第9回 国営讃岐まんのう公園リレーマラソン大会

〜 ゾウ坂出いきなりデビュー! 〜


今年も四電ペンギンズの初レースは、もちのろん、動物リレーだ。
2008年1月13日(日) 第9回国営讃岐まんのう公園リレーマラソン大会が開催されたのだ。

(石材店)「もちのろん、は死語ですよ」
(幹事長)「知ってるだけ偉い!
(石材店)「ところで、この日は3連休のど真ん中なんですよねえ」


そうなのだ。いつから成人の日が1月の第2月曜になったのか忘れたけど、まんのう公園リレーマラソン大会が3連休の真ん中になったのは初めてだ。3連休と言っても、正月が終わったばっかりで、特に遊びに行くイベントも乏しい我々にとっては、レース翌日が休日なので、むしろ嬉しいくらいなんだけど、若いギャルには致命的なのだ。

(石材店)「だからギャルも死語ですってば」

昨年のこのレースには、いきなり新人女子部員が4匹も一挙にデビューしたのだが、彼女たちは、揃いも揃って今年は出られないと言うのだ。

(ブタ2)「すみませーん。3連休でスノボーに行くんですぅ」
(ゾウ)「私もすみませーん。3連休で旅行に行くんですぅ」
(トラ)「私も3連休で麦踏みがあるんですぅ」
(ライオン)「私も田植えがあるんですぅ」
(幹事長)「えー加減な事をいうなーっ!」


かくして、せっかくの新人女子部員は4匹とも全滅となった。

(幹事長)「えーんえーん、しくしくしく。新人女子部員が来ないとつまんないよ〜。えーんえーん」
(石材店)「まるで去年の庵治マラソン状態ですねえ。
       でも、ここだけの話ですが、坂出支部長が、またまたやってくれましたよ!」
(幹事長)「なにっ?」


支部長と言えば、去年、新人女子部員を強力な権限によってパワハラを駆使して強引に出場させた腕力が記憶に生々しい。その支部長が、また今年もやってくれたというのだ。

(幹事長)「で、今年は支部長は誰の餌食になったの?」
(石材店)「主語と目的語の関係がおかしいですが、なんと
ミス坂出です」
(幹事長)「なんとかーっ!」


という訳で、今年はミス坂出がいきなり四電ペンギンズ動物チームにデビューすることとなった。

(テニス君)「どういう訳か分かりませんがな」
(幹事長)「坂出支部長と言えば坂出の名士。またまたパワハラを駆使したって事よ」


実は、テニスも少々たしなむ支部長は、ミス坂出もテニスをするっていう話を聞いて、最初はテニスに誘おうと思ったらしい。ところが、ミス坂出のテニスの腕前がプロ級というのを聞いておじけづき、方針転換してマラソンに誘うこととなった。スポーツ万能のミス坂出は、数年前からマラソンも走っており、オリーブマラソンや瀬戸大橋駅伝などに出ているのだ。

(幹事長)「いやあ、支部長、よくやってくれたことであるぞ」
(支部長)「なんか、私が好き勝手やってるように書いてますが、しつこく誘え誘えと命令したんは幹事長やないですか」


いずれにせよ、今年もペンギンズの危機を救ってくれたのは支部長だ。支部長えらいっ!
で、ミス坂出には、今年はゾウになってもらうことにした。

(幹事長)「ネーミングは、ミスゾウでは意味不明だからゾウ坂出にしよう!」
(石材店)「それも意味不明ですってば」

ミス坂出 あらため ゾウ坂出


今年のメンバーは、ミス坂出あらためゾウ坂出レッサーパンダ(支部長)、(石材店)、クマ(テニス君)、トラ(矢野選手)、ペンギン君カッパの7匹だ。このうちゾウ坂出と馬以外は高松なので、車に乗り合わせていく。去年は心優しきピッグ増田選手がいたので、彼がみんなを連れて行ってくれたが、ピッグなきあと、我が儘な連中ばかりとなり、幹事長自らがハンドルを握る事となる。まずは、トラが私の自宅へ自転車でやってくる。人間の格好のままだ。

