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パイロンピッチ号BCP♀のモデルは、
2005/5/5/29中山鳩舎が御提供下さいました
浦部GN号BLKCW♂もモデルを探しています
2003.5.27日分

紫竜号はこの後一ヶ月間、大学の鳩舎内で加療。その後自鳩舎へ戻る事となる。
この間、春レースは終了した。CHレースは大混戦となったが、磯川のパイロン3世号が連合会優勝を飾り、見事な総合10位に。川上氏の白輝号が、総合13位、白翔号も総合23位。佐野のタンギ号が満一歳の若鳩ながら総合36位に入賞。期待のスプリント号であったが、少し体調を崩したか、それでも連合会5位、総合47位に入賞した。続くDCでは、小谷氏が連合会優勝、総合7位(小谷ビーン号)、浦部が2位、総合12位(浦部DC号)、高橋鳩舎総合20位、川上鳩舎総合36位、郡上鳩舎総合52位、67位、84位、98位と総合100以内に連合会でも相当数が入賞した。そして春のビッグイベント、GCHには、香月は3羽の鳩を参加。川上氏が総合4位に(白麗号)、香月が連合会2位、総合16位(メッシュ号)磯川が3位、総合28位(パイロンキュリー号)、高橋鳩舎が4位、総合47位、川上鳩舎5位、総合68位、渡部鳩舎6位、総合74位、磯川鳩舎7位、総合87位、郡上鳩舎8位、総合89位、桐生鳩舎9位、総合94位、川上鳩舎10位、総合98位と、これも素晴らしい成績を収めた。
そして、とうとうこの春も、最終レースGNを迎える事となり、香月は昨春の1000キロ記録鳩2羽と、GCH記録鳩の3羽を参加させた。参加数2万8863羽の選ばれた俊英の競翔鳩達は、悪条件のレースの中で、翌日帰還363羽と言う厳しい記録で、それでも、連合会1位〜3位までを郡上氏が独占、川上氏4位、磯川5位、浦部6位、郡上7位、川上8位、高橋9位、桐生10位となり、香月は3日目2羽を記録をした。郡上氏が総合2位(郡上GN号)、6位(郡上914号)、9位(郡上263号)川上氏が総合10位(白蘭号)磯川が総合16位(パイロンピッチ号)浦部が総合23位(浦部GN号)郡上氏総合30位、川上氏総合41位、桐生氏総合67位、その他にも郡上氏総合83位、高橋氏総合87位、川上氏、総合93位、郡上氏総合96位など総合100位内に大量入賞を果たした。こうしてこの年の春は終わった。香月の春はトラブルもあったが、やはり当たり配合と言う突出した鳩群は入賞を果たしたが、血統、系統と言う強みを持った鳩舎は圧倒的で、長距離になると、最終レースまで磯川、川上、郡上、高橋と言う強豪が上位に顔を揃えた。

この競翔後、香月自身の春は急転開を見せる事となり、慌しい日が過ぎて行く。

この年6月の後半・・
「よお、香月君!」
構内で笹本教授に呼び止められた香月であった。
「先だっては、お世話になりました」
「いやいや・・見事な手術だったね。処置が良かったから、あの鳩は助かったのだろう」
「恐れ入ります。慌てていて、十分な処置は取れませんでした」
「謙遜しなくて良いよ。私は正直に君の腕を認めているつもりだ。それより、君、英語はどうだね?」

質問の方向が読めなかったが、
「はあ・・高校卒業程度ですが」
「ふむ・・君・・これから忙しくなるよ。そっちの勉強が先だな」
「は・・?はあ・・」

その翌日の事であった。突如、獣医学部の受講生50名が小講堂に召集された。それは全く突然の事でもあった。
壇上で司会をするのは桑原教授であった。時期学長が確実視されている名誉教授だ。
「諸君、突然の召集で驚いたと思うが、今期学術論文提出について、教授会の推考を経て、再度、再々度に訂正、校正提出となった者も多いだろうが、本日発表を行う。名を呼ばれた者は前へ出なさい」
講堂内がざわざわとなった。論文は2月から、香月も3度の手直しをして、5月末にやっと完成提出した所だ。他の者も同様であった。
「静粛に。加えて言うが、この論文は、君達の進級テストも兼ねていて、最優秀論文に博士号の認定もある。この3年間、現役学生から博士号は出た事が無かったが、本年、2名の者について博士号が認定された事を報告・発表する」
おおーー!再び講堂内は騒然となった。
そして、真っ先に呼ばれたのは香月であった。
「香月一男君!」
「はい!」
騒然となった講堂内は静まりかえった。一番で呼ばれたのは、最年少である香月であったからだ。
「君の論文「動物生態学」「動物免疫学」共に優れた論文と認め、博士号を認定する」
おおーーー!どよめきと拍手が起る。香月は緊張しながら授賞した。
続いて、
「掛川四郎君!」
「は・・はい!」

掛川が選ばれた。香月は、一際大きな拍手をした。
「君の論文の「動物帰巣本能概論」が優れた論文と認め、博士号を認定する」
掛川も、香月と共に研究してきた2年間の努力が認められた。大きな拍手が沸いた。これによって、掛川は助教授となり、教授への道が開かれた事になる。親子2代の、S工大の教授になるのだ。香月と掛川は力強く握手を交わした。
その他3名が、特進と言う事となり、2回生の山田和弘が4回生となる特進、桑原チームでは3名が特進となった。白石五郎が3回生から修士課程2年への特進、山本俊二が、1回生から3回生へ。高山良行が4回生から助手として・・。
以上の6名が対象となった。香月は、S工大4年の学士課程をたった2年で修了し、修士課程、博士課程をも飛び越えた事になったのだ。笹本の忙しくなるぞと言った事は、この事でもあった。
香月は嬉しさも大きかったが、余りの急激な進展に当惑していた。今の現実が必死で、全くこの先の事を考えて無かった。4年間の中で、自分の進路を決めるつもりだったからだ。当然、修士課程に進むと言う漠然の進路が、唐突の現実となったのだから。
そして・・桑原教授に部屋へ呼ばれた香月であった。
「高い評価を受けたよ、君の論文。私のチームでの免疫学、笹本君のチームでの生態学。全く新しい視点の上での理論の構築だった。君はこれから忙しくなるぞ」
「でも・・いきなり助教授なんて、思っても見ませんでした。俺はまだ2年しか・・」
「若い、経験があるとか無いとかは関係が無いだろう。ただ、君の論文は英訳する事になる。一年間は修士課程に席を置いて完成させるんだね」

「は・・はい」
一年と言う助手兼、助教授兼、修士生としてS工大に通う事となった香月であった。それは周囲の誰もが、驚嘆するような大きな香月の人生での出来事であった。