第10回 塩江温泉アドベンチャーマラソン大会

〜 台風で中止に! 〜

それは9月26日の屋島一周クォーターマラソン大会の直後であった。
(幹事長)「いよいよ次は、一年で一番楽しみにしている塩江山岳マラソンやなあ」
(中山)「もう僕は、あのレースはこりごりですよ。よくもまあ、あんなのに出続けますねえ」
(幹事長)「何を言うか。6年前のレースでビリから6番目という栄誉を勝ち取ったレースやないか」
(中山)「あの時は、幹事長だってビリから12番目だったんですから、偉そうに言わんとって下さい。とにかく、もう、あの厳しいレースはこりごりですよ」
(幹事長)「そうかあ。ますます参加者が減るなあ」

僕は近年、
塩江マラソンの厳しいコースが快感になり、年間で一番、楽しみなレースになってしまったけど、世間の評価は正反対だ。始まったばかりの頃は千人近く参加者がいたように思うけど、最近は厳しいコースのため参加者が激減し、存続さえ危ぶまれるような悲惨な状況だ。わがペンギンズも、当初は10人近い参加者がいたときもあったが、最近は参加者が極めて少ないのだ。
(幹事長)「コースが厳しいから、完走だけが目標となり、へたにタイムとか順位とか気にしないから、かえって気楽に走れるんやけどなあ。僕のほかは誰が出るんかなあ」
(石材店)「僕は大事なテニス大会があって出られないんですよ」
(幹事長)「子供のピアノ発表会や運動会は犠牲にするのに、テニス大会には負けてしまうのか。優先順位が分からん」
(石材店)「事務局長のF川さんに聞いてみましょう」
(幹事長)「今年は誰がエントリーしてるん?」
(F川)「はっ?そう言えばぁ、どうだったかなあ・・・?」
(幹事長)「お前が申し込みしているんだから、覚えとるやろ?」
(F川)「いやあ、そのう、思い出せませんねえ」
(幹事長)「名前くらい覚えておけよ」
(F川)「いやあ、そういうことじゃなくて、
申し込みした記憶が無いですねえ・・・」
(幹事長)「なんとかーーーーーっっっ!!!!」
信じられないことに、F川は、申し込みを忘れていたのだっ!
事務局長として、こなな事が許されるのかっ!
考えられない。あり得ない。許せないっ!
(幹事長)「お前、事務局長はクビじゃーっ!!」
(F川)「おっ。らっきーっ」
(幹事長)「いや、もとい。もう一生、事務局長じゃ!」

申込の締切は8月20日。もう1ヵ月以上も前の事だ。がーん。
もちろん、すっかり
F川に任せっきりだった僕も反省しなければならない。そもそも、最近のF川は、常にレースをサボろうサボろうと言い訳を虎視眈々と探しているような有様なので、自ら進んで申し込みをするはずが無いのだ。僕がきちんと命令しない限り、F川は動かないのだ。それなのに、なんとなく任せっきりにしてしまったのだ。
(幹事長)「あーん。どうしよう。こんなに楽しみにしていたのにぃ!」
(F川)「そんなに楽しみなんやったら、自分でエントリーして下さいよ」
(幹事長)「えーん、えーん、しくしくしく」


しかし、ここで、石材店が画期的な事を言う。
(石材店)「でも、塩江マラソンは小規模だし、運営もかなりザッとしてますから、今からでもなんとかなるんじゃないですか」
(幹事長)「ふむ。確かに。参加者激減で存続すら危ぶまれているレースだ。いくら期限を過ぎたからって、来る者を拒むとは思えんのう」

