第7回 東京マラソン2013

〜 都心をカッパが駆けめぐる! 〜



2013年2月24日(日)、第7回目となる東京マラソン2013が開催され、幹事長の私がペンギンズを代表して出場してきた。苦節7年目にして、やっと抽選に当選して出場できたのだ。

(石材店)「おめでとうございます」
(幹事長)「参加できるだけで嬉しいレースって、なかなか無いよなあ」


普段なら絶対に走れない東京の街中を走れる東京マラソンは、6年前にできた時から大いに魅力を感じていて、第1回から申し込み続けていたんだけど、ずうっと落選が続いていたのだ。第1回は、競争率はまだ3倍だったから、今思えば大した競争率ではなかったんだけど、ペンギンズのメンバーは軒並み落選し、当選したのは強力なコネクションを誇るトラベル恵子&PR真理子の2人だけだった。(それなのに、結局、2人とも参加しなかった。なんちゅう罰当たりじゃ!)
この第1回大会は冷たい雨にたたられ、一年で一番寒い時期の雨だったので、参加者はかなり辛そうだった。だから、第2回は人気が落ちるだろうと期待していたら、なぜか、なんと第1回を上回る5倍の競争率になってしまい、僕をはじめ、大半のメンバーは再び落選した。唯一当選したのがエースランナー石材店で、天候が良かったこともあって快記録で完走した
その後も、僕は毎年申し込み続けたんだけど、落選し続けた。

この結果に、私は大きな疑問を抱いた。東京のマラソン関係の知人に聞くと、彼らの当選率は我々の当選率より高かった。もしかして、この大会は東京都民を優先しているんじゃないか、と。地方からの参加者が多いほどホテルや飲食店が儲かり、経済効果は高いはずなんだけど、石原都知事は、そなな事は考えず、選挙目当てで東京マラソンを始めたんだから、東京都民を優先していても不思議はない。てことで、東京に住む娘の住所から申し込んだこともあった。そんな事をして当選しても、身分証明書の住所と異なるから問題が起きるかもしれないが、試しにやってみたのだ。でも、そのときも落選してしまった。いい加減、落選が続くと、落選して当たり前みたいな気分になってきて、もう諦め半分で惰性で申し込み続けていたら、もうあんまり期待してなかった今回、ようやく当選したのだ。

(幹事長)「幸せは忘れた頃にやってくるのね」
(支部長)「申し込みを忘れたらいかんけどな」


今回は競争率が10倍を超えたそうなので、10年以内に当選できたのだから平均的なところかもしれない。
ちなみに、昨年度から始まった大阪、京都、神戸の関西3都市のマラソンは、東京マラソンほどの競争率ではないけど、やはり全敗を続けている。生まれてこのかた、くじ運は良かったことがないので諦めてはいるけど、それにしても昨今の異常なほどのマラソンブームは沈静化して欲しいなあ。

(石材店)「でも、マラソンブームが起こったから各地でマラソンレースができたんですよ」
(支部長)「東京マラソンなんかが出来たからマラソンブームが起こったとも言えるし」
(幹事長)「失礼しました」


確かに、マラソンブームのおかげで全国各地で魅力的なマラソンレースができた訳だから、マラソンブームを非難してはいけないか。
他のメンバーも、東京マラソンだけでなく、関西3都マラソンにも軒並み落選しているが、なんと支部長が東京マラソンの2週間後に開催される京都マラソンに補欠合格してしまった。当選したけどお金を振り込まなかった人が多かったための追加抽選だ。追加抽選の競争率は、たぶん、本抽選のさらに数倍にはなるだろうから、全く期待してなかったんだけど、支部長は見事に当選したのだ。てことで、なかなか参加できない東京マラソンと京都マラソンに私と支部長が連続で出場することになったのだ。

(幹事長)「こんな事に運を使って良いのだろうか?」
(支部長)「どうせ老い先短い私らなんやから、こんな事にでも運を使わんと、他に使う時は無いで」



東京マラソンの受付は、前日までに済ませなければならない。最近のマラソン大会は当日の朝だけでなく、前日も受付できる大会が多くなってきたが、当日の朝はダメってのは、いくらなんでも、あんまりじゃない?

(支部長)「京都マラソンやって前日でないと受け付けてくれないから、前日から行かんといかんのや」

ふむ。そうか。東京マラソンとか京都マラソンのような人気大会になると強気なんだ。東京の場合は、どうせ前日から行かないと間に合わないんだけど、それでも前日の最終便なんかで行くと受付時間に間に合わないから、土曜日の午後の早いうちに出発しないといけない。てことは、レース当日の日曜日だけでなく、前日からほぼ2日間、マラソンのために潰れてしまうのだ。最近のマラソンブームに浮かれて熱を上げて参加するような人なら、2日間でも3日間でもマラソン大会のために旅行感覚で時間を費やして本望だろうけど、僕らのような怠慢なランナーは、たかがマラソン大会のために週末を2日間とも潰されるのは、ちょっと困りものだ。

(石材店)「自分だって浮かれている割りには文句多いですねえ」
(支部長)「東京はどっちみち前日に行かんといかんから同じや。
       京都だと、もしかしたら早朝の新幹線で行けば日帰りも可能かもしれないのに、前日から行かんといかんから、迷惑感はもっと強いで」


しかも、京都マラソンは参加料が今年は12000円に値上がりした。東京も10000円と高いけど、されをさらに上回るのだ。聞くところでは、それでも大赤字らしい。そうなのか。どのマラソン大会も参加料が高いって文句ばっかり言ってる我々だが、参加料だけで経費を賄おうとすると、何倍もになるんだそうだ。仕方ないのかなあ。