(カッパ)「おや?家を出る時からが運動会だと言ったはずだ。なぜ、ちゃんと動物の格好をしてこないのだ?」
(トラ)「足の短いトラで自転車はこげましぇーん」


トラを乗せてレッサーパンダを迎えにいく。彼のマンションの近くのホテルの前で待ち合わせだ。彼もまた、普段の支部長の格好のままだった。

(レッサーパンダ)「ホテルの前でレッサーパンダの格好なんかしてたら、営業妨害かと思われますよ」
(カッパ)「そうかなあ。むしろ宣伝になると思うけどなあ」


次にペンギン君をコンビニで待ち合わせ。彼も普段着のままだ。

(カッパ)「なんだなんだ、みんな。やる気はあんのかっ!?」
(ペンギン)「い、いえ、やっぱり近所の目がありますんで」


しかし、クマさんだけは裏切らなかった。彼は防寒のために上にジャケットを羽織ってはいたものの、下半身はあからさまなクマの格好で待っていた。

(クマ)「とか何とか言いながら、なんで通り過ぎるんですかっ!」


車内で、いかに支部長がゾウ坂出を口説き落としたかという話題で盛り上がってしまい、道路脇に独りたたずんで待っていたクマさんをつい見落としてしまったのだ。えらく大回りして待たせてしまった。

(カッパ)「いやあ、すまんすまん。あまりにも田園風景にクマが自然に溶け込んでいたもので」

5匹揃ったところで、一路、まんのう公園に向かう。ゾウ坂出とは、公園の入り口で待ち合わせだ。しばらく待っていると、ちょっと車体を低くした怪しいスポーツワゴンでゾウ坂出が登場した。もしかして、ちょっと怖いおねえさんが出てきたら、どうしようと思っていたら、とても気さくで優しいおねえさんだった。

会場へ向かうと、馬が早くも一番乗りで場所取りして待ってくれていた。

他のメンバーも動物に着替え始める。ゾウ坂出のゾウは、かつてF川選手が全盛期の頃愛用していたゾウだ。

(ゾウ)「これって、思った以上に走りにくそうですね」
(カッパ)「F川に合わせて足を短くしてあるからなあ」


ペンギン君はマイペンギンのほか、去年と同じく支部長のためにレッサーパンダを持ってきてくれた。

あとの2匹は、というと?

(カッパ)「おや?そのトラは、まさか、仕出屋のいとはんのトラでは?」
(トラ)「へっへっへ、旦那よく気づきましたな」
(カッパ)「それに、そのクマは、まさか2年前にYOUちゃんが来ていたクマでは?」
(クマ)「ふぉっふぉっふぉ、その通り。どーです。羨ましいでしょ」


思わず2匹とも川に引きずり込んでやろうかと思ったけど、猛獣には負けそうなので、耐える。

数日前の天気予報では、今日は冷たい雨が降るって言ってたけど、雨は前日で上がり、今日は朝から良い天気。気温は低いはずなんだけど、直射日光を浴びるとポカポカする。
まずはみんな揃って記念写真だ。

やる気あふれるレース前


ふと横を見ると、漆原選手がいる。彼は去年2月の丸亀マラソンでデビューして好記録をマークし、将来が嘱望されたのだが、その直後に池田に転勤になってしまったのだ。

(カッパ)「あれ、どしたん?池田支店のチームで出るの?」
(漆原)「いや、池田支店の連中はプロ級で速すぎるんで僕は遠慮して、本店の広報部チームに紛れ込んでるんですよ」
(カッパ)「チーム名はなんていうの?」
(漆原)「四国電力広報部です」
(カッパ)「そのままやんかーっ!少しは、ひねらんかいっ」


