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2004.1.25


旅行と同時に、工藤、理沙の披露宴会場の件について、急速に話が進んでいた。伊藤を中心とする、雷神連合が各方面に声を掛けて、有力候補として、南港で大型トレーラーを会場とするプランで、一斉にバイクがそれを囲むと言うものであった。ピリピリとしていたのが、梅沢と言う交通機動隊の指揮部長で、警戒を強めていた。2代目雷神連合と言う大きな組織が誕生して、以前のような抗争は少なくなっては居たが、彼等は、所詮暴走族と言う反社会的な集団でしかない。そんなお祭りのような大集結は、周辺住民とのいざかいや、事件等トラブルの原因。この頃米次は親友の為に、血眼になって、奔走していた。イベント企画をHZKが受ける事となり、担当にイベント事業部の企画主任の貝原に相談をしていた。そこには、伊藤が来ていた。
「せやけど・・佐久間さん。俺等、純粋に初代と理沙さんの、晴れの門出を祝いたいんですわ。皆かてそうです。俺等がこうやって叉1つになれたんも、初代が、血を流して築いて来た、雷神の基礎があったからですわ。その初代に喜んで貰いたいんですわ」
「良く分かってるよ、伊藤君。今日、貝原を交機の梅沢さんの所へ行かせる。話をきちんとつけるつもりだが、バイクが無かったら祝えないもんでも無いだろう?」
「そら、そうです。けど、俺等はバイクの仲間ですねん。気持ちは分ってくれますやろ?」
米次はしばらく腕組みをしながら、考えていたが、
「・・それなら、こうしよう・・。これでどうだ?」
その米次の耳打ちで、伊藤が頷いた。
「・・それ・・面白いですねえ・・分りました。佐久間さんに、それならお任せしますわ」
こうやって、HZKが企画した南港でのトレーナー結婚式イベントは、マスコミでも取り上げられる事になり、話題を集めていた。
そんな中で、一人苦虫を噛み潰したような顔で、市村が、
「ふん・・・ちょっと変わった結婚式をやる言うたら、すぐマスコミが飛びついて来よる。佐久間っちゅうのはほんま、パフォーマンスばっかしよるわ」
蚊帳の外の市村には面白い筈も無い。そんな市村に多田が声を掛けた。
「担当!」
「おう・・多田か、どないした?」
「ちょっとお耳を・・」
多田は市村に耳打ちをした。
「そうか・・そら面白い。よっしゃ!かまへんで」
今度は、峰岸が鈴木と喫茶店で談笑している。
「佐久間担当って、暴走族とも付き合いがあるって噂になってるよ」
「ああ・・イベントの事かあ」
「そう。ちょっと問題なんや無いか?」
「問題?・・どう言う?」
鈴木は峰岸に問いただした。
「そやって、次期社長に有力視されてる人物が、暴力団とも関係があるかも知れない、暴走族と友達なんちゅうのは、スキャンダルにならへんかって事や」
「成る程ねえ・・・」
鈴木は頷いた。