とにかく、受付を前日にしないといけないので、お昼過ぎに高松空港を出発して東京に向かう。
受付会場の東京ビッグサイトへは、モノレールの天王洲アイルでりんかい線に乗り換えれば簡単に行ける。と思ったら、天王洲アイルでの乗り換えは、いったん外へ出て少し歩かなければならなかった。
東京ビッグサイトへ着くと、たかが前日受付なのに、予想外に人が多い。中に入るには、参加証と身分証明証が必要で、出場しない人は中に入れないのに、ものすごい混雑ぶりだ。中に入ると、まず受付でゼッケンとかシューズに着けるチップとかもらい、それから記念品のTシャツをもらう。その後は大きな展示場を使って色んな企業がブースを出してお祭り騒ぎしている。ちょこちょこと色んな記念品くれたり色んな計測してくれたりしてるんだけど、とにかく人が多くて、やたら行列ができている。高橋尚子のトークショーとかもやってたんだけど、人が多いところが嫌いな僕としては、すぐに疲れて気分が悪くなってきた。都会の人は人混みが気にならないんだろうなあ。面白そうなブースもあったんだけど、そういうところは長蛇の列だし、満員電車のように混んだ広い展示会場を抜けるだけでも、ものすごく時間がかかり、疲れ切ってしまった。

受付会場の東京ビッグサイト
(明日はゴール会場になる)

その後は東京に住む娘と待ち合わせて夕食を食べに行ったんだけど、電車の乗り換えが不便だったこともあって随分歩いてしまい、とにかく今日は足がパンパンになるほど歩き疲れてしまった。マラソン前日に、こんなに疲れてよいものだろうか?
娘は明日も応援に来てくれるのだが、漠然と見ていても絶対に見つからないだろうから、落ち合う場所を検討し、外堀通りから目白通りに入る飯田橋の交差点で待ってもらう事にする。スタート地点からは5kmちょっとの地点だ。スタート時間は9時10分だけど、それは先頭のプロランナー達のスタートであって、後ろの方の僕等がスタートできるのは、早くても30分後だろう。しかもスタートしてしばらくは大混雑でノロノロと進むだろうから、5kmちょっとの地点まで行くにもだいぶかかるだろうから、早くても10時15分、遅ければ10時半頃になるはず。その時間で娘と待ち合わせることにした。明日はレースなので、今日はあんまり深酒はせず、早めにホテルに入って、お風呂で足をよく揉んでから寝た。



翌朝は、早起きした。パンフレットを読むと、スタートは9時10分なんだけど、スタート地点への集合は8時45分までとなっている。手荷物を預けるのは8時30分までだ。普通に考えれば、せいぜいスタート1時間前までに行けば楽勝ってスケジュールだけど、前日のイベントですら、あんなに大変な混雑になっていたんだから、あちこちで渋滞になって、すごく時間がかかるかもしれない。会場への入場は7時からになっているけど、どうせ7時には大勢のランナーが入り口に詰めかけて並んでしまい、入るまでに時間がかかりそうだ。てことで、宿泊していた品川を6時半頃に出発することにした。

(石材店)「常にギリギリの生活をしている幹事長とは思えない行動ですねえ」
(幹事長)「貧困層みたいに言わないで」


そのため、余裕をもって5時半には起きて、シャワーを浴びて、ゆっくり朝食のパンを食べてコーヒーを飲む。以前は、エネルギー補給のためマラソン大会の朝ともなると、大量の炭水化物を摂取していたが、たぶんそのせいで2回に1回はお腹を壊していたので、最近は控えめにしている。

(石材店)「前夜の酒も良くないらしいですけどね」
(幹事長)「アル中のお前ほどは飲まんぞ」


天気予報では、今日は良い天気だそうで、実際、朝から雲一つ無い快晴だ。ただ、北日本に大寒波が入り込んでいて、その影響で東京も気温は低いし風は強くなるらしい。でも、冬場のマラソンに寒さはつきものだ。寒いうえに雨が降ったら悲惨だけど、こんなに天気が良いのなら、お日様に当たれば暖かくなるし、精神的にも晴れやかになるので、多少寒かったり風が強かったりしても平気だ。

地下鉄を乗り継いで大江戸線で新宿に向かう。スタート会場の都庁付近へ行くには、当然ながら都庁前駅が便利だが、パンフレットには、都庁前駅は当日、大混雑するから1つ前の新宿駅で降りて歩くことを推奨していた。電車の中は、東京マラソンに出場するらしい格好の人が溢れているから、みんなに着いていけばいいや、って思ってみていると、一部の人たちは新宿駅で降りたけど、多くの人はそのまま乗っている。まだ早いから、混雑してないのかも。で、都庁前駅で降りると、確かに、まだそんなに混雑ってほどではない。それでも辺り一帯はロープが張り巡らされて、勝手に自由に歩き回ることはできなくなっていて、係員の誘導に従って受け付けというか会場への入場口へ向かう。
入り口では既に渋滞が発生している。まだまだ、そんなに大量の参加者が押し寄せているようにも思えないが、入り口で厳重なチェックをしているようだ。原因は手荷物検査だ。手荷物は事前にくれた大きなビニール袋に入れたものだけを預けることができるんだけど、入り口では、そのビニール袋に入れた荷物以外は中身を検査される。なんでビニール袋に入っていれば検査が無くて、ビニール袋に入っていないと検査されるのか、全く意味不明だが、みんな検査されるのが面倒なので、入り口のところでしゃがみ込んでビニール袋に荷物を押し込む。これが渋滞の原因だ。僕も仕方なく、大きなバッグを無理矢理ビニール袋に押し込んで中に入る。当然、みんな、中に入ったとたん、再びビニール袋から荷物を出す。意味なーい!