広報部チームと言えば、ペンギンズの二卵性双生児チームだ。2年前に、ペンギンズから謀反を起こした笹谷選手が支部長も道連れにして結成した別働隊チームだ。女性ランナーがいないため、支部長は僅か1年でペンギンズに復帰したが、それをあざ笑うかのごとく、今回は、漆原選手のほか、なんと新サル1号がペンギンズを裏切って広報部チームから出ているのだ。

(カッパ)「でも今日はチャーミーモンキーじゃないの?」
(サル1号)「今日は人間の格好で10分の壁を切るんです!」


彼女は、これまで1周10分1秒の記録と10分2秒の記録はあるが、どうしても10分の壁が切れなかったのだ。今年はマジで記録を狙っているらしい。

(カッパ)「広報部キャプテンの笹谷選手が見あたらないけど?」
(サル1号)「笹谷さんは、今年は秘書チームから出ていますよ」


なんと、行く先々で新チームを結成する笹谷選手は、自分で作った広報部チームを見捨てて、今年は新たに秘書チームを作ったのだ。

(カッパ)「秘書なんかで、よくメンバーが揃ったなあ」
(笹谷)「いや、やっぱりメンバーが足りずに土木建築部との合同チームにしたんですよ。
     チーム名は四電秘書・土建連合で出ています」
(カッパ)「あまりにも、ひねりの無いチーム名やなあ」


土建連合というからには、当然のごとく私が敬愛する佐伯先輩も出ている。

(カッパ)「土木系の人は、いつも四電技術コンサルタントチームから大量に出てたんじゃないですか?」
(佐伯)「つい秘書という名前に釣られてしまってなあ」


もちろん、四電技術コンサルタントは今年も出ている。そのほか四電ビジネスチームや四国計測チームも出ている。

(カッパ)「なんだか知った顔がいっぱい出ているなあ。これも全て我がペンギンズの活躍のおかげ?」
(佐伯)「まったく無関係やろな。今年は参加チームが多くて260チームを超えてるよ」


このレースは、なだらかな公園の丘陵地の1周2kmのコースを全部で21周してフルマラソンの42.195kmを走るというレースだ。1周2kmなので距離は大したことはないが、短いだけにペースが速く、おまけに坂もあるのでレースの組み立てが非常に重要になる。そこで初参加のゾウ坂出とクマを連れてウォーミングアップ代わりに軽く1周する。これまで「ウォーミングアップは無駄な体力の浪費になる」と断固拒否してきたレッサーパンダも、今年は心を入れ替えて珍しく一緒に走る。
ゾウ坂出は、ゾウの衣裳が見た目以上に走りにくい事に気づき、かなり焦りの表情が出てきた。

(ゾウ)「全然、足が開きませんよ。厳しいなあ」
(カッパ)「条件はみんな一緒じゃ。文句を言うでない」
(クマ)「一緒じゃないですよ。明らかにカッパだけは走り易そうですよ」
(カッパ)「どうしても走りにくいというのなら、走りやすいピチピチ全身タイツのサル2号もあるけど、
       その代わり、これは恥ずかしいよう?」
(ゾウ)「ゾウで良いですっ!」


1周走り終えると、休む間もなくスタート時刻が近づいてきたため、走る順番を決めなくてはならない。誰が何周走っても構わないため、例年、誰がどういう順番で何周走るか揉める。

(カッパ)「あー、こほん。走る順番を決めたいと思うが、今年は久しぶりにジャンケン方式を復活させたいと思う」
(馬)「毎年ジャンケンで決めてるじゃないですか」
(カッパ)「ちっちっち。いつもは、1人何周走るか決めたうえで単に順番を決めているだけだ。
       本当のジャンケン方式ってのは、毎回毎回、次に誰が走るかサバイバル的に決めるのだ」


このジャンケン方式は2001年の第2回大会で採用したのが最初で最後だ。みんなの利害と欲望が絡み合い、人間関係が極度に悪化するため開けてはならないパンドラの箱なのだ。

