ラズリは延々と歌っていたが誰も来ていない…
「なぁ、なんでさっきからずっと歌ってるんだ」
ラーシルが飽きたのかラズリにちょっかいをかけ始めた…
「お客さんに聴いてもらってお金を稼ぐんだよ」
「誰も聴いてないぞ?」
「これから聴きに来るんだよ! シャイールも何か言ってよ!」
「…ふぁ〜」
シャイールは何も言わずにあくびしている…
「あくびしないで何か言ってよー」
「あらラズリちゃん、大変そうね」
マルヤムが手を振りながら歩いてきた
「マルヤム! 聴きに来てくれたの」
「ええ、リズくんとラピスくんから聞いてきたの」
「そうなの、じゃあ張り切って歌うね」
ラズリはお客さんが来て嬉しいのかいつもより張り切って歌いだした。
(歌っている)
しばらくしてラズリは歌い終わった…
「どうだった?」
「ラズリちゃんの声ってきれいなのね、素敵だったわ」
「……」
マルヤムが感動しているといつの間にか横にシャイールが立っていた…
「あら、どうしたのかしら? …ああ、お金ね、はい皆で分けてね」
マルヤムはシャイールが持っていた看板を見て銀貨を五枚壷に入れて帰って行った…
「やったー!!」
「良かったな、よく分かんないけど凄いな」
「…」
ラズリたちが喜んでいると今度はヤシュムがやってきた…
「歌…聴きに…来た」
「あ、叔母さんだ、歌を聴きに来てくれたの?」
「早く…聴きたい…」
「分かった」
ラズリは少し困惑しながらも歌い始めた…
(歌っている)
そして歌い終わると…
「ラズリの…歌声…よかった…姉様程じゃ…ないけど…」
ヤシュムはそういうとラズリの後ろでぼんやりしていたシャイールに近づいた…
「お金…ここに…入れるの…?」
「うん」
それを聞いたヤシュムは袋を一つ取って開けた、そして袋に手を入れて出すとその手には金貨がたくさん掴まれていた…
「どうして叔母さんがそんなにたくさんお金持ってるの!?」
「…星の声を…聞いて…駱駝賭博で…いっぱい…勝ったの…」
ヤシュムはそう言いながら袋の中身を全部壷の中にジャラジャラ入れ始めた。
「えええ!?」
「…つぼにいっぱい…」
「なんかキラキラしててすごいな!」
「こんなに貰っていいの!?」
「いいの…私のお金…だから…」
ヤシュムは何事も無かったかのように去って行った…
「ラズリの叔母さんって凄いんだな」
「そうでしょ、いつもあんなんだよ」
「…」
ラズリはこの後も歌い続けていたが足を止めて聴いてくれたのは結局二人だけだった…
ラピスたちが戻って来るのを待つ
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