会場に到着したのは7時半頃だ。予定通りだ。しかし、入り口は混雑していたけど、中はまだまだガラガラ、とまでは言わないけど、全然、混雑していない。こんなに急いで来る必要は無かったのかも。でも、遅くなって慌てるより、ヒマを持てあましたとしても、余裕を持って行動した方が良い。

(石材店)「幹事長とは思えないお言葉!」
(幹事長)「地元では決してやらんけどな」


ただ、まだまだ人は少ないと思ったら、それは会場が広いから少なそうに見えるだけで、飲み物や食べ物をくれるコーナーの近くは既に大勢の人で溢れかえっている。水とかバナナとかソイジョイとか、手を出せばいくらでもくれるので、一通りもらうが、その辺りは既に大勢の人が陣取り、座る場所も無い状態なので、屋外の広場の片隅に座って飲み食いする。屋外の方が明るくていいんだけど、座ってじっとしているとちょっと寒い。天気予報の通り、気温が低く、少し風があるためだ。北日本に下りてきた大寒波のせいだろう。でも快晴だから気持ちは良い。朝食が控えめだったので、再度、ここでパンとか前日もらったトマトジュースとかで2回目の朝食を取る。
食べ終わると、じっとしてても寒いから、荷物を持ってウロウロする。ズラッと並んだ簡易トイレや手荷物を預けるトラックの周辺なんかは大変な混雑ぶりで、もう満員電車状態だ。スタートは9時10分だが、実際に僕らが走り始められるのは30分〜1時間後だろうから、まだ2時間近くあることになる。ちょっとウンザリ。でも、タイム順に並ぶスタートブロックへの集合は8時45分だから、もう1時間もない。それに、荷物を預けられるのは8時30分までで、あんまり時間が無くなってきたが、ダウンジャケットを脱ぐと寒いので、ギリギリまで荷物を預けるのはやめておく。それまでの時間を利用してトイレに並ぶことにする。まだ、そんなにトイレに行きたい訳ではないから、もっとギリギリまで待ってから行く方がいいかなとは思うけど、遅くなるとトイレが混んで入れなくなるかもしれない。
ところが、荷物を抱えて並んだトイレは、ボックスは多いんだけど、それ以上にランナーが多くて、なかなか列が進まない。このままでは荷物を預ける時間に間に合いそうにないと思って、仕方なく、まずは荷物を預けることにして、必要な物を取り出す。娘と連絡を取り合う必要があるから、携帯電話を持って行かなければならない。また写真を撮りまくる予定だが、僕の携帯電話のカメラはボロなので、ちゃんとしたデジカメも必要だ。スタートするまでは、まだ時間もあるから、退屈しのぎのウォークマンもまだはずせない。それからスタート直前に食する予定のゼリーも持った。当然、ハンドタオルやティッシュペーパーも持った。小さめのウエストバッグがパンパンになり、ブラブラ揺れて走りにくいような気がするが、今日は我慢するしかない。

ダウンジャケットは脱いで預けたけど、人混みの中なので寒くはなかった。再びトイレの列に並び直すが、当然ながら、相変わらずなかなか列が進まない。スタートブロックへの集合時間は8時45分だ。ランナーは事前に申告した予想タイムの順に並ぶようになっている。集合時間に遅れると、最後尾に並ばされる。最後尾に並んだって自分のタイムはチップで計測してくれるから、別にいいんだけど、最近のマラソンブームを反映して、どのマラソン大会も最後尾には遅いランナーが集結している。遅いランナーというより、最初からまるで走る気が無いようなおばちゃんなんかが世間話しながら散歩するから、さすがに走りにくい。先日の丸亀マラソンのように自分の適正なポジションでスタートすれば、周りのランナーとの摩擦が無くて走りやすいのだ。なので、集合時間に遅れる事は避けたい。しかし、トイレの列は遅々として進まず、どう見ても間に合わない。て事で、トイレは諦めて集合する

(石材店)「そんな事して大丈夫ですかーっ!?おしっこ漏れちゃいますようっ!」
(幹事長)「わしはトイレが遠いのよ」
(石材店)「トイレが近いとは言いますけど、遠いとは言わんでしょ?」


普段の日常生活においても、僕はせいぜい朝、昼、夕方、夜の4回くらいしかトイレに行かない。それも我慢できずに行くのではなく、余裕を持って行ってるだけなので、もし我慢すれば1日に2〜3回でもOKだ。なので、別にスタート前に行けなくても焦りは無い。朝は行ってるし、走っていると汗かくし。

(石材店)「トイレ代わりのコンビニの位置を把握してないと、怖くてランニングもできない僕からすると、羨ましい限りですねえ。
       僕なら集合時間を諦めてもトイレを諦める事はできませんねえ」


ちなみに、スタートして直後のトイレボックスに駆け込んでいるランナーも多かったから、間に合わなかった人も多かったと思われる。



トイレを諦めてまで急いで集合場所へ行こうとしたんだけど、それでも既に大渋滞になっていて、集合場所に着いたら8時45分ギリギリだった。

(石材店)「その割りには余裕かまして写真撮ってますねえ」
(幹事長)「今回のレースの第一目的は写真撮影だからな」

スタートに集合したカッパ大王様
(既にスタートブロックは満員だけど)