(トラ)「2周続けて走る事もあるんですか?」
(カッパ)「いや、誰かが走っている間に次のランナーを決めるから、連続で走るケースはない。
       最悪でも1周ごとだから、最長で11周22kmじゃ。ハーフマラソンだと思えば軽いものよ」
(馬)「それは、ちょっと過激なので止めましょうよ」
(クマ)「運が悪いと悲惨な事になりますよねえ」
(トラ)「膝がまだ回復しきってないし」
(ペンギン)「最近、練習不足だし」
(レッサーパンダ)「体がもちましぇーん」
(ゾウ)「人間関係が悪くなりますよねえ」
(カッパ)「じゃ全員賛成ということで」


こうして、久しぶりのジャンケン方式が、衆院本会議で3分の2以上の圧倒的多数で再可決され、採用される事となった。まずは一番重要な第一走者を決めるジャンケンだ。最初は緊張して始めたジャンケンだが、7人でジャンケンするので、なかなか勝敗が付かない。緊張感が薄れかけた頃に、いきなり3人が負けた。カッパと馬とゾウ坂出だ。

(カッパ)「がーん。やっぱりジャンケン方式は止めようか?」
(レッサーパンダ)「もう遅い!」
(ゾウ)「もう何がなんだか」
(馬)「最初だけは勘弁して欲しいなあ」


例年ならやる気満々の馬だが、今年は少し様相が異なる。実は明け方近くまで宴会で飲み続けていたのだ。酒臭い息を吐きながら気分が悪そうだ。なので、第一走者だけはマジで避けたがっている。かと言って、初参加のゾウ坂出に、いきなり第一走者をやれと言うのは酷すぎる。もちろん、かと言って、私は、自ら進んで第一走者を引き受けるような男では、決して、ない。いきなり初戦からこんな袋小路に追い込まれるとは思ってなかった。トラかクマかペンギンが「じゃあ僕が引き受けましょう」って言ってくれないか期待して様子を伺ってみたが、みんな知らんぷりだ。仕方ない。やるしかない。再び何回かあいこの後、ゾウ坂出が勝ち抜けた。初参加のゾウ坂出が重責から解放されたのは喜ばしいが、個人的にはますます危機的状況となった。確率は1/2だ。しかも相手はお互いの手の内を熟知した馬だ。彼の考えは手に取るように分かる。しかし私の考えも彼には手に取るように分かるようだ。一対一の対決なのに、何度も何度もあいこが続き、なかなか勝負が付かない。しかし、遂に勝負がついた。

(カッパ)「やったーっ!勝ったぞーっ!」
(馬)「がーん」


かくして、酒臭い息のまま、馬が第一走者となった。普段ならやる気満々の馬は前の方からスタートするのだけど、今年は控えめに後ろの方からスタートする。

(ペンギン)「大丈夫ですかねえ?」
(カッパ)「1周走ればアルコールも抜けるんじゃない?」


馬が重い体に自ら鞭を入れながらスタートしたので、次の走者を決めるジャンケンをする。

(レッサーパンダ)「あれ?さっきのジャンケンの順番で、2番目はカッパで、3番目がゾウじゃないの?」
(カッパ)「根本的にルールを理解してないようだね。そんな事じゃパンダになれないよ」


ジャンケンは毎回ゼロベースで仕切りなおしするのだ。1人減ったとは言え、6人でのジャンケンは、なかなか決着が付かない。しかし、私の手の内を知っている馬がいないため、私は負ける気がしない。案の定、早々に勝ち抜けた私が見守る中、次の走者はレッサーパンダになった。

(レッサーパンダ)「ひえ〜。いきなり2番目ですか!」
(カッパ)「今年の目標は?」
(レッサーパンダ)「今年は9分を切りたいですねえ」


去年は、レッサーパンダとカッパは、2匹とも9分を切るのを目標にしながら惨敗し、僅か2周で揃って討ち死にした。その反省もあり、レースの組み立てに余念の無い2匹だったが、いざ馬からタスキを受け取ると、ゾウ坂出に恥ずかしい姿は見せられないとばかり、レッサーパンダは最初から全力で走り始めた。

