ラズリを白砂の港に連れ戻してから数ヶ月たったある日の昼下がり
ラピスは珍しく両親とお茶を飲んでいた。
「ラズリちゃんも最近になってようやくここの暮らしに慣れてきたみたいね」
「ああ、ここに来たばかりの頃はよくラピスと間違えられて怒っていたみたいだがな」
「…今でも時々間違われてるんだけど」
話題はあれからここで暮らしているラズリの事だった。
「もうこのままここで暮らしてくれたら安心なんだけど」
「全くその通りだ、どうにか説得できないものか…」
「無理だって、ああ見えてラズリは頭が固いんだから」
「本当、誰に似ちゃったのかしら…」
「皆様大変です!」
そこに突然一人の神官が飛び込んできた。
「ラズリ様が…ラズリ様が書き置きを残して旅立ってしまったみたいです!」
「なんだと!?」
モリオンが神官の持っていた書き置きを奪って読むと
『氷の町に隊商が来るみたいだから戻るね』
と書かれていた。
「すぐに連れ戻すぞ! 動けるものを集めろ!」
「…あなた、少し落ち着きなさい」
「そうだよいつかこうなるって分かってた事でしょ?」
ラリマーとラピスが止めるが聞こえていないのかモリオンは行ってしまった…
「ラピスちゃんは追いかけなくていいの?」
「ラズリはもう大人だよ、それにぼくも妹離れしなきゃ行けない頃だと思うし」
「あらあら、モリオンちゃんにも見習って欲しいわね」
「あ、あの…」
神官はまだ何か言いたそうにしている。
「あら、まだ何かあるのかしら?」
「それが、アクア様とマリン様もついて行かれたみたいです」
ラピスは神官の言葉を聞いて立ち上がった。
「ちょっと連れ戻してくる」
「妹離れはどうしたのかしら?」
「あの二人に関しては別」
「私も…ついて…いく…」
ラピスの真後ろにいつの間にかヤシュムがいた。
「叔母さん!? いつからいたの?」
「それより…急がないと…追いつけ…ないって…星が…」
「わかった、じゃあついてきて」
ラピスはヤシュムの手を引いて走り去っていった…
「ラピスちゃんが妹離れする日は来るのかしら…」
ラリマーはそう呟いてお茶を一口飲んだ。
あとがき
これで十年後の話はひとまず終わりです。
書きたい事が多すぎてまとめるのが大変でしたが、できるだけ詰め込みました。
また何か書く事があれば読んで下さると嬉しいです。
まとめきれなかった設定をまとめてみました。
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