当然ながら、既にものすごい人で、屈伸する余地も無いが、おかげで寒くはない。この時になって初めてストレッチすらやってないことに気づいた。毎度の事だけど。

(石材店)「ほんとに毎回毎回スタート地点に行くまで思い出せないんですか?」
(幹事長)「アルツの少女ハイマーと呼んでくれたまえ」


昨日の前日イベントで上映していた小出監督のアドバイスでも、素人ランナーにウォーミングアップは不要だけど、ストレッチは重要って言ってた。う〜む。でも、もう遅いわな。広場でボケッとしていた時にストレッチやっとけば良かった。
普通のマラソン大会なら、スタートを待つ時間って退屈で、ヒマを持てあますんだけど、高層ビル街の道の真ん中で待っていると、それだけで早くも気持ち良い。前の方では色々とスタート時のイベントをやっているらしいけど、僕等には何も見えない。それでも、なんだかワクワクする



ワクワクしていると、意外に早く先頭のプロランナー達のスタートとなった。でも、どうせ、この大混雑だから、僕等は当分は走れないだろう。確か、第一回大会のときは最後尾のランナーが走り始めたのは1時間後だったっていう話だから、今日も早くても30分はかかるだろう。なんて徹底的に油断してたら、なんと妙に順調にスタート地点に移動していく。慌てて持参したゼリーを食する。

大群衆と共にスタート地点まで進む

あれよあれよという間にスタート地点が見えてきて、プロランナーがスタートして僅か10分くらいで僕らもスタート地点に来てしまった。しかも、スタートラインを超えたとたん、大混雑かと思ったら結構、いきなり順調に走り始められる。道路が広いからか。

こんなに早くスタートしたら娘との待ち合わせ時間より早く着いてしまう。慌てて娘に「予定より大幅に早く着きそう。急げ!」とメールを出す。ところが、大晦日の晩と同じように、たぶん大勢の人が一斉にメールを出して回線が混雑しているらしく、メールがなかなか発信されない。僕みたいに走りながらメールしているランナーはほとんどいないけど、たぶん観客とかがメールしてるんだろう。仕方なく、しばらくそのまま走る。

(石材店)「目標タイムとか、あるんですか?無いとは思いますが」
(幹事長)「んなものは無い」


どんなレースでも、まずは大会自己ベストを狙うのが第一目標だ。しかし東京マラソンは初出場なので、どんなに遅くても大会自己ベストになる。
て言うか、今日は最初からゆっくり目のペースだ速く走るんならカッパの格好はしないあちこちで写真撮りながらゆっくり観光しながらの物見遊山マラソン。せっかくの東京マラソンなんだから、しゃかりきになって走るなんて、もったいないじゃない。
てことで、いきなり、かなりのスローペースなんだけど、周りのランナーも結構、ゆっくり走っている人も多い。これだけ道路が広くて混雑も少なければ、真剣に走れば結構いいタイムが狙えるレースだと思うんだけど、僕と同じようにゆっくり楽しもうとしているランナーも多いのかもしれない。

スタートしてしばらく行くと靖国通りに出て、いきなり歌舞伎町のど真ん中を走る。スタート地点の都庁横も高層ビル街だが、このJRの高架をくぐって歌舞伎町に出た瞬間の光景は素晴らしかった。いきなり都心のど真ん中に飛び出たって感じ。スタートして直後なのに、この時点で「うわ、やっぱり東京マラソンってすごい!」って思ってしまった。こんな道路のど真ん中を走れるなんて、本当に気持ちいい。広い道路の両車線いっぱいにランナーが広がり、壮観だ。こんな気持ちいいコースは初めてだ。と言うか、これまで出た数々のレースとは、全く別物だ。走る前までは、競争率が高くてなかなか抽選に当たらない事もあり、一回出たら、もう出なくてもいいか、なんて思っていたけど、この瞬間に「また出たい!すぐ出たい!来年出たい!何度でも出たいっ!」なんて思ってしまった。

超気持ち良い快感に浸りながら走っていると、娘からメールが届く。なんとまだ家にいたらしく、大慌てで電車に飛び乗ったとのこと。こら、絶対に間に合わないだろう。

(石材店)「ギリギリまで家を出ないってのは遺伝するんですねえ」
(幹事長)「教育のたまものと言ってくれ」


気温は低かったけど、雲一つ無い快晴で、日なたに出ると暑い。風は強いという話だったけど、ほとんど風は感じない。分厚いカッパを着てるからか。日陰に入るとちょうどいいので、できるだけ日陰を走る。コースは市ヶ谷で靖国通りから外堀通りに入るが、相変わらず道路が広くて気持ち良い。道路が広いおかげで、3万5千人ものランナーが出ているのに、スタート直後から全然混雑せずにスムースに走れる。ランナー1万人の丸亀マラソンの方がよっぽど混雑している。全然混雑しないもんだから、飯田橋には予定より、ますます早く着いてしまいそうだ。こら、もう絶対に無理、と判断し、娘に「もう間に合わないから、次の地点を検討せよ」と指示を出す。走りながらメールを打つのは思った以上に大変で、打つのも大変だけど、日なたでは画面も見にくくて大変。最後は、日陰で立ち止まってメールを打つ。

(石材店)「そなな事してるランナーって、まさか他にいました?」
(幹事長)「走りながらブログにアップしているランナーは見かけたぞ」


娘はまだ電車の中だったようで、芝公園で待っているとの返事が来た。
コースは5km地点を少し過ぎた飯田橋目白通りに右折し、南へ向かう。しばらく行って西神田方面へ左折し、さらに竹橋方面に右折して皇居まで南下する。娘と会えなかったので、日当たりの良いこの辺りで一枚写真を撮ろう思って、沿道の係に人にお願いして写してもらう。