走り終えてゼイゼイ言っている馬を強制的に参加させて、第3走者を決めるジャンケンが始まった。馬の思考能力は極端に弱っていたが、最悪の結果は避けられ、次はトラとなった。トラは走る気満々なので、文句はない。

(クマ)「どうせなら、走りたい人に次々と走ってもらうってのはどうですか?」
(カッパ)「あー、君は、何か根本的な勘違いをしているようだね。走りたい人を走らせず、
       走りたくない人を走らせるのが面白いんじゃないかな」


全力でスタートしたレッサーパンダは、さすがに後半はバテたらしく、かなり足がもつれた状態で帰ってきたが、それでもタイムは9分13秒と、なかなか良かった。目標の8分台は惜しくも逃したが、前半の貯金がきいたようだ。

(カッパ)「9分は切れなかったとは言え、いきなり好タイムやねえ」
(レッサーパンダ)「ま、1周目としては上等じゃないですか。この後は8分台を出しますよ」


次の走者を決めるジャンケンをしようという時になって、誰かが「最初の一巡くらいは全員が走るように順番を決めておきましょうよ」なんて、ジャンケン方式の趣旨をはき違えた提案をした。

(カッパ)「誰だ?そんな悪平等論を唱えるのは!」
(馬)「誰か知りませんが、僕は賛成ですね」
(ペンギン)「私も賛成ですよ」
(ゾウ)「私も賛成です」
(レッサーパンダ)「わたしもわたしも」


てなわけで、最初の一巡は全員が1周ずつ走る事が多数決で決まってしまった。

(カッパ)「ちぇっ、つまんないの。今日は1周もせずに逃げられるかもしれないって期待したのに」
(クマ)「ほんとほんと。これじゃあ、さきほどの緊張感溢れる勝負が意味不明ですよねえ」


クマさんだけは、僕と同じく、真剣に逃げ切ろうと思っていたらしい。まだ走ってない4匹でジャンケンし、第4走者はペンギン、次はクマ、次はゾウ坂出、そして最後がカッパとなった。

(ペンギン)「ほんとにジャンケンが強いですねえ」
(カッパ)「て言うより、真剣さの違いじゃないか?」


トラは、8分3秒という好タイムで帰ってきた。

(カッパ)「惜しいっ!あと一歩で8分を切れたのに。それでもすごいタイムやなあ。膝の調子は良くなったん?」
(トラ)「2ヵ月くらい苦しんで、タートルマラソンも欠場したんですけど、正月に草津温泉に入ったら治りましたよ」


草津温泉おそるべし!

次はペンギンが帰ってきた。ペンギン君は去年は走らなかったため2年ぶりの出走だ。しかも、他のレースも含め、久しぶりの実践だったが、8分58秒の好タイムで帰ってきた。

(カッパ)「やったねえ。9分を切ったじゃない。すごいすごい」
(レッサーパンダ)「9分を切ったと言っても、僅か2秒ですぜ」
(カッパ)「1秒でも2秒でも関係ない。8分台と9分台の間には超えることのできない大きな壁があるのじゃ」
(レッサーパンダ)「ええい、悔しい!次はなんとしても9分を切るぞっ!」


次のクマは、相変わらず淡々としたマイペースで余裕の表情で走り始めた。こやつは、昨年11月のタートルマラソンでも最後まで人を小馬鹿にしたような表情でゴールしたのが記憶に新しいが、いつも妙に余裕がある。今回も、軽く走ったような顔で8分台前半で帰ってきた。

