1.はじめに (1)CATVインターネットを利用しよう
インターネットを利用する上でNTT回線を使用することが一般的ですが、
回線使用料が高い。
回線速度が遅い。
特に、テレホーダイ時間帯になると、極端に遅くなり、場合によっては、ダイアルアップがつながりにくくなることがある。などの不満を持っておられる方が多いと思います。
しかし最近では、CATV(ケーブルテレビ)の回線を使用したインターネット接続サービスを利用することによって、これらの不満を解消し、快適なインターネット利用が可能になってきています。
四国においても、いくつかのCATV会社が99年度になって、あいついでインターネット接続サービスを始めました。
私の自宅で利用している高松ケーブルテレビ(CMS: http://www.netwave.or.jp/~cms/ )では、この10月からサービス開始になりましたので、早速利用することにしました。
以下では、私の経験等を通しててみたCATVインターネット利用の実際について述べてみたいと思います。
若干、独断と偏見が含まれるかもしれませんが、そこのところはご了承下さい。
ご意見、感想等がありましたら、是非メール等にてお知らせいただければ幸いです。
(2)CATVインターネット接続って、何?
CATVとは、もともと同軸ケーブルや光ファイバーケーブルをCATV局から各家庭までを接続することにより、地上波TVを含む多チャンネル(50〜100チャンネル)映像を届けるサービスとして利用されてきました。
このため、CATVでは広い帯域の信号(主にセンターからの下り)をやりとりすることが可能です。
CATVインターネット接続は、このCATV回線の空きチャンネルを利用して、インターネット接続のためのデータ通信を行うものです。
CATVインターネット接続図
(お詫び)
前回アップしていた図が誤っていました。
正しくは、上図のように、保安器からケーブルモデムまで、別途インターネット通信用の同軸ケーブルを配線します。
CATVインターネット接続の特長は、
高速回線
電話代不要
常時接続可能
なことです。
とくに、インターネットの利用が仕事や趣味の上で日常的になってきている今日では、非常に魅力的なものになります。
電話代不要なことは、上記接続図で分かるとおり、いままでのNTT回線を全く使用しないので当然の結果です。
高速回線と常時接続可能の2点については、以下で少し補足説明をしておきましょう。
(参考)CATV Internet Guide: http://www.kmn.co.jp/catv_guide/
(3)CATVインターネットの回線速度
(CATV回線)
CATV回線を利用してインターネット接続を行うためには「双方向通信」が必要なので、上り、下りそれぞれにテレビ1チャンネル分の帯域(約30Mbps)を使用し、接続ユーザで共用することになっています。
CATV回線は、下り回線は映像伝送のため大容量だが、上りは家庭設置のホームターミナル監視のために使用するくらいなので小容量という特徴があります。
幸いなことに、インターネット利用の場合も、下りはインターネットからの情報を見るために多くの情報量を必要としますが、上りは必要情報を要求するための少ないデータを通信することが多いので、あまり影響はありません。
CATVインターネットでは、一般的にLAN接続といわれるネットワーク形態になり、電話回線利用のときのモデム(ISDNではTA)の替わりにケーブルモデムと呼ばれる装置を使用します。
このケーブルモデムは、まだ需要量が少ないために高価(7、8万円程度)なもので、また通信方法を統一するために、CATV会社からレンタル(サービス料金に含まれる)されることが多いようです。
現在ケーブルモデムには、対称型と非対称型の2つの方式があり、CMSでは、このうちの非対称型のケーブルモデム(COM21)を使用しているようです。
非対称型は、CATVのセンターモデムとユーザーのケーブルモデムとがデータの授受を行う仕組みで、下りはノイズが少ないため64QAM変調方式で約30Mbpsの伝送路を1チャンネル設定し、上りはノイズに強いQPSK変調方式で(64〜128kbps)の伝送路を50〜100チャンネル(合計約10Mbps)のが一般的のようです。
このため、同時接続できるユーザ数は、この上り伝送路のチャンネル数で上限が設定されます。CMSの個人向けサービスであるケーヴィー150では、下り150Kbps、上り64Kbpsに設定しているようです。
ただし、以上はあくまでもCATV回線のスピードなので、あくまでも上限速度と考えるべきです。実際やりとりするデータの通信速度は、CATV会社がバックボーンとするプロバイダ(CMSではSTNetのSTCNを利用)との回線速度やインターネット上の通信トラフィックによって状況が変わりますが、これを下回ることになるので注意が必要です。
(ケーブルモデムとパソコン間のインターフェイス速度)
ケーブルモデムとパソコン間は、LAN接続なので10Mbpsとなりますので、電話回線利用の場合のシリアル接続(RS-232Cインターフェイス)のように約115Kbpsに比べはるかに高速となります。
といっても、前述のごとくCATV回線が最大150Kbpsあるいは64Kbpsなので、パソコンに接続するLANボード等を100Mbps対応のものにしても意味はありません。
(4)常時接続とは
CATVインターネット接続では、センター側が常にユーザ側のケーブルモデムを監視しています(従ってケーブルモデムの電源は常時オンにしておくことが望ましい)。
パソコンの電源が入れられた時点でIPアドレス(インターネット上のアドレス)が割り振られ、パソコンが立ち上がっている間、常時インターネットに接続されています。
(IPアドレスは、CMSでは動的に割り振られるので固定ではありません)従って、電話回線利用のように、インターネット接続する毎にダイアルアップ接続という操作は不要となり、インターネットへ接続するということをとくに意識する必要はありませんので、快適にインターネットを利用することができます。
(ユーザ側で必要なもの)
さて、CATVインターネットを利用するためにユーザ側で必要なものは、
保安器からケーブルモデムまでの屋内配線
パソコンに接続するためのLANボード(デスクトップ型パソコン)またはLANカード(ノート型パソコン)および10Base-Tケーブル(ストレート)
になります。
屋内配線は、CATV会社指定の業者が敷設してくれますが、とくに注意が必要なのは、映像受信のときに敷設した既存配線とは別に保安器からケーブルモデムまで引き回すことです。
私の場合、自宅が最近新築したばかりで映像のための配線は考慮していたのですが、インターネット用にもう一本配線が必要とは思っていなかったために苦労しました。これについては、次項で説明します。
(ちなみに、工事料金はユーザ側の状況によって異なるようですが、私の場合最低料金の1万円でした。)
LANボードは、デスクトップの場合、PCIバス用とISAバス用がありますが、高速かつWindows95のIRQを余分に必要としないPCIバス用の方が最近では一般的です。ちなみに、私が購入したのは、メルコ社製のLGY-PCI-TRで、イーサネットケーブルを含めて2000円強で済みました。
(屋内配線へと続く)