ラピス達はラズリとヤシュムが向かっていたと思われる白輝の都へたどり着き、

二組に分かれて二人の情報を探していた…

「すみません、黄緑の髪の詩人と真っ黒な髪の呪術師の二人組見かけませんでしたか?」

「知らねーよ」

「また駄目だったな…」

ラピスはアイスとヘリヤと供に聞き込みをしていたが、情報は全く集まらない…

(ちなみにもう一組はカマルとルセアで幼いアクアとマリン、方向音痴のザビエラは見張り役のバリーゥと隊商宿でお留守番)

「二人ともそれなりに目立つから、来てたら覚えてる人がいそうだけど…」

「もしかしたら、この街に来る途中で何かあったんじゃないのか?」

「そんな…もしそんなことになってたらどうやって探せば…」

「「………」」

アイスとヘリヤはラピスをじっと見ている…

「二人ともどうしたの?」

「…いや、一瞬誰だか分からなくなって…」

「ラズリの情報を探すなら変装しなきゃ行けないって言い出したのアイスでしょ!」

「仕方ないでしょ、ラズリと同じ顔のジンがうろうろしてたら余計な情報まで集まっちゃうじゃない」

「それはそうだけど…」

ちなみに今のラピスは、髪の毛を青く染めなぜか女装させられ、

更にラズリとは真逆のお淑やかさを全面に押し出すような化粧をさせられて

原形をとどめてない可憐な姿になっていた…

「なんで女装なの!? 女装する必要性なんてないよね!?」

「あのバリーゥって人がしつこく勧めてきたから…」

「でも似合ってんだからいいだろ」

「よくないよ! こんな姿ラズリに見られたら…」

「きっと指さして笑うわね」

「ううう…」

悔しくて涙をこぼすラピスだったが、その仕草は女性にしか見えなかった…

「やっと見つけたわい、今まで何しとったんじゃ」

「え? あなたは…」

突然誰かに話しかけられ、声のする方を見てみるとそこにいたのは…見知らぬ老人だった…

老人はラピスに手のひらサイズの荷物を押しつけるようにして渡した

「修理依頼の品、確かに渡したぞ。全く…髪の毛を染めとるから見つけるのに時間がかかったぞ…」

老人はラピスが荷物を受け取った事を確認してそのままどこかに行ってしまった…

ラピスが荷物を開くと中身は見覚えのあるラピスラズリの首飾りだった。

首飾りに力を込めるとカナヘビのようなルフが現れた…

ルフはしばらく回りを見渡した後ラピスに気付いてすり寄って甘えた。

「…グラス?」

「この子って確かラズリのルフよね…」

「…うん…アイス今のお爺さん連れてきて!」

「わ、分かった!」

アイスは慌てて人混みの中に消えていった老人を探しに行った。

「でも、これでこの街にラズリが来ていたってはっきりしたわね」

「うん、でもあのお爺さん…何で僕をラズリと間違えたんだろう?」

「…変装が足りなかったのかしら?」

しばらくしてアイスがトボトボと戻ってきた…

「ごめん、見失った…」

「そう…なにかラズリのこと聞けると思ったんだけど…」

「ねえ、いったん隊商宿に戻ったらどうかしら? カマル達も何か手がかりを見つけているかもしれないし…」

「うん、そうだね」





ラピス達が隊商宿に戻ると部屋から賑やかな話し声が聞こえてきた

「…そのときのラズリン親分の活躍のよって隊商は救われたんじゃ」

「やっぱり姉貴ってすげーんだな」

「そんな姉様を支えるザビエラ様も素敵です」

ザビエラはラズリの武勇伝?をアクアとマリンに語っていた。

調子を合わせてくれているのか影響を受けて記憶が書き換えられているのかその内容はとても信じられるような物ではなかった。

「ねえ、あれ止めなくていいのかしら? あれかなり大げさに言ってるわよ」

「ほっておけばそのうちメッキがはがれると思ったんだけど…」

「はがれるどころか、どんどん厚くなってるじゃない…」

「おれの活躍もラズリの手柄になってるみたいなんだけど…」

「ザビエラも当事者の筈なのになんであんな事言えるんだろう…」

「あの二人本当のことを聞いて失望しなきゃいいのだけど…」

ラピスとヘリヤとアイスは、目を輝かせてザビエラの話を聞いているアクアとマリンを見てため息をついているとカマルがルセアを連れて戻ってきた。

「戻ったぞ」

「…どうでしたか?」

「はっきり言って駄目だラズリとヤシュムの目撃情報はなかった…」

「そうですか…ところでルセアさんは何かあったんですか?」

ラピスは戻ってきてから分かりやすく落ち込んでいたルセアが気になったようだ。

「それが…この街の名物の塩を買おうとしたらしいんだが…値が高すぎて買えなかったらしい」

「白輝の都の塩は高級品で有名だからね…」

「わたしも欲しいわね、その塩があれば味がないって言われなくなるかも知れないのに…」

「それなら塩ジジイからもらうというのはどうじゃ?」

ザビエラの発言を聞いて皆の視線がザビエラに集まった。

「塩ジジイ…って確かこの街の偉いじいさんのことだよな? 塩をくれるのか?」

「そういえば、塩ジジイに何か珍しい物を差し出すか、何か芸を披露したら塩をもらえるって誰かから聞いたことがあるような…」

「ここだけの話じゃが…実はわしは占いで挑んで塩を貰もらったことがあるんじゃ」

「ってことは、ザビエラちゃんさえいれば塩は手に入ったも同然って事!? やったー!」

「あなたの占いは独特だから珍しかったのかしら? でもこれでわたしも味のある料理が作れるようになるかも…」

アクアは身を乗り出してザビエラに詰め寄り、ラピスは昔の仲間から聞いた話を思い出し、

ルセアは子供みたいにはしゃいで、ヘリヤは妙なところで感心していた。

「そんなことより、そっちは何か手がかりは見つかったか?」

「それが…」

ラピスは先ほどの事を説明した。

「なるほど…ラズリはこの街にたどり着けていたということか…そうだな、私にまだ心当たりがあるから、また明日調べてみよう」

「本当ですか?」

「ああ…ただし行くのは私とアイスだけだ、お前達は…塩ジジイの所にでも行くといい。

ザビエラの占いにラピス達の音楽があれば確実にもらえるだろ」

「そんな、僕も…」

「お前は足手まといになるから駄目だ」

ラピスはカマルの威圧感にひるんで何も言い返せなかった…

そして次の日ラピス達はカマルにさっさと送り出された。



あとがき。

ザビエラさんとアイスさん(藤乃蓮花さん)、ヘリヤ・ジアーさん(戸成さん)、ルセアさんとカマルさん(鶫さん)お借りしました。


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