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ハンク号 B♂のモデルを探しています
キング号RC♂のモデルを探しています
2003.6.5日分

久し振りに日下部ペットショップに立ち寄った香月であった。忙しそうに日下部氏が動いていた。
「よお!久しぶり!」
香月は論文提出があって、入院以来殆ど、ここでアルバイトはしていなかった。
「手伝いましょうか?」
「あ・・助かるよ、少しだけでも手伝って貰えるなら。君が居ないから、何で?どうして?って毎日来てくれてた女の子には聞かれるしさ。あはは。」
「あはは。でも嬉しいって言えば良いのかな?それって」
「ああ、香織嬢が居ない内にそう言っとけよ。あはは」

香月は2時間程飼料を出したり、店の応対をしたりと、やっと落ち着いた頃、敦美さんがコーヒーを容れて来てくれた。
「ご苦労様、助かったわ」
「敦美さん、何やら隣で片付けしてますが、何を作るんですか?」
「あら・・鋭いわね。片付けしてるだけで、そうくるなんて」
「本当に作るんだ・・で?何を?」
「託児所よ」
「ええっ?」

香月は敦美さんの顔を見た、日下部氏の顔も見た。
「聞かないんだよ。やると言って」
「その為に私は資格も取ったし、許可も貰ったわ。今更後戻り出来ないわよ」
「どうして叉・・?」

香月は、突然の敦美さんの言葉に少し驚いた。
「急に・・では、無いのよ。前々から思ってた事なの。動物が近くに居る保育園って、ナイスアイデアでしょ?」
「はあ・・それは、無認可保育所って事ですか?」
「ええそうよ。市に届けしてね。共働きの家庭が多いでしょ?朝から晩まで子供を預かるのよ。勿論規模は小さくて、私が管理出来る規模だけど」
「ちなみに、この店は?」
「夫がやるわ。勿論従業員も雇うけど」
「日下部さん・・大変じゃないですか?」
「大変だよ・・でも、しょうが無いよ。もう、春には出来ちゃうもん」
「敦美さん、保母さんが必要じゃないんですか?」
「だって、今からまだ運営なんてどうなるか分からないんですもん、当分一人でやるわよ、私」

その言葉の後少し沈黙があって、香月は、日下部氏を手招きした。
「日下部さん、例の件で、少し・・」
「あ・・ああ。そっちで話そうか」
「何よ、2人して私に内緒話?」
「済みません、鳩の事ですから」

香月は、敦美さんに頭を下げると、2階の屋上へ日下部氏と上がった。5坪もある大きな鳩舎がある。
「今は・・何を言っても無駄ですね、敦美さん」
「そうなんだ。でも、私達は子供が居ないだろう?分かるんだ、あいつの気持ちも」
「そう言う事なら、賛成しますよ。俺も」
「香織ちゃんには言わないでくれよ、香月君」
「何で?」
「短大を卒業し、今から教育実習を1年間やって、彼女が家内と一緒にやるなんて言い出したら、俺達や、家内が良くても、親御さんが納得しないよ。あいつもそれは流石に言い出さないと思うし、ひょっと耳にでも入ったら、香織ちゃんの事だ。手伝うなんて事にでもなったら困るよ」
「はあ・・。」

香月は、それ以上はもう言わなかった。しかし、黙ってて、いつまで香織に内緒に出来るかも疑問であった。
香織が教育実習から戻ってくれば、当然分かる事なのだから・・。香織は、2年後に一緒に手伝う事になるのだが・・
「ところでですね・・どうです?ステッケルボード系は」
「ああ、素晴らしいよ。今秋の100キロレースから500キロレースまで、パーフェクトだったよ。連合会参加レース全て優勝。流石に、合同杯の総合順位には届かなかったけど」
ヒロ号ハンク号との交配が上手く行ったようですね」
「ああ・・・流石に君の目は高い。どうするの?これから」
「まだ、2、3年先ですから。・・今度は
シルク号キング号を連れて来ます。春に間に合いますよね、今からなら」
「ああ・・そちらが、交配の本命主流だよね。今度は私も記録鳩を導入するよ」
「お願いします」

香月は、既にこの時ある計画に着手していた。それは、壮大な香月の計画の始まりでもあったのだ。
この後、香月は、悲願でもあったある人物と出会う事になる。それは人生を左右する大きな出会いであった。