ラズリはラビーウ、ヘリヤ、ラーシルと共に布を巻きつけた巨人の目をマリーヘのいる天幕に運び込んでいた…
「マリ姐ちゃん、食材持って…」
「また偽物ですかー!?」
「ええ、ただの安物ね」
天幕に入ると既に何人か並んでいて先頭ではミトが偽物と言われた塩の前でへたり込んでいた…
「じゃあ、次は私ね」
「あらラリマーさん、じゃあ持ってきた物を出してくれるかしら」
ミトの後ろに並んでいたラリマーが前に出て持っていた袋の中身を出した。
それはキラキラと輝く白い粉だった。
「本物かどうか味見して確かめてもいいかしら?」
「あの…わたしにも味見させてください」
「いいわよ」
マリーヘとミトは粉を一つまみずつ口に入れた…
「…塩辛さを全く感じさせずに上品な甘みが口に広がっていく…これが…」
「ラリマーさん…これ砂糖じゃない! 本物とか偽物とか言う以前の問題よ」
「失礼ね、これは正真正銘『白砂の港の砂糖』よ」
「私が頼んだのは『白輝の都の塩』なんだけど…」
「…間違えちゃったみたいね、仕方ないからこれは持って…」
「でもこれはこれで高級品だから貰っておくわね」
マリーヘはラリマーが持って帰ろうとした砂糖を手に取った。
「いいのかしら?」
「今回は特別に認めてあげるわ」
「あらそう、ありがとう」
そう言ってラリマーは天幕から出て行き顔を赤くしたミトもコソコソと後に続いた…
「ラリマーって確かラズリのお母さんだよな」
「まあ、今の砂糖と塩を間違えた人がラズリのお母さんなの?」
「…うん」
流石のラズリも恥ずかしいのか顔を赤くしている…
それからしばらく並んでいると今度はヤシュムがザビエラとラナーをと共に前に出た。
「…あなたたちは何を持ってきてくれたのかしら?」
「…これ」
ヤシュムたちは大きなチーズを取りだした。
「へぇー、結構高そうなチーズね、どうやって手に入れたのかしら?」
「ええと…それはですね…」
ラナーは何か言いにくそうに口ごもっている…
「シッカたちが…お酒の…おつまみに…しようと…していて…」
「ヤシュムがこっそりとってきたんじゃ!」
「へぇー、シッカたちがね…その話もうちょっと詳しく聞かせてもらえないかしら…」
ヤシュムとザビエラの説明を聞いて、マリーヘは笑顔を崩さないが何故か黒い影が見えるような気がした…
「いいよ、あれは…ごほっ…」
ヤシュムが詳しく話そうとすると突然倒れた…
「ヤシュムさん!?」
「呪い返し…失敗した…でも…半分は…返せたはず…」
「やっぱり無茶だったんじゃ!」
「早くお医者様の所へ!」
ヤシュムはザビエラとラナーに抱えられて運ばれていった…
「このチーズ…使っても大丈夫なのかしら…」
マリーヘは残されたチーズを不安そうに眺めていた…
そしてようやくラズリたちの番になった。
「あらあなたたちも持ってきてくれたの、小さい子は無理しなくていいって言ったのに…」
「そういうのはいいからこれをみてよ」
ラズリは巨人の目にまかれた布を解いてマリーヘに見せた。
「これは…こんなに大きいのは見た事無いわ…これなら一匹で何人分の…いえ、この大きさを生かして屋台の目玉にするのも悪くないわね…ウフフ…」
「マリ姐ちゃん?」
「ハッ! えーとこれはあなた達が釣ってきたのかしら」
「うん、わたし達とお兄ちゃんとリズくんとクタイバ、皆で釣ったんだよ」
「すごいじゃない、これはあなた達全員分のご飯以上のお手柄よ!」
「それじゃあ…」
「ええ、御馳走を好きなだけ食べていいわよ!」
「やったー!」
ラズリ達は手を取り合って喜んだ。
「失礼する、何だお前達も来ていたのか…」
「あ、モリオン」
「お父さんも何か食材を持ってきたの?」
「いや…今日はマリーヘに報告する事が…」
「ファウザ隊の事ね、何か分かったかしら?」
「ああ、色々と調べてここにまとめた」
モリオンはそういって紙の束を取りだしたが数枚落としてしまった…
その落とした紙には似顔絵のようなものが描かれていたが…
「あれ? この子は…」
「さっきの迷子の子だ!」
その紙にはラズリ達が海岸で会った女の子の絵が描かれていた…
「…お前達、こいつを知っているのか?」
「え…うん…」
モリオンが急に怖い顔になったので、ラズリ達は全部話した
「…という訳なんだけど、お父さんはこの子を知ってるの?」
「知っているというか、こいつはファウザ隊の一員だ」
「この子が!?」
「ファウザ隊ってもっと人相が悪い人が集まっていると思っていたのだけど…」
「…ファウザ隊ってなんだっけ?」
「オイラもよく分からない」
「ラーシル…お前には私からも説明したはずだが…いやそれよりもラピスたちが心配だ…」
モリオンはそう言って天幕の外に飛び出していった…
ラビーウさん(たまださん)、ヘリヤ・ジアーさん(戸成さん)、ラーシルさん(せんさん)、ミトさん(ずらさん)、ラナー・アル・アリーさん(南ハルさん)、ザビエラさん(藤乃蓮花さん)お借りしました。
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