴では今金銀音合戦という音楽の大会が開かれていて金組と銀組に分かれて競い合っているらしい、
そして今年は大御所が引退して混戦になって名をあげようとしている芸人が大勢参加しているそうだ。
その説明を聞いているとラズリが急に不敵に笑い出した…
「わたしたちも参加しよう!」
「…は? なに言ってるの?」
「お兄ちゃんこそなに言ってるの、この大会で一杯勝って、有名になって、一流詩人の道をまっしぐらだよ!」
「そんなにうまく行く訳ないでしょ」
ラピスが張り切るラズリに呆れながら突っ込むとラズリは機嫌を損ねたようで
「なんでお兄ちゃんはこういう時によこやりを入れるようなことを言うの!?」
「だって、この街には腕のいい詩人や楽士が一杯集まってるんだよ、そんな中で一杯勝てる訳ないよ」
「そんな事無いよ、お兄ちゃんはわたしの歌が負けるって言うの?」
「うん」
「…そんなに言うんだったら勝負しよう、わたしが金組に入るからお兄ちゃんは銀組に入って戦うの。
誰かと組むのは自由だけどお母さんだけは無しね。
それでわたしが勝ったらわたしのすることに口を出さないで!」
「ちょっと…」
「これからわたしとお兄ちゃんは敵同士なんだからね!」
ラズリはそう言い残してどこかに飛んで行ってしまった…
ラピスはそれを見送ると深いため息をついた…
「私が余計な事を言っちゃったみたいですね…すみません」
「いえ、ミトさんのせいではないです。どうせほっといてもああなったと思います」
「…でも私に何かできる事は無いですか?」
「…じゃあ、一緒に組んでくれる人を探すのを手伝ってくれませんか」
「分かりました!」
ラピスとミトはとりあえず隊商宿に向かうことにした。
後書き
面白そうなテーマなので張り切って書きました。
参加させる組は兄妹のイメージで決めました。
この後もしばらく続きます。
ミトさん(ずらさん)お借りしました
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