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2004.3.20


羽崎元社長、現HZK相談役が後見となって、佐久間修治と、新田恵利の挙式が行われた。その席上に現れたのは、修治が心の師と仰ぐ憧れの競翔家、川上真二氏であった。修治の感激は言うまでも無い。
「ようおいで下さいました。ご無沙汰致しております」
新川氏が、お互い白くなった髪の事を言いながら、旧交を温めていた。
川上氏は新川氏に深く感謝し、新川氏も川上氏の手を強く握った。互いの握り合う手には温かいものが流れ、涙も零れた。
修治が川上氏に歩み寄った。
「ようこそ、遠い所をお忙しい中、自分達の結婚披露宴においで下さいまして、有難う御座います。お目に掛かれて、もう感無量です」
大粒の涙を零しながら、修治が川上氏に礼をする。恵利も傍らで、同じく深く頭を下げた。
「本日はおめでとう御座います。お若い人だが、聞けば、新川家具の伝統を引き継ぐ職人さんと聞き及びます。又競翔も楽しまれていると言う事ですね。どうか、お二人のこれからの人生を楽しみ、競翔を楽しまれて下さい」
「有難う御座います。手記を読ませて頂くうちに、自分の生きて来た無毛な人生を顧み、目からうろこが落ちました。涙が止まりませんでした。自分も鳩を愛する気持ちを忘れず、生涯の中で、白川系、香月系を目指したいと思います」
「良い目をしている・・貴方のご活躍が見えるようです」
川上氏は、おじぎをすると、新川氏、羽崎会長、米次と歓談に戻った。
「ほら・・修君。皆さんが待ってはる。他の方にもご挨拶を」
恵利が言う。
「お・・そやった」
2人は、祝いに駆け付けた友人、知人に礼の挨拶を交わしていた。

決して、この結婚が順風満帆だった訳では無い、新田氏の猛反対にも合った。友人である、千崎の事故死もあった。


人・・数々の出会いを繰り返し、喜怒哀楽を送る人生の中で、心揺るがす出会いが幾度あろうか。感動を覚えたその時の気持ちを人が生きて行く人生の中で、いつまで保ち続ける事が出来ようか。
ほんの一瞬の出会いが、不良少年から職人の人生へと。一冊の本が生きて行く指標となって・・
一羽の鳩がもたらす運命の出会い。皆さんの身近に、そんな出来事もあるのでは無いでしょうか。

彼は、今歩み始めました。

やがて、韓、佐久間鳩舎が関西の強豪となって、活躍する日は近いのです。


                       第2部 完
第2部の校正を4月一杯致します。この第2部は原稿用紙800枚ですが、大幅に削除してまとめました。校正して、文章のおかしい所、付け加える所を直しながら、第3部に続くまでしばらくお待ちくださいませ。第3部は、不可思議な世界へご案内致しますと共に、香月博士が登場致します。
又、幼い少年に秘められた不思議な力を紹介致します。