(カッパ)「ううむ。どこにそんな余裕があるんだろう」
(クマ)「まだまだいけますよ。ふぁっふぁっふぁ」


次はいよいよゾウ坂出だ。オリーブマラソンや瀬戸大橋駅伝での実績をもとに、最初は余裕で9分台を想定していたが、あまりの走りにくさに困惑気味だ。

(ゾウ)「なんとしても10分は切りたいんですけどねえ」
(カッパ)「いや、もっと頑張ってレッサーパンダを打ち破ってくれたまえ」


しかしゾウには、足の短さに加え、本人がまだ自覚していない大きなハンディがあったのだ。それは巨大な耳だ。軽く走っている時は気にならないが、真剣に走っていると空気抵抗が大きくて、とっても走りにくいのだ。結局、ゾウ坂出は10分2秒という、むっちゃ惜しいタイムで帰ってきた。

(カッパ)「惜しいなあ。あと2秒かあ。でも僅か2秒は誤差の範囲だ。10分切ったのと同じだよ」
(レッサーパンダ)「1秒でも2秒でも大きな壁じゃなかったんですか!」


ゾウ坂出の愛のタスキを受け取ったカッパは、レッサーパンダと同様に、最初から全力で突っ込む。

(馬)「あれ?レースの組み立てを入念に考えていたんじゃないんですか?」
(カッパ)「最初から全力で突っ込んだレッサーパンダの善戦を見ると、最初から飛ばした方が良いのかなと思って」


永遠のライバルであるレッサーパンダの1周目の9分13秒という記録は、実は、去年の僕のベストタイムと同じなのだ。つまり、気合いを入れていかないと簡単には勝てないタイムなのだ。何がなんでもレッサーパンダに負ける訳にはいかないのだ!

(カッパ)「こうなったら8分台を出してレッサーパンダとの勝負に一気に決着を着けなければならない」


ムキになって飛ばした結果、カッパはなんと8分59秒の驚異的なタイムで帰還した。実に4年ぶりの8分台だ。

(カッパ)「すごい!すごすぎる!8分台を叩き出したぞ」
(レッサーパンダ)「8分台と言っても、たった1秒じゃないですか。誤差の範囲でしょ。て言うか、計測係は正確に計ったのか?」
(ペンギン)「は、はい。わたくしは、正確無比に計っておりまする」
(カッパ)「一流ランナーの証である8分台を出した選手だけが味わえる勝利の味は格別だなあ」
(レッサーパンダ)「ええい、悔しーっ!次こそは私も9分を切るぞ!」


再び無条件サバイバルゲームと化したジャンケン方式により、次のランナーはクマとなった。僅か2匹分しか休んでいなかった割には、余裕のクマは1周目をさらに上回る好タイムで帰ってきた。
そして、次はカッパに負けた悔しさ爆発のレッサーパンダが2周目を走る。1周目以上に最初から爆発的に飛ばしたレッサーパンダだが、さすがに前半を飛ばしすぎて、終盤は尻尾がもつれて失速した。レッサーパンダの最大の弱点は巨大な尻尾なのだ。スピードがある時は巨大な尻尾も後ろにたなびいているが、スピードが落ちてくるとブラブラと非常に邪魔になるのだ。

(レッサーパンダ)「悔しーっ!どうしても9分が切れないっ!」

次はトラだ。1周目よりは多少落ちたとは言え、連続して8分台前半の好タイムだ。クマと言いトラと言い、まだまだ余裕が溢れている。

次は再びゾウ坂出だ。今度こそは10分を切ろうと頑張ったが、焦れば焦るほどコスチュームが足に絡むというアリ地獄に陥り、今回も10分は切れなかった。

その次は、いよいよ体力回復した馬だ。1周目を走ったあと、1時間半以上休んでいたが、すっかりアルコールも抜けて全力で疾走し、なんと遂に7分台を叩き出した。

(カッパ)「すごいなあ。7分台ってのは僕には理解できないなあ。君が8分台を理解できないのと同様に」
(レッサーパンダ)「ほっといてくれっ!」


次はペンギン君だ。ペンギン君も実は足が非常に短くて走りにくいんだけど、それも気にせず淡々と走り、9分ジャストのタイムとなった。

(カッパ)「1周目の8分58秒と平均すると8分59秒か。僕も平均8分59秒だから全く同じだなあ。すごい偶然だなあ」
(馬)「あんたは1周しか走ってないってば」
(カッパ)「僕は残りのジャンケンは全勝するから1周で終わりなのよ」


