ラピスとリズクは通りの真ん中で看板を持って客寄せをしていたが…
「…なんか…ごめんね…」
「…あの…ぼくは気にしてないので…」
「…誰も来ないね」
「…そうですね」
通りがかる人は大勢いるが、ラピスとリズクを気に止める人はいなかった…
「ラズリは儲けた人から稼ぐとか言ってたけど…」
辺りを見回してみてもそんな感じの人は見当たらなかった…
「どうします?」
「そんな事言われても…」
ラピスとリズクが困っていると…
「あら? リズくんとラズリちゃんこんな所で何してるのかしら?」
突然声をかけられて驚いて振り向くとそこにいたのはマルヤムだった…
「マルヤムさん、えっと…ラズリさんに頼まれて…」
「ラズリちゃんが?」
マルヤムはそう言ってラピスの方を見た…
「…ぼくはラズリの兄のラピスです!」
「あらまあ、ラズリちゃんにお兄さんがいるとは聞いてたけど…ほんとによく似てるのね」
「あの…あまり見ないで下さい」
マルヤムはラピスを観察するかのようにまじまじと見つめている…
「あの…むこうでラズリさんが歌っているので聴いて行って下さい」
「ラズリちゃんが? 向こうの方ね、行ってみるわ」
マルヤムは楽しそうな足取りでラズリが歌ったいる方に向かって行った…
「やっと一人お客さんが見つかった…」
「あ、あそこにいるのマリーヘさんじゃないですか?」
リズクの言った方を見るとそこにマリーヘがいた…
「あの…マリー…」
「ちょっと待って!」
ラピスはリズクを連れて隠れた…
「あの…何で隠れるんですか?」
「よく見て…マリ姐さん機嫌が悪そうだよ…」
確かにマリーヘは何処かイライラ様子でかなり怖かった…(多分駱駝賭博で負けたから…)
「…もう引きあげようか…」
「でもラズリさん張り切ってましたから、もっと呼ばないと…あのラピスさん後ろ…」
リズクは急に青ざめて震えながらラピスの後ろを指差した…
「後ろがどうしたの…」
ラピスがリズクに言われて振り向くと目の前にヤシュムの顔があった。
「うわああああ!」
ラピスは悲鳴をあげて後ろに倒れた…
「…どう…したの?」
「な、なんだ、叔母さんか…」
「あの…叔母さんって」
「あ、この人はヤシュムといって…」
「私は…ラピスの…お母さんの…妹…だから…叔母さん…」
「叔母さんはこんなところで何してたの?」
「駱駝競馬…いっぱい…勝った…よく分からない…けど…大穴だって…騒ぎに…なってた…」
ヤシュムは大きな袋をたくさん持っていた…揺れる度にジャラジャラと音が鳴っていた
「ラピスは…何してたの…?」
「ラズリが向こうで歌ってるからお客さんを集めてるの」
「…聴きに…いくね…」
ヤシュムはそう言ってラズリのもとに進んで行った…
「…変わった人ですね」
「…うん、ぼくもそう思う…」
ラピスとリズクはこの後も客寄せを続けたが呼べたのは結局二人だけだった…
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