数日後、金銀音合戦も終わり、隊商は巨人の皿へ向けての移動の準備を始めていた…
「ラピスちゃん、ラズリちゃん準備は進んでるかしら…あら?」
「…だからわたしの勝ちなんだってば!」
「そんな訳ないだろ!」
ラリマーがラピスとラズリの様子を見に来ると、どういう訳かラズリとアスランが喧嘩していて、ラピスとアーレフとリズクが止めようとしていた。
「アスラン…気持ちは嬉しいけどちょっと落ち着いて…」
「そうだよ、そこまでむきにならなくても…」
「じゃあラズリの言う事を認めるのか? ラズリはラピスに一回も勝ってないだろ」
「でも勝ち星の数ならわたしの方が上だよ」
「あ、あの…やっぱりその考え方は無理だと思います…」
いがみ合うラズリとアスランを見てラリマーは大体の事を察した。
「わたしがお兄ちゃんに負けたのは二回だけでしょもっとたくさん勝負してたらわたしが勝ったかもしれないよ。
昨日だってわたしが勝負しようとした時逃げたよね?」
「あの時は別の詩人と勝負してただけでその勝負の後で勝負しようとしたらおまえらはおまえらで別の楽士と戦ってたからだろ!」
「待っててくれてもいいんじゃないの?」
「何で待つんだよ! 大体『リズクと喀血シスターズ』ってチーム名じゃリズクがリーダーみたいになってんじゃねーか!」
「そんなことないよ、それにバックダンサーなのに前に出るアスランに言われたくない!」
「それ位別にいいだろ、おれより小さいくせに生意気なんだよ!」
「大きさは関係ないでしょ、それより何なのその顔の落書きはよく分かんないんだけど!」
話の内容が関係ない方向にずれていき、いつものケンカになってきた…
ラリマーがどうやって止めようか考えていると…
「すみませーん、何か手伝う事ありませんかー」
何故かナサニエルが入ってきた。
「あ、ナーザどうしたの?」
「それが、マリーヘさんに『特にしてもらう事が無いから誰かの荷作りでも手伝ってきなさい』って言われて…」
「それでわたしたちはここに来たのだけど手伝う事はあるかしら…とは言ってもそれどころじゃなさそうね」
ナサニエルの後ろからヘリヤが出てきた。
「ヘリヤもきてたんだ」
「あら、ラズリさんこの騒ぎは何なのかしら」
「じつは…」
ラズリは簡単に事情を説明した。
「わたしはいろんな人にたくさん勝ったラズリの方が上だと思うわ」
「何言ってんだ! 直接戦って連敗してるんだぞ!?」
「たったの二回じゃない」
「…おい、そっちのおまえはどう思う?」
アスランはナサニエルに話を振った。
「え? ぼくは…両方言ってる事は分かるけど…そうだ、ラリマーさんに決めてもらったら?
少し前におかーさんが凄い詩人って言ってたから」
「ラピスとラズリのお母さんって凄い人だったんだ…ぼくもそれでいいと思うよ」
「わたしもそれでいいと思うよ。お母さんならわたしの歌の事やく分かってくれてるし」
「えっと…ラズリさんがそれで納得するなら…」
「…ラズリがいいのならそれで…」
双方がナサニエルの意見に賛同し、皆がラリマーに注目した。
「そうね…ラズリちゃんの歌は元気があるけど落ち着きが足りないわね…
ラピスちゃんの歌は逆に落ち着き過ぎてて盛り上がりが少ないし…
どちらが上かと聞かれても二人の歌の持ち味が違い過ぎてて比べるのは難しいわね…」
ラリマーは何やら悩んでいるそぶりを見せているが…
(どっちが勝ちか決めてもう片方に嫌われたらどうしよう、そんなの耐えられないわ)
心の中では全く別の理由で悩んでいた…
あとがき
ようやく終わりです、どっちが勝ったかは想像にお任せします。ここまで読んでくださってありがとうございました。
アスランさんとアーレフさん(Nasatoさん)、リズクさん(一磋さん)、ナサニエルさん(yuranさん)ヘリヤ・ジアーさん(戸成さん)お借りしました
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