ここまでカッパ以外は順番にジャンケンで負けていき、みんな2周目を走ったが、カッパだけは負ける気配がない。そして第14走者は熾烈なジャンケンの結果、レッサーパンダと決まった。

(レッサーパンダ)「なんでカッパは1周しか走ってないのに私は3周目に入るんですか!」
(カッパ)「まさに私の思うつぼ状態だな」


3周目に突入したレッサーパンダは、ますますヨレヨレになって帰ってきた。その次は、トラが3周目となった。トラはまだまだ元気が残っていて、不平も言わず、相変わらず8分台前半の好タイムを維持した。

そして、その次は、再びゾウ坂出がジャンケンで負けてしまった。

(ゾウ)「ぱお〜ん。私も3周目ですか?」
(カッパ)「初参加で、走りにくい格好で、なんとなく心苦しいから、パスしてもいいよ」
(ゾウ)「パスするのも情けないので、カッパさんが先に走ってくれたら、その愛のタスキを私が受けますよ」
(カッパ)「ぱお〜ん」


こう言われたら走らない訳にはいかない。ジャンケンで勝ち続け、今日は1周だけで帰ろうと思っていたけど、急遽、2周目を走る事となった。

(カッパ)「いよいよ私も2周目を走るぞ!」
(レッサーパンダ)「偉そうに言わんといてください。みんな2周以上走ってますがな」


1周目で8分台を出してすっかり満足してしまい、それ以上走る気力をすっかり失っていたカッパは、再び気合いを入れるのは困難だった。なんとか頑張ろうとするのだが、いまいち真剣になれず、休養十分だった割には、力が入らない。
なんとなく怠慢な走りとなり、ダラダラ走っていると、目の前に突然サル1号が現れる。

(カッパ)「おやま?誰かと思ったら、おサルさんじゃあーりませんか」
(サル1号)「うきっ!?」

サル1号とは、元チームメートだったため、この駅伝で争った事はないので、こういう展開は初めてだ。サル1号と競争しながら戻ってきたが、それでも予想通り、大したタイムは出なかった。

次のゾウ坂出は、もう体力限界でふらつきながら帰ってきた。

(ゾウ)「来年こそは再チャレンジして絶対に10分を切りますっ!」


ゾウ坂出の次は、カッパにそそのかされたゾウ坂出の「私の愛のタスキを受け取って下さい」との一言で、レッサーパンダが4周目に突入した。

(カッパ)「レッサーパンダがあんなに単純な動物とは知らなんだ」
(ゾウ)「なんだか悪い事しましたねえ」


もう何がなんだか分からなくなったレッサーパンダは、頭が真っ白のアンデルセン状態となり、遂に10分台になってしまった。

(ゾウ)「わーい、お友達ができたー!」
(レッサーパンダ)「そ、そうか、良かった良かった!」


次は久しぶりにクマの登場だ。余裕で好タイムを出していた今日のクマだが、休憩時間が長すぎたため、1、2周目よりは少し遅くなったが、それでも8分台なかばの好タイムで本日を締めくくった。

次の第20走者の馬は、もう一発7分台を狙ったが、ギリギリで8分台となった。それでも大きなハンディのある1周目を入れても平均8分台前半はすごい。
結局、今日は馬、トラ、クマの3匹が平均8分台前半という好タイムだった。

そして、いよいよ最後のアンカーは満を持したペンギン君だ。

(カッパ)「いよいよラストだ。3時間10分の壁を破って歴史に金字塔を打ち立てる事ができるかどうかは、全て君次第だ。
       大いにプレッシャーを感じて頑張ってくれたまえ」
(ペンギン)「はいっ、分かりました。軍曹!」
(ゾウ)「3時間10分の壁って、長年の目標だったんですか?」
(カッパ)「いや、たいてい3時間20〜30分くらいなんだけど、今日は異常に速いから言ってみただけ」