(石材店)「いきなり止まってますやん」
(幹事長)「既にメール打ったりするんで止まってるけどな」


この辺りは日当たりが良いため、すごく暑くなってきた。風も無いし、もう汗びっしょりだ。カッパの頭を被ったままだと発狂しそうになるので、頭は脱いだ。カッパは頭があるからカッパだと分かってくれるが、頭が無いと何の動物かは絶対に分からない。後ろ姿なら亀と間違われることも多いが、それも後ろから見て初めて分かることだ。前から見たら、なんか黄色いん着てるなあ、としか分からないから、沿道からの声援が途絶える。なので寂しい。しかし、この暑さでは仕方ない。しばらくは頭を脱いだまま走る。

走るのが気持ち良くて楽しくて仕方ないカッパ大王様

コースは相変わらず次々と景色が変わっていく。初めて見る街角もあれば、時々、見たことのある風景もあるが、どうであれ楽しみながら走れることに変わりはない。
竹橋で内堀通りに出て、皇居に沿って南へ折れる。この辺りは仕事でなじみのある地域だが、こうやって車道を走ると、普段、歩いているのとは全然違う景色が広がる。もう、本当に気持ち良いったらありゃしない。

皇居を過ぎると、日比谷公園の東側に回り、日比谷通りに出る。この辺りが10km地点だ。
ここで、ちょっと後ろから歌声が聞こえる。結構うまい。沿道の誰かが歌っているんだろう。と思ったんだけど、なぜか声が小さくならない。ずっと同じ大きさだ。おや、おかしい、と思って振り向くと、なんとギターを抱えて弾きながら歌っているランナーがいるのだ。しかも、声量がすごい。しかも、歌がうまい!こら、一体、何者?普通に聞いても声量も立派で歌もうまいんだけど、それを走りながら歌うなんて。そら、今日の僕はゆっくり走っていて、彼も僕と同じようなペースで走っているのだから、そんなにしんどくはないかもしれない。いや、しかし、それにしてもギター弾いて歌いながら走るという発想は無かったなあ。僕も普段、練習で走る時は、ウォークマン聴きながら歌っているから、小さい声でなら歌えるけど、あの音量は絶対に無理だなあ。

日比谷通りを南下していると、娘からメールが入り、芝公園に到着して待っているとのこと。この辺りから芝公園までは、仕事で歩いたこともあるが、その時は何の変哲もない通りで面白くも何ともなかったのに、こうやって道路の真ん中を走ると、相変わらず、とっても気持ち良い。
芝公園が見えてきたが、もうメールは面倒くさいので娘に電話をかける。芝公園を過ぎたところにある高速道路の高架下にいる、とのことだ。現場に到着したので、辺りを見回すが見つからない。再度、電話したけど、お互いを見つける事ができない。こっちは沿道のたくさんの観客から見つけるのだから難しくて当たり前だと思うけど、娘からカッパを見つけるのは容易だと思うのだが、一体なぜ?しばらくウロウロと探し回ったが、こら無理、って感じになったので、取りあえずパスして、娘に「帰りに北向き走る時に、再度、チャレンジするから、分かりやすい場所を見つけておいてね」と電話で指示する。

日比谷通りを南下するコースは田町の辺りで第一京浜に出る。皇居の南で日比谷公園に出たところから品川駅前までは折り返しコースなので、反対側を速いランナーが走っている。さすがに最初はごく少数の速いランナーだけが見えたのが、だんだんすれ違うランナーの数が増えてきて、この辺りになると行きのランナーも帰りのランナーも、ものすごい数になってくる。広い道路を見渡す限りランナーが埋め尽くしている。まさに壮観だ。
沿道では色んなグループがパフォーマンスをやっている。合唱している集団もいるし、ダンスしている集団もいるし、子供チアリーダーのグループもいる。今日はゆっくり走っているから、こういうのを楽しめる余裕がある。おばちゃん達の Power To The People の合唱は迫力あったなあ。思わず一緒に叫んでしまった。楽しくて浮き浮きしてしまう。

そのまま南下を続け、15km地点を少し過ぎた品川駅前第1の折り返し点がある。この辺りも馴染みのある土地だけど、いつもとは風景が違い、相変わらず天気も良くて暑いけど気持ち良いなあ。普通のレースなら、折り返し点が近づくと「まだか、まだか」って待ち遠しくて、なかなか現れなくてウンザリするけど、今日はあっという間に折り返し点になっちゃった。折り返すと僕らより後ろのランナーとすれ違う訳だけど、今日はだいぶゆっくりとお散歩感覚で走っているのに、後ろにも、ものすごい数のランナーがいる。こいつらも、絶対に遊び半分やな。

見渡す限り行きも帰りもランナーの大群
(遠方に見えるのは東京タワー)

とは言え、この辺りになると、早くも道ばたで屈伸したりしているランナーが目に付くようになってきた。まだ15km過ぎたくらいなのに早くも足が痛くなったのか。たいていは、遊び半分って言うより真剣なランナーっぽい格好しているから、最初に頑張りすぎて足を故障してしまったのだろう。まあでも、制限時間は7時間もあるから、残りは歩いてもゴールできるだろう。