てな事で、さっそく事務局に電話する。
(幹事長)「もしもし」
(小娘)「はい。塩江温泉旅館組合です」
(幹事長)「あれっ?マラソン大会の事務局じゃないんですか?」
(小娘)「ええっと、はい、そうですね」
なんやら、かなりええ加減な雰囲気。
(幹事長)「あのう、マラソン大会の申し込みなんですけど、出すのを忘れてまして、もう期限は過ぎてますけど、まだ良いですよねえ?」
(小娘)「えっ?いや、あの、駄目なんですよう」
(幹事長)「まあ、そう言わず、そこを何とか」
(小娘)「何があっても駄目なんですよ」
(幹事長)「何があっても駄目だなんて、なんでですか?」
(小娘)「
何があっても駄目って言えって言われてるんですよう」
なんのこっちゃ。子供の使いみたいなお姉ちゃんだ。
で、その責任者の電話番号を聞き、電話する。
(幹事長)「もしもし」
(おやじ)「はいはい○○製材ですが」
(幹事長)「へっ?あのう、塩江マラソン大会の事なんですけど」
(おやじ)「ああ、はいはい。何ですか?」
(幹事長)「実は申し込みするの忘れてまして、今からでも大丈夫ですか?」
(おやじ)「いやあ、もう、いかんで」
(幹事長)「そこを何とか・・・」
(おやじ)「もうパンフレットとか印刷してしもとるから遅いわ」
(幹事長)「パンフレットに名前なんか載らんでもええから。当日受付とか無いんですか?」
(おやじ)「いやあ、そういうのは無いんや。せやけど、
走りたいんやったら、走ってくれてもええんで
(幹事長)「へっ?ゼッケン無しで?」
(おやじ)「かまんかまん。その代わり事故があっても責任は持てんけどな」

どうせ正規に申し込んでいたって、事故があった時の責任なんて自己責任になるんやから、そんなんは関係ないぞ。てことは、出られるわけか?
(幹事長)「ほんまに、勝手に走ってもええんですか?」
(おやじ)「かまへんかまへん。走ってや」

そうか。勝手に走ってもええんか。普通のレースやったら、ちゃんと申し込んでない人が走るのは禁止されているけど、さすがにザッとしたレースなので、OKなのか。ふうん。そうか。
(石材店)「て事は、タダで出られるわけですねえ」
(幹事長)「うん。ほんとやったら3000円かかるところが、タダや」
(石材店)「なんとなく、うまい話ですねえ」
(幹事長)「そうなんや。ザッとしたレースやから、正規に申し込みしてても、ちゃんとした記録表をくれる訳でもないし。
       そもそも、この厳しいレースでは、タイムは度外視しているし。
       記念品のTシャツやタオルは腐るほどもらっているし。
正規に申し込みするメリットが無い
(石材店)「それなら、これから、このレースは正規に申し込みせずに、飛び入り参加でいきますか?」
(幹事長)「うん。それなら、当日、雨が降ったら、あっさりと不参加にできるしなあ」
(F川)「ええですねえ。今後は、ぜひ、そうしましょうよ!」
(幹事長)「いや、いかんいかん。そなな事をしたら、サボりの歯止めが無くなってしまう。
       申し込みしているから、もったいないから、サボりたい気持ちにうち勝って出場しているのに、申し込みしてなかったら、
       何の歯止めもなく、ちょっと体調が悪いとか、ちょっとした用事があるとかで、すぐサボってしまう。特にF川!
(F川)「ちぇっ」
(幹事長)「申し込みを忘れた罰として、F川も当日の飛び入り参加を命令する!」
(F川)「げげげげげーーっっ!!」

ところーがっ!せっかく出場の目処が立ったのに、台風による土砂崩れでコースが走れなくなり、あえなく中止となってしまったのだ。
今年はとにかく次から次へと台風が四国にやってきた。台風によって被害の状況は異なり、一番大騒ぎになったのは、台風直撃と大潮が重なった16号で、この時は高松を始め、沿岸部が海水で水浸しになり、ものすごい被害が出た。しかし、山岳地帯の塩江が大被害を受けたのは、豪雨をもたらした23号だ。ものすごい雨により、あちこちで土砂崩れが起こり、道路が寸断されたのだが、塩江マラソンのコースは、急峻な山をぬって上る山道なので、大きな被害が出ても不思議はない。
実は、塩江マラソンは7年前にも台風による土砂崩れでコースが使えなくなった。でも、その時は、準備期間があったので、急遽コースを変更して開催された。しかし、今回の台風はレースの僅か10日前だったので、対応が間に合わなかったらしい。非常に残念。

(幹事長)「なんとまあ、二転三転したけど、やっぱり今年の塩江マラソンには縁がなかったのかなあ」
(石材店)「F川さんは満面の笑みですね」
(F川)「いやあ、ほんっとに残念でたまりませんねえ。このレースのために屋島一周マラソンも欠場してトレーニングに励んできたと言うのに。
     いやあ、まったくもって残念ですぅ」


てなわけで、F川の高笑いを聞きながら、ガックリ肩すかしの塩江マラソンでしたが、ここでくじけずにトレーニングに精進しましょう!


〜おしまい〜




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