君とどこまでも H.12.02.08
坊っちゃんとグレミオがグレッグミンスターに戻ってからというもの、人懐こい同盟軍のリーダーは何かと理由をつけては、坊っちゃんを迎えにくる。
同盟軍も大所帯になって、人手不足というわけでもないはずだ。
しかしあの真摯な目で訴えられれば、いやとは言いにくい。
彼の名は、カイル、と言った。 姓はない。
「いっしょに戦ってください。 お願いします、マクドールさん」
「カイル、またかよ」
こんなとき、坊っちゃんは、ちょっと憮然とした顔になる。
当然だろう、久しぶりに帰った故郷で落ち着くひまもなく、呼び出されては危険な仕事ばかりなのだから。
でも、そのたびに少しづつ元気を取り戻しているのを、グレミオはちゃんと知っている。
だから、ちょっと背中を押してやるのだった。
「坊っちゃん、遠いところをせっかく呼びに来てくださったんだから……ね?」
「む〜……しかたないなあ」
「カイルくん、坊っちゃんをよろしくお願いしますね」
「こんな子供に、よろしく、なんていうなよ〜」
「はい、まかせてください!」
はきはきと少年は答える。
「坊っちゃん、お気をつけて」
グレミオはこんなふうに、半分強がりでリアムを送り出してしまう。
クレオやパーンがいるので、二人のために料理することで気も紛れるのだが、リアムが何日も帰ってこないときなどは、夕餉のしたくの手を休め、夕焼け空を見上げては、
「今ごろ坊っちゃんは、どの空の下に…………」
とせつないため息の一つも出ようというものだ。
久しぶりに戻ってきた坊っちゃんは、疲れ果てていた。
そして、全部終わったよ、と言いながら手袋を取り、チェストの上に置いた。
ハイランドは滅び、ついに新同盟軍が勝利したのだ。
「坊っちゃん、手、青あざになってますね」
「……カイルのやつをぶん殴ってしまった」
「え!」
「城が崩れるかもしれないってのに、あいつときたら、やだ、ジョウイをさがす!だもんな。 まったく、人の命をなんだと思ってるんだか!」
「……それで、殴ったんですか?」
「そうさ、一発ぶっ飛ばして、引きずって帰った」
「あああ……かわいそうに。 カイルくん、顔、あざになってるでしょうね」
「ふん。 死ぬよりはましさ」
グレミオは、ちょっとリアムの顔をのぞきこんだ。
「坊っちゃんも大人げない……あんな子供相手に……」
「そうか?」
「そうですよ。 本当に、いつまでも子供っぽいんだから」
「むっ」
「ベッドの中では……私を抱くときは、オトナなのに」
リアムは、一瞬絶句した。 グレミオはさらにことばを重ねた。
「どんな大人よりも、大人なのにね……」
「ど、どうしたんだ。 いつからそんな、殺し文句を使うようになったんだ」
「こんなことばで殺されるなんて、やっぱり、まだ青いですね……」
リアムの目に、強い光が宿った。
先ほどまでの疲れたようすはどこへやら。
ぐいとお守のあごを捕らえ、白いうなじにくちびるを当てながらいわく、
「青くないってことをわからせてやるよ、グレミオ」
「ああ……坊っちゃん……うれしい……」
リアムに首筋を吸われて、グレミオはばら色のため息をついた。
「そんなに挑発すると本気にするぞ。 この家じゃイヤって言ってたのに、どうしたんだよ」
「もう、この際そんなこと言っていられません。 どんなに、どんなに、寂しかったか……」
「おれもだ、グレミオ……」
「思いきり泣かせてください、坊っちゃん」
「足腰立たないくらいかわいがってやる」
低い声で言うと、リアムは下半身をグレミオの太腿に押し付けてきた。
「あっあっ……すごい……坊っちゃん……もう、こんなに……!」
「本当、すごいっすねえ! オトナ、って感じですねえ」
振り向くと、かのデュナンの少年カイルが、おせんべい片手に、見物しているではないか。
「ひ!!」
「何なんだ、おまえ!」
「あ、ぼくにお気使いなく。 どんどん続けてください。お急ぎなんでしょ?」
そして、ぱりっとせんべいを噛み、気苦労のなさそうな笑みを浮かべる。
「あああ……何て子だろう。 かわいそうなんて言うんじゃなかった……」
グレミオはがっくりとベッドに腰を下ろした。
「ぼくも混ぜて。 じゃない、マクドールさん、一緒に来てください!」
「何言ってるんだ、もう敵なんかいないじゃないか!」
「まだジョウイがいるんだ。 これから約束の地に会いに行くんだ! だけど、恐くってひとりで行けないんだよ〜」(←情けない)
「当って砕けろ、カイル」
「それだけ?」
「そ。 それだけ。 じゃあな、リーダーさん。 こっちは取り込み中……」
すると新同盟軍のリーダーは、独り言のようにつぶやいた。。
「あ、そう、お取り込み中ですか。 じゃ、このことをクレオさんに報告してこようかな……」
「ぎゃっ、それだけはやめてください!私、半殺しにされます!」
「グ、グレミオ?」
「クレオさんだけには、どうか内緒に……」
二人の仲を、クレオに知られたら! 考えるだけでも恐ろしいことだ。
あんた大事なリアムさまに何すんのよ! とナイフを投げられるに違いない。
すると、坊っちゃんはあっさりと言った。
「でも、なあ、グレミオ。 もう、ばれてると思わないか?」
「そ、そ、そんな!」(←パニック状態)
「おまえの仲間はどうしたんだよ、カイル」
「誰も来てくれなかったんです……これからのことで忙しいみたいで。トップって、寂しいもんですね」
つぶらな目を潤ませるカイルに、リアムはいらだったようだ。
「ったく、情けない! 断る!」
「クレオさんは、どこかなあ」
うそぶきながら出ていこうとするカイルを、グレミオは懸命に引きとめた。
「も、もし、私でよければ付き添いますよ、カイルくん。……いいですか? 坊っちゃん」
「わ〜い、うれしいな。ありがとう、グレミオさん!(グレミオさんを犯すチャンスだ!)」
天使の微笑みの下に、ふとオオカミの存在を嗅ぎつけたか、リアムは叫んだ。
「だ、め、だ! こんな危ないヤツと二人きりなんて、とんでもない! おれが行く」
「やったあ。 行きましょう、マクドールさん。(二人っきりで迫ればきっとなびくな。腕力はぼくが上だもんな。ああしてこうして……よし、一発で決める!)」
グレミオはぞくっと悪寒がした。
「……坊っちゃん。 なんだか、すごくいやな感じがするから、私も行きます」
するとカイルの頬は、至福の桃色に染まった。
「さあ、行きましょう!!(ああ、憬れの3Pがぼくの目の前に!)」
かくして三人で、約束の峠へと向かったのだった。
END そして三人はロッカクでご休憩v……
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