それにしてもカッパを被っていると暑い。風が無い日なたの場所では、我慢できなくて脱いだままだ。
他に仮装ランナーは、と言えば、頭に何か着けている程度の簡単なのを含めても、せいぜい100人に1人くらいか。僕みたいに全身かぶり物ってのは、とても少ない。しかも、ドラえもんとかピカチュウみたいな一般的なのが多い。これに関しては、やっぱり関西のノリに比べればおとなしい。僕等が初めて動物チームで出たのは15年前の明石海峡大橋開通記念駅伝大会だけど、あの時は10チームに1チームくらいは仮装チームがいて、しかもスーツ姿で頭に大きなウンコを乗せたチームとか、バレリーナの格好をしたチーム(もちろん男)とか、看護婦さんチーム(これも男)とか、明石の大だことか、マーブルチョコの箱だとか、お侍さんチームや土人チームや点滴打ちながらの病人チームや、もう阿鼻叫喚の末期的世界だった。それに比べたら東京の人は真面目かな。
一緒に走りながら見ていて楽しいのはメイドさんとかのコスプレ派だけど、後ろから見ると「うわ可愛い」と思って無理して追い抜いて顔を見ると、たいていは予想したのより30歳くらい上で、落胆は激しい。おまけに時々、男もいるから要注意だし。
そんな中でカッパは結構、人気者だ。比較的珍しいからだろう。暑くて頭を脱いでいたら何か分かんないから滅多に声援は飛ばないけど、頭を被っていると、あちこちから声援が飛んでくる。子供や若い女性からの声援が多くて嬉しくなってしまう。当然ながら、声援には手を振って応えねばならない。これが結構、疲れる。疲れるけど、もう条件反射的に手を振って笑顔を振りまいてしまう。

(幹事長)「アイドルタレントの苦労が良く分かったぞ」
(石材店)「たぶん分かってないでしょうね」

沿道の声援に手を振って応えるカッパ大王様

ただし、カッパの衣装は黄色いから目立つ、という目論見は大はずれだった。妙に黄色の服が多い。そもそも昨日くれた参加記念のTシャツからして黄色だ。職場のみんなには「黄色のカッパ姿で走っているから分かりやすいはずだから、テレビを凝視するように」と業務命令を出してきたが、こら探して見つけるのは無理やな。
声援に愛嬌を振りまくのは疲れるけど、走る励みにはなる。一般的な「頑張って」コールでは、誰に言ってるか分かんないけど、「カッパさあん、頑張ってーっ」てなコールなら僕に対する声援ってのがはっきりしているから、本当に声援で力をもらう。苦しくなっても気が紛れる。逆に、苦しくて歩きたくなっても、声援が飛んでいる限り恥ずかしくて歩くわけにはいかない。て言うか、今日はゆっくり走っているので、歩きたくなるほど足が痛くなることも無かった。

折り返して日比谷通りを北上し続けると、再び芝公園に近づく。ここで再度、娘に電話し、絶対に分かる目印を見つけさせて、そこに待機させる。目印は、遠方からでもはっきりと分かった。ところが、それでも、ほんと、すぐ側まで行かないと娘を発見できなかった。さすがに向こうは僕の事をすぐに発見して手を振ってくれていたんだけど、それでもなかなか分からなかった。群衆の中にいると、分からないもんだなあ。

(石材店)「て言うか、そもそも幹事長は歩いててもすれ違う人に絶対に気づかないでしょ」
(幹事長)「注意力ないのかなあ」


とにかく娘と会えたので写真を撮ってもらう。

他のランナーの邪魔になるのを構わず立ち止まるカッパ大王様

それからしばらく立ち話して、4月に行う予定の親族の法要の打ち合わせとかしてから娘と別れ、再び走り出す。

(石材店)「その打ち合わせは今やるべきことですか?前夜にやっておくべきではなかったんですか」
(幹事長)「話すの忘れててな」


再び芝公園の横の東京タワーを見ながら北上する。

東京タワーの横を雄叫びを上げながら走るカッパ大王様

(石材店)「それにしても、常に手を上げてポーズ取ってますねえ。超ワンパターンっすね」
(幹事長)「ほんと、芸が無いな。後から見ると恥ずかしいな」

20km地点を過ぎて日比谷公園まで戻ってくると、今度は東向きに右折して銀座に入る。銀座四丁目で左折して日本橋まで銀座のど真ん中を走るのだ。事前に想像しただけでもワクワクしていたけど、実際に走ると、本当に気持ち良い。しかも沿道からは溢れんばかりの大勢の観客が声援を送ってくれる。本当に楽しい。

日本橋からは、何度か道を曲がりながら浅草へ向かう。さすがにこの辺りは馴染みの無い土地だ。景観的には割と変化が少なく、精神的にちょっと苦しくなり始める。ただ、この辺りから、給水ポイントに飲み物だけでなく、バナナやトマト、アンパンなんかが置いてあるようになる。ここまでも、どの給水ポイントでもスポーツドリンクも水も豊富にあった。こんなに大勢のランナーが走っているのに大したものだ。この大会も、初期の頃は水が無くなったとか色々と批判があったけど、今やサービス満点になっている。このロジスティクスには感心させられる。おまけに、オフィシャルなエイドだけでなく、沿道の人たちからも食べ物の差し入れが、どんどん出てくる。これは、どのマラソン大会でも見られる光景だけど、人口が多いから差し出してくれる人の数も多く、次から次へと色んな食べ物が現れる。ランナーの数も多いんだけど、それでも足りなくなることはなく、次々と差し出してくれる。それを適当につまんでいると、結構、お腹の足しになる。食べ物によっては口の中がパサパサして失敗することもあるけど、飲み物の差し入れもあるので助かる。何か分からず飲んだら、暖かいスープだったり、不思議な味のジュースだったりした。
さらに、沿道で声援が上がっているな、と思ったら、突然、高橋尚子さまがおるではないか。思わず駆け寄ってハイタッチしてもらった。元気出るなあ。

28km地点を過ぎると、第2の折り返し点である浅草にたどり着く。第1の折り返し点は何の変哲も無い品川の駅前だけど、こっちは雷門の前で、良い景色だ。さすがに、ここでは真剣に写真を撮り、知人にメールを送ったりした。雷門の前では、なぜか大林素子なんかが何かをPRしながら愛嬌を振りまいている。

