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2003.4.10日分

白川博士の話題を、何度も嬉しそうに頷き、聞く桑原教授。こうして、白川氏・桑原教授と言う関係が、桑原・香月と言う世代の関係となって、深く人生に影響する事となった。

第4編  チーム その@

香月と香織の持つ活動の一つ、坂上と、木村かずみの進めているボランティアサークルがある。既に幾つかの会合もやり、春想会のメンバーのうち、橋本京子、南田洋次、咲田瑞江、愛田雄司が加わって、他大学に通うメンバー達にも年明けから始動の声を掛けるつもりであった。愛田の勤める新聞社にも働きかけ、チャリティー活動を呼びかけている際中でもある。南田は、空手道場の仲間に呼びかけ、積極的な活動を展開している。この集まりは、各地に支部が出来る程の大きな会になりつつあって、勿論その中で中心的な役割を担っているのは香月であり、坂上達であった。
この日もアルバイトを終えた、香月、香織の二人は、市内の集会場所である、文化会館の一室に向かっていた。
到着すると、既に常連のメンバー50名を数え、140名もの大きな組織作りがテーマと成るほどの盛り上がりだった。集まっているのは、支部長を中心とする幹部メンバー20名達で、実行委員長の坂上が議題を呈したのは、必然的な支部作りの事であった。
「・・と言う訳で、横島政雄さんに、第2支部をお任せしたいと思いますが」
横島は香月達より一歳上になる、社会人の方で、福祉関係の仕事をされている。異議も無く、中心メンバーとして、横島も挨拶した。次に名前が上がったのは30過ぎだが、菊池吉郎と言う青年団の団長を務める方で、女性会員が急増したのも、この人が精力的に各方面に働きかけてくれたお陰だ。満場一致で決まった。
幾つかの問題点を解決し、一通りの人選の後、香月が司会を勤めた。
「えー、それでは、各支部長も決まった事で、本部とは別に幾つかの支部活動が役員会でも具体化している訳ですが、これは重要な議題だと思うのです。人数的には、現在140名、A支部が20名。B支部30名ですが、今後は、C支部やD支部と言った、活動拠点を広げる必要があります。現在小サークル活動として、C・D地区とも動いているだけですが、ここの地盤を強化して行く案をお願いしたいと思います」
指名して活動を依頼するより、A・B地区のようなリーダーシップのある人物が居る地域は別として、あくまで自発的な、活動目的。その為には、むしろ、意見を待つのが良いと香月は思った。少し沈黙があって、一人が手を上げた。それは南田であった。
「押忍!俺は、口は達者じゃないから、上手く言えませんが、現在空手道場には、10人程が活動に参加してくれています。咲田さんも、花屋を中心に善意の小箱を設置して頑張っています。俺は、時間にも都合がつけやすいし・・ここが地盤にはなりませんか?」
香月は、拍手しながら大きな声で言った。
「有難う!そう言う自発的な言葉を待っていたんだ。それが同級生であり、親友である、君が申し出てくれた事を嬉しく、頼もしく思うよ!」
全員から勿論拍手が沸いた。これは大きく、固い活動になって行くこれからの活動を予言させた。D地区には、今城俊夫氏と言う喫茶店主が名乗りをあげた、若い頃は政治活動家であったと言う雄弁で、博識で行動力ある方だ。年齢は最もこの中では高い46歳の人だ。こうして、基礎となる人材が固まり、いよいよ坂上が描いた、夢に向かって、大きな前進が始まろうとしていた。