ペンギン君は期待通りの走りを見せ、3時間10分を切るのは間違いないと思われた。ところが、肝心なところでレッサーパンダがいない。

(カッパ)「うわあ、どしたんや、レッサーはどこじゃあ?」
(ゾウ)「レッサーパンダがいないといけないんですか?」
(カッパ)「最後はみんな揃ってウィニングランと決まっておるのだよ」
(ゾウ)「ぱおーんっ!」


レッサーパンダはゴールシーンの写真を撮って貰おうと広報部チームに手配をかけていたのだ。
なんとかレッサーパンダも間に合い、最後は手をつないでみんなでゴールした。

せっかくみんな揃ってゴールしたのに、肝心のレッサーパンダが画面からはずれている!(右端枠外)


(ペンギン)「うわ、惜しいっ!3時間10分14秒やった」
(クマ)「レッサーパンダの4周目がもう少し速かったら3時間10分は切れてましたねえ」
(レッサーパンダ)「何を言よんかいな。たった2周しか走ってないカッパが、2周目を真面目に走ってたら良かったんですがな」
(カッパ)「違うがな。馬が酒の飲み過ぎで1周目がイマイチやったからやがな」
(馬)「唯一7分台を出した私のせいにせんとってくださいよ。明らかに、レッサーパンダの4周目のかわりに
       カッパが3周目を走ってたら良かったんですよ」
(カッパ)「我々の真の目的はタイムや順位ではないのだよ。
       駅伝というチームスポーツを通して固い友情をはぐくむ事なんだよ」
(ゾウ)「分かりました、船長!」


それにしても、考えられない好タイムだった。42.195kmで平均すると、1km4.5分。1周2kmの平均で9分1秒だ。

(カッパ)「えっ?平均9分1秒?カッパ負けてるし。やっぱり1周だけで止めれば良かった」

他のチームの成績は、土木系の精鋭を揃えた秘書・土建連合は、やはり速かったが、広報部チームは平凡なタイムで、珍しくペンギンズの勝利となった。しかしその中で、サル1号は長年破れなかった10分の壁を破り、喜びを爆発させた。

(カッパ)「すごいじゃない。練習の成果?」
(サル1号)「て言うか、動物の格好を止めればタイムは上がりますよ」


ま、僕らが目指しているのはタイムじゃないし。

レース後は、うどんと相場が決まっている。レースに参加していた人が周辺のうどん屋に大挙して繰り出しているため、どこも大変な混雑だが、今年は長田うどんに繰り出す。

(ゾウ)「次のレースは何ですか?」
(カッパ)「なんと言っても丸亀マラソンやね。出ない?」
(ゾウ)「その前後にある瀬戸大橋駅伝や坂出天狗マラソンに出ないといけないんです」


ミス坂出なので、坂出市の行事が優先されるらしい。

(カッパ)「4月の瀬戸大橋マラソンは?」
(ゾウ)「あれも選手じゃなく、スタッフの仕事があるんです」

そら、そうか。イベントの花だもんなあ。じゃ、次はオリーブマラソンかな。



(石材店)「今年もなんとか掲載が丸亀マラソンまでに間に合いましたね」
(幹事長)「ほんと、毎年、この時期が一番大変。丸亀マラソンまで3週間しかないもんなあ。
       おまけに今年はレース直後にインフルエンザになって寝込んでしまったのよ」
(石材店)「その間にミス坂出に先を越されましたねえ」


そうなのだ。ゾウ坂出ことミス坂出も、自分のホームページに今回の記事を掲載しているのだ。

(石材店)「なんだか、そっちの方が手際よくまとまってますねえ」
(幹事長)「ほっといてくれ!」


〜おしまい〜




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