盛大にイベントをやっている雷門

雷門を過ぎて右を見ると、すごく間近に東京スカイツリーが見える。浅草と東京スカイツリーの位置関係を良く分かってなかった僕としては、あまりの近さが意外だった。走り去るのがもったいない景観なので、しばし立ち止まる。

雷門から横を見るとそびえ立つ東京スカイツリー

東京スカイツリーに合わせてポーズを取るカッパ大王様

折り返してしばらく行くと30km地点になる。さすがに、この辺りになると、いくらゆっくり走ってきたとは言え、だんだん足が重くなる。南に向いていると正面から太陽の光に当たって暑い。でも、沿道からの声援が多いのでカッパの頭を脱ぐことはできない。ここまでくると暑いより声援をもらう方が優先だ。少し立ち止まっては色んな食べ物をちょこちょこもらって走り続けると、再び銀座に戻り、銀座四丁目を海の方に左折する。曲がってすぐには歌舞伎座があり、何かパフォーマンスをやっていた。

そのまま築地に入り、35km地点となる築地四丁目で北に左折し、すぐまた入船橋で右折して佃大橋方面に向かう。ゴールへは何となくレインボーブリッジを通っていくのかと思っていたら、佃大橋と春海橋を通っていくのでした。佃大橋のアップダウンは、このレースで最大の起伏らしいけど、小豆島のタートルマラソンや庵治マラソンの強烈な坂に比べれば、坂とは呼べないレベルで、全然、平気だ。
この辺りの晴海とか豊洲になってくると、さすがに沿道の人の数は少なくなってくるが、景色は相変わらず変化に富んで楽しい。

それまで1kmごとに表示があったが、残り5kmになってからは、さらに残りの距離も1kmごとに表示してくれる。普通のマラソンなら、30km地点を過ぎると「もう残り12kmだ、早く終わればいいのになあ」なんて思いながら、その12kmがあまりにも長くて辛い道のりになり、残り5kmになると、「もう残り5kmだ。一気に終わらせよう」なんて思いつつ、いつになっても残りの距離が減らずに辛い思いをするもんだけど、今日は全然違う。30km地点辺りから、「もう残り12kmしかないのか。なんか寂しいなあ」なんて思い始め、あと5kmの表示を見た時は、すごく名残惜しくなって、大きな声で「あと5km。ガンバローっ!」って叫んだ。そしたら、沿道の観客からも、すかさず「よしっ、カッパ頑張れーっ!」って声援が返ってきた。ええ雰囲気やねえ。

普通のマラソンなら、30km地点を過ぎた辺りから足が痛くなってくる。ペースも落ちてくるから身体が冷えてくる。足は痛いし身体は寒いし、ほんと、もう辛くて辛くて「どうして僕はこんな所でこんな事をしてるんだろう」って、ぢっと手を見る、のだけど、今日は景色が次々に変わっていく楽しさのせいで、足も痛くなければ寒くも無い。

(石材店)「足が痛くないのは、最初っからゆっくり走っているからで、
       冷たい風が吹いても寒くないのは暖かいカッパを着ているからでしょ?」
(幹事長)「それを言っちゃあ身も蓋もないぞ」


足は痛くないとは言え、さすがに残り5kmを切ってからは、驚くほどペースダウンしている。たぶん観客が見たら歩いているように見えるだろうな。でもタイムは最初から気にしてないので、タラタラ走り続ける。
40km地点を過ぎるとゴール地点の東京ビッグサイトが見えてくる。もう残り2kmかと思うと本当に残念だ。このままずうっと走っていたい気分だ。

(石材店)「さすがに、それは嘘ですね」
(幹事長)「すみません。また嘘をついてしまいました」


さすがに残り2kmくらいになると、足も限界に近づいてきたので、早くゴールしたいっていう気持ちも強くなってきた。そして、ラスト1kmになった地点で、ちょっとスパートしてみようって思ってペースを上げると、さすがに今日は力が余っていて、一気にペースアップできてしまった。ガンガンごぼう抜きして走りながら、「ここまでダラダラ走ってきたのに、僕は一体なんのためにラストスパートしてるんだろう」なんて素朴な疑問が沸いてきたが、ま、これは本能のようなものだ。

遂にゴールすると、フィニッシャーズタオルを掛けてくれる。それから完走メダルもくれる。気持ち良い。それから飲み物とかフルーツとかもくれる。足はあんまり疲れていない。

(石材店)「全力を出してない証拠ですね」
(幹事長)「だから今日は最初から全力は出さないって宣言しとるがな」


全力は出してないけど、余りにもコースが気持ちよかったもんだから、ものすごい充実感がある。超気持ち良いーっ!

楽しかった東京マラソンを満喫したカッパ大王様



ゴールして充実感に浸りながら、その辺をフラフラ歩いていると、なんか巨大な十字架を背負った人がいる。身につけている物は腰巻きだけで、足も裸足だ。キリストか?これはランナーなのか?まさか、と思ったんだけど、足首を見ると直接チップをくくりつけている。やっぱりランナーなのか?この格好で走ったのか?寒くないのか?足は痛くないのか?あまりの事にしばし呆然としてしまった。一体何なのか聞きたくて仕方なかったんだけど、まるで本物のキリストのように顔は苦悩の表情を浮かべて周りを寄せ付けない雰囲気だったので遠巻きにして見つめるしかできなかった。後で調べると、この人、ここんとこ毎年出ているらしい。知らなかった。最初の方で会ったギター弾いて歌いながら走っていたランナーと並んで、特筆すべきランナーの双璧だった。

結局、36228人が出走し、34855人が完走したらしい。完走率は96%だから、フルマラソンとしては、とっても高いような気がする。制限時間7時間ってこともあるけど、このマラソンは楽しいから最後まで力尽きないわなあ。

35000人ものランナーが走り終えて大混雑かと思ったら、会場が広いせいか、そんなに混雑はしてなくて、更衣スペースも十分に余裕があって、ゆっくり着替えることができた。どう考えても高松へ帰る飛行機は羽田を5時過ぎに出る便で楽勝のはずなんだけど、何かトラブルがあった時に備えて、最終便を予約していた。しかし、こうも順調にいけば、羽田で延々と待たなければならない。それは退屈過ぎるので、もう用事は無いけど、着替えが終わってからも東京ビッグサイトの中でブラブラと時間をつぶす。飲み物は水やスポーツドリンクだけでなくノンアルコールビールなんかもくれたし。
それでも、さすがに時間もつぶせなくなり、仕方なく会場を後にしようと出口を探したら、なぜか出口は1ヵ所に制限されている。係員の指示に従って、すごく遠回りさせられて、ようやく出口が見えてきたと思ったら、なんと出口のところが大渋滞になっている。大群衆が詰まってほとんど動かない状態。出口が狭くて混雑しているのかと思ったら、外へ出てからも渋滞は続いて、遅々として動かないようだ。まさか駅まで渋滞が続いて居るんだろうか。11年前にワールドカップの日本対チュニジア戦を大阪へ見に行った帰り、ひどい混雑で長居スタジアムから地下鉄の駅まで2時間くらいかかった記憶が蘇ってきた。こらあかん、と思い、なんとか出口から出た後、遠回りして別ルートで駅までたどり着いた。結局、駅まで1時間くらいかかったけど、あのまま渋滞に身を任せていたら、もっとかかっただろう。大阪の時は、そもそも電車に乗りきれない客が駅から溢れて渋滞が発生していたが、今日は駅まで来ると、電車は次々と来て片っ端から乗れていく。一体、なんで大渋滞になっていたのか不明だ。

って苦労して羽田空港にたどり着いたけど、それでも最終便までは2時間もある。とは言え、もし5時過ぎの飛行機を予約していたらギリギリアウトだったかもしれない。余裕を持って行動した方が精神的によろしい。
なーんて思っていたら、乗る予定の機材の到着が遅れたため、出発時間が少し遅れた。おまけに、ようやく乗れたと思ったら、今度はオーバーブッキングになっていて座席が3席足りないとのことで、翌朝の便に変更してくれる人を募り始めた。最初は2万円くれるってことだったけど、1人しか申し出ず、さらに2万5千円につり上がったが、なかなか申し出る人が出てこない。いくらまでつり上がるかなあって思っていたけど、それ以上は値上がりせず、いつまでもしつこく募っていたら、ようやく3人分確保できたらしく、だいぶ遅れて出発した。最後の最後で疲れたなあ。



翌日、会社で「ものすごく気持ち良かった。大都会のど真ん中を走るのが、あそこまで気持ち良いとは思わなかった。また出たい。すぐ出たい。来年も出たい。でも抽選が厳しい!」ってわめいていたら、なんと「10万円出せば出られるよ」って言われた。

(幹事長)「え?どゆこと?」
(支部長)「チャリティランナー枠ってのがあって10万円出せば先着3000人は出られるんよ。京都マラソンにもあるで」

金出せば出られるなんて、そんなあこぎな世界があるなんて、知らんかった。でも、そんなんて、有りなのか?マラソン大会の出場も金次第なのか?スポーツの世界に、そんなん有りなのか?札束でほっぺたしばくような行為をチャリティって言っていいのか?それでタレントとか政治家とか毎年出ているのか?

(石材店)「いや、それはまた別枠でしょ」

なんで抽選枠が30000人なのに36000人も出ているのかと思ったら、そういう別枠が色々とあったのか。
他にも年会費4200円を払ったプレミアムメンバーは優先的に3000人の枠の抽選を受けられるらしい。4200円なら安い、と思ったけど、プレミアムメンバーの抽選倍率は8.2倍で、一般の抽選倍率の10.3倍とあんまり変わらない。やっぱり10万円出さないと駄目か。

(幹事長)「10万円くらいやったら、あっという間に埋まるんかなあ」
(支部長)「いやいや、なかなか簡単には集まらないらしいよ。東京が3000人枠に対して応募は2200人、
       京都に至っては500人に対して140人しか応募が無かった」
(幹事長)「一般参加の異常な高倍率の割りには低調やなあ」


一般参加枠3万人に対して30万人以上が申し込む異常な熱狂の割りには、10万円払ってまで参加したいっていう人が少ない。みんな軽い気持ちで申し込んでるんかなあ。田舎から出てくるとなると、移動だけでも大変だけど、東京の人は気軽に申し込んでるんだろうなあ。

(支部長)「冷静に考えれば10万円は論外なレベルやで」
(幹事長)「いや、僕は今、激しく心を揺り動かされている!」
(石材店)「え?」


あの気持ち良さを考えれば、10万円なら払ってもいいのではないか、なんて思う今日この頃でした。



去年の9月の当選発表以来、5ヵ月も楽しみにしてきた東京マラソンが、遂に終わってしまった。予想以上の楽しさに大満足だったが、それだけに終わった後に脱力感というか空しさが残る。次のレースは4月末の徳島マラソンだ。これまでなら徳島マラソンは貴重なフラットなフルマラソンて事で楽しみにしていたんだけど、東京マラソンの楽しさを知ってしまった今となっては、イマイチ盛り上がりに欠ける。

(幹事長)「あーんあーん、寂しいよう」
(支部長)「もう自転車しかないって

(國宗)「みんなで買いに行きましょう!」


〜おしまい〜




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