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合気道八幡浜一当流道場のメールマガジン第2部 第3号 2006/07/17

タイトル
○Aikido-Yawatahama「一当流」「ふだんの記」(マガジンID:0000179313)
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第3号 目次
◆ 西山禾山老師の禅---『般若の法門』
◆ 道文の研究Vol.1 「一をもって万に当たる道」
◆ シリーズ「生活の中の情味を味わう」Vol.3
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No.3
◆ 西山禾山老師の禅---『般若の法門』

老師は谷中の全生庵の道生会でも講座をもたれたが、この講座は滴水、峨山、海晏
などという明治における臨済禅の巨匠のあとを踏襲したものであった。
人生、生前に大事未了だと、冥土で草鞋銭を請求されるというような文句が何かにあ
った時のこと、「私どもは死んで地獄へ行く。そこで閻魔がお前は娑婆で何宗だと聞
く。日蓮宗だと日蓮宗でございます。では仏前で何と唱えた。南無妙法蓮華経、南無
妙法蓮華経。通れと言う。門徒宗ならば即座に門徒宗でございます。南無阿弥陀仏、
南無阿弥陀仏とやる。よろしいで、地獄の門を通って極楽行きじゃ。真言宗ならば南
無遍照金剛で通る。そこで禅宗のものがくると、お前は何宗じゃ。はい、私は禅宗で
ございます。その証拠は何じゃ。無と言うじゃろ。何じゃ、無か、それじゃ通すことまかり
ならぬ、ということになる。では何と答えるか。南無甚深般若波羅蜜多というのじゃ。
ワシは檀家の者に、朝夕仏前に合掌して南無甚深般若波羅蜜多、南無甚深般若波羅
蜜多と唱える様に教化しているんじゃよ」と申されておられた。---仏教は般若でいくべ
きではないだろうか。---ただ私が禾山老師の提唱を聴いて今日まで強く頭に焼きつ
いていることは、禅は人間のすべての葛藤を描き、それを自己究明によって真理を説く
教えである。その人生観を植えつけていただいたことは、今日でも私の日常生活に生
かされている。(平櫛田中談 西山禾山 田鍋幸信編大西書店刊より)

郷里八幡浜市に西山禾山老師(1837〜1917)あり。幸いな事に西山禾山老師の禅に
接する機会に恵まれました。私も毎日「南無甚深般若波羅蜜多」を称名しています。ご
紹介します。http://www.aikido-yawatahama.jp/newpage64.htm

西山禾山老師(1837〜1917)
愛媛県八幡浜市穴井出身 江西山大法寺18代和尚 臨在宗師家
○法系:白隠禅師に発し、西山禾山老師は釈尊79代の法嗣であられる。
○代表的な教え:「南無甚深般若波羅蜜多」を信行する
西山禾山老師は「南無甚深般若波羅蜜多」の一句を創始しています。
『般若の法門』を高唱され、在家禅の修行方法を紹介しています。在家禅普及の先駆
者であります。

『般若の法門』は“甚深般若”で貫かれています。
佛法の究極を「南無甚深般若波羅蜜多」の一句に絞り、この一句において三昧発得す
ること(般若三昧)こそ仏道の要諦である。と『般若の法門』を高唱されています。
○般若三昧
至心帰命 常住三宝
一切障滅 速成正覚 (三返) 
南無甚深般若波羅蜜多 (七返 二十一返 或は無数返)

西山禾山老師は、宗教論や『金鞭指街』『臨済宗檀徒安心章』(1890/05/25出版)で
“甚深般若”を分かり易く説いています。「試に問ふ、若し死後空無ならば、本朝往古の
神乃至菅公其他下つて加藤或は和霊等のごとき皆死せし人なり。其空無なる者を祭
祀するは誠に徒事と云ふべし。又足下の厳父にせよ、死後空無ならば墓参も無用の
暇費へと云うべし。聞く処によれば、足下特に厳父の墓参せられたりと、之何の為な
るや」(宗教論より)「釈迦牟尼世尊は“甚深般若”を大悟する。横説竪説するも
“甚深般若”の一法を敷演するのみ。また、代々法を継承するもこの“甚深般若”なり」
「“甚深般若”は即ち是れ生佛一如の本体、吾人本有の真性なり。之に迷ふ者は永劫
に沈淪し之を悟る者は当処に解脱す。」(安心法語より)

私は、この力強い教えに“甚深般若”を直感しました。時を越えて西山禾山老師の
“甚深般若”に相見する思いです。「師があって道となる」「芸道は、良き師匠を持
つ事が大切である」との古語があります。道人は、「良き師、良き友、修業時代があ
る」ことで大成しています。西山禾山老師は、「右に毎巌、左に越渓」と良く話され
ていたと聞きます。偉大な二人の師を持つ西山禾山老師の禅は、筋金入りの道力、
法力であったと想察します。

参考図書:
西山禾山    田鍋幸信編大西書店刊
西山禾山    坂本石創著
仏教史余滴  笹尾哲雄著
鉄砲虫     にった浩著
禅門逸話選中 禅文化研究所編著
六祖壇経    中川孝著たちばな出版

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合気道は、“万有愛護の精神”で貫かれています。西山禾山老師の禅は、“甚深般若”
で貫かれています。開祖大先生語録には、「同根の意義を究める」「宇宙根源の気を
自得する」「真如愛護の実をあげる」等の禅味ある語録があります。
「天地同根」「万物一体」「見性悟道」---これは“禅”の世界観です。共に真理の
道であり、合い通づるものがあります。私は、幸運にも『般若の法門』から入る事が
出来ました。

佐柳孝一師範は、「年を取ると分かる事もある---」と諭して下さいました。身を以
って体験する年となって来ました。佐柳孝一師範は、「見性悟道の日々」を歩まれて
いたと思います。また、「万有愛護の精神」を鍛錬し、信行する道」を歩まれていたと
思います。私の“ふだんの行修”も「見性悟道の日々」とする事が出来るようになり
ました。うれしく思います。「見性悟道の日々」は楽しく、気持ちの良いものです。
“自性の座”から離れざる日々を送ることを誓いたい。2006/07/17
合気道八幡浜一当流道場 Aikido-Yawatahama 小清水孝

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「火と水の合気にくみし橋の上大海原にいける山彦」
「よろずすじ限り知られぬ合気道世を開くべく人の身魂に」
「奇びなる剣の道の御経綸熱も光のおのが心に」(道歌)

◆ 道文の研究Vol.1 「一を以て万に当たる道」

修業は、神人合一を目標とするものなり、---修業方法を一言すれば、武は体の変化
の極まりなき栄えの道なれば、一をもって万に当たる道、一より方法を生み開く草薙
の剣を練り、その責を完遂、達成せしむることにある。心は常に澄みきりし大空のご
とく、大海のごとく、また大山のごとく、また何事も忍ぶべからず。しかるときは最大、
最少のことも、すべて生かすべきものなり。
(開祖大先生語録)

合気道は、「万有愛護の精神」で貫かれています。
「一を以て万に当たる道」我が流儀を
「一当流」と称するを宣言しました。2006/01/17
佐柳孝一師範の伝える“合気道精神”と“修行の方法”が
「一当流」であります。
合気道の修行方法は、本より
「一当流」であり、神人合一を目標とします。
「一当流」は、「万有愛護の精神からなる本来の自分“甚深般若”を見性し、悟道
する道」であります。「万有愛護の精神を鍛錬し、信行する和合の道」であります。
「万有帰一の大精神を根底に、誠の修行の道」であります。
「一を以て万に当たるみそぎの道」であります。
合気道八幡浜一当流道場 Aikido-Yawatahama 小清水孝

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◆ シリーズ「生活の中の情味を味わう」Vol.3

諸芸道は、見性悟道により得た“甚深般若”を表現する場であると思います。学問
に、科学技術に、音楽に、芸術に、武道に「万有愛護の精神」---“甚深般若”---
「生佛一如の本体、吾人本有の真性」---「本来の自分」を表現したいものです。

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◆ 編集後記

2006/05/26 第44回全日本合気道演武大会に愛媛県合気道連盟(12名)は、初出場
しました。当会からも4名が出場です。郷里から何時かはこの日本武道館で演武をした
いものと思っていました。24年目に達成です。感慨深いものがあります。毎年の参加を
目標とします。遠藤征四郎師範、武田義信師範、安野正敏師範の演武は山口清吾師
範の道統を継ぐ以上の演武とうれしく思いました。自分の技量も確認しました。連盟の
方々との意義ある初出場を祝います。

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第4号目次予告 2007/01/17
◆ 山岡鉄舟の剣---「一刀正伝無刀流」
◆ 道文の研究Vol.2「心の宝」
◆ シリーズ「生活の中の情味を味わう」Vol.4

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○タイトルAikido-Yawatahama
「一当流」「ふだんの記」(マガジンID:0000179313)
(年2回1月と7月 17日発行)
○発行責任者:合気道八幡浜一当流道場 Aikido-Yawatahama 小清水孝
〒796-8007愛媛県八幡浜市八代53-5  TEL.FAX0894-23-2803
○ホームページ:http://www.dokidoki.ne.jp/home2/kosimizu/
○発行システム:『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/ を利用して発行しています。
解除は http://www.mag2.com/m/0000179313.htmからできます。
○無断転用・複製を禁じます。
○ご意見ご質問は、kosimizu@dokidoki.ne.jpまでお